国連衛星センターが NVIDIA と協力して持続可能な開発目標を推進

投稿者: Angie Lee

国連プログラムが NVIDIA のテクノロジと世界中のデータ サイエンティスト向けの無料 Deep Learning Institute コースを活用し、気候関連災害の管理を加速

健全な地球環境のための気候変動対策の促進に向けて、NVIDIA は国連衛星センター (UNOSAT) と協力して、ディープラーニングや AI の力を応用します。

この取り組みは、17 項目の持続可能な開発目標 (SDGs) からなる国連の「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」を後押しするものです。「気候変動対策」や「持続可能な都市とコミュニティ」を含むこれらの SDGs は、すべての国連加盟国に世界の幸福の後押しを促す行動喚起としての役割を果たしています。

国際連合訓練調査研究所 (UNITAR) の一部である UNOSAT と NVIDIA のコラボレーションでは、まず地球観測への AI 活用 (AI for Earth Observation) による気候関連災害管理の強化に重点的に取り組みます。AI for Earth Observation、略して AI4EO は、AI を活用して地球の変動の監視、評価を支援するイニシアティブを包含する用語として知られています。

UNOSAT は、この AI4EO 活動に向けた研究開発を迅速化するために、衛星画像技術インフラストラクチャを NVIDIA のアクセラレーテッド コンピューティング プラットフォームと統合します。AI を搭載した衛星画像システムは、地理空間情報を収集、分析して、洪水や山火事などの気候関連災害に関する知見をほぼリアルタイムで提供します。

また、UNOSAT は NVIDIA の Deep Learning Institute (DLI) コースを利用して、ディープラーニング手法を応用した正確な洪水検出モデルの生成に関する教育モジュールを立ち上げました。

UNOSAT 事務局長のエイナル ビョルゴ (Einar Bjørgo) 氏は、「NVIDIA との協力により、AI 研究から気候対策の実施までを最短期間で完結させ、影響を受けやすい人々がテクノロジの恩恵を受けられるようになります」と述べています。

AI を利用した衛星画像解析

UNOSAT の緊急マップ サービスは、フィリピンで発生した熱帯低気圧やトンガで発生した火山噴火の影響評価といった作業において、コンピューター ビジョンと衛星画像解析を使用して複雑な災害に関する正確な情報を取得します。

気候関連災害イベントを管理するには、ほぼリアルタイムの解析が重要です。人道支援チームは、AI によって提供されるデータに基づく知見を活用すれば、災害対応において迅速かつ効果的な措置を講じることができます。データは、持続可能な開発政策のための情報提供、ユーザーの能力開発、そして気候変動への総合的な対応強化にも利用されます。

UNOSAT は、大規模な AI 開発を可能にする NVIDIA DGX システムや、アクセラレーテッド コンピューティングの力をデータセンターからエッジに提供する NVIDIA EGX プラットフォームにより、衛星画像技術インフラストラクチャを高速化する予定です。

UNOSAT によると、NVIDIA のテクノロジは AI ベースの洪水検出を 7 倍高速化し、対象範囲の拡大と精度の向上も実現します。

災害リスク モニタリングに関する NVIDIA のDLI コース

AI やデータ サイエンスを利用して気候変動事象を解析し、人道的災害に発展するのを防止するには、強力なテクノロジだけでなく、優れたスキルを備えた人材も不可欠です。

NVIDIA のグローバル AI イニシアティブ担当バイス プレジデントであるキース ストリア (Keith Strier) は、以下のように述べています。「NVIDIA と UNOSAT は、洪水予測を改善する GPU アクセラレーテッド モデルの開発、展開を担うデータ サイエンティストの育成を出発点に、気候変動の影響に対処し、国連の SDG を前進させるまたとない機会を得ています。」

UNOSAT は、洪水事象の検出を自動化するディープラーニング モデルの構築方法を取り上げた、Deep Learning Institute の無料オンライン コース向けモジュールを開発しました。

Disaster Risk Monitoring Using Satellite Imagery (衛星画像を利用した災害リスク モニタリング)」と題したこのコースは、世界中の公共部門コミュニティを対象に、気候変動対策に焦点を当てた初のコースです。これに続く、気候変動対策関連のさまざまなコースが企画されています。

国連のケース スタディに基づく UNOSAT のモジュールでは、ネパールで発生した洪水の事例を取り上げています。

UNOSAT は、アクセラレーテッド コンピューティングを利用した気候関連災害の予測と対応に関する、世界中のデータ サイエンティストのスキル向上を目的とする無料モジュールを NVIDIA と共同で提供する予定です。

「アクセラレーテッド コンピューティングへのアクセスを民主化して、各国があらゆる人道的災害や自然災害の予測と対応を改善する、より正確なディープラーニング モデルをトレーニングできるようにすることを目指しています」とストリアは述べています。

DLI の本コースはすでに提供が開始されています。

NVIDIA のテクノロジが地球と人類の未来のためにどのように活用されているかの詳細については、こちらをご覧ください。