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量子コンピューティングにソフトウェアの架け橋をかける研究者

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NVIDIA QODA を活用した量子古典ハイブリッド システムにより、エネルギー効率が新たなレベルへと引き上げられるだろうとヨーロッパの大手リサーチ センターで研究するエキスパートが語る

クリステル ミヒエルセン (Kristel Michielsen) 氏は、量子コンピューティングが脚光を浴びる前から、この分野で活動していました。

計算物理学者である彼女は、1990 年代の初期にオランダで、博士号研究の一環として量子コンピューターのシミュレーションを行いました。

現在、彼女はヨーロッパ最大規模の量子コンピューティング施設である ユーリッヒ研究所 (JUNIQ) の運営に携わっています。そのミッションは、開発者が NVIDIA Quantum Optimized Device Architecture (QODA) のようなツールを使って、この新しい分野の開拓を支援することです。

「これにより、量子コンピューティングが HPC や AI のコミュニティに近づけるようになります」- クリステル ミヒエルセン

ケルン近郊のユーリッヒ スーパーコンピューティング センターで量子プログラムのリーダーを務めるミヒエルセン氏は次のように述べました。「現在の古典コンピューターだけではやっていけなくなっています。エネルギー消費があまりにも大きく、解決できない問題もいくつかあるからです。しかし、エネルギー消費がそれほど大きくはない量子コンピューターと組み合わせれば、最も困難な問題のいくつかを解決できる可能性があると私は考えています」

QPU の登場

量子プロセッサ (QPU) は量子力学の特性を利用するため、原子レベルのプロセスのシミュレーションを行うのに理想的です。これにより、化学および材料科学では根本的な進歩が可能になり、より効率的なバッテリーからより効果的な薬剤に至る、あらゆる領域で連鎖反応が起こるようになります。

QPU は、ロジスティックスなどの最適化が困難な分野にも役立つかもしれません。たとえば、航空会社は日々、どのルートにどの航空機を割り当てるかという課題に直面しています。

ある実験では、ユーリッヒにある量子コンピューターが最近、500 近いフライト経路での最も効率的な割り当て方法を示し、この技術の潜在能力の高さを実証しました。

量子コンピューティングには、AI を新たなレベルに引き上げることも期待されています。ユーリッヒの研究者の別の実験では、タンパク質が DNA 鎖と結合する様子のシミュレーションや、フランス リオンの衛星画像の分類のために、量子機械学習が使用されました。

両者の長所を生かしたハイブリッド

現在、量子コンピューターのプロトタイプがいくつか利用可能となっていますが、商業で利用できるほどパワフルなもの、あるいは信頼性の高いものはまだありません。しかし、研究者はその先を見ています。

「長い期間、私たちは、ハイブリッド システムが量子コンピューティングの現実的なただ一つの利用法であると考えてきました。現在の古典的な HPC システムと連携させることにより、量子コンピューターは両方の世界の長所を活用できるようにしてくれます」とミヒエルセン氏は言います。

そして、これこそが、ユーリッヒと他の世界中の研究者が現在行っていることなのです。

量子計算が A100 GPU で 49 倍高速化

現在のアナログの量子システムに加え、ユーリッヒでは来年、中性原子量子コンピューターをパリにある Pasqal から調達する予定です。さらに、ユーリッヒでは、3,700 以上の NVIDIA A100 Tensor コア GPU を搭載した JUWELS Booster のような古典的なシステムで量子シミュレーションも行っています。

「JUQCS と呼ばれている、ユニバーサル量子コンピューター シミュレーターの GPU バージョンは、CPU クラスタで実行した場合に比べて速度が最大で 49 倍になっています。この研究では、ほぼすべてのシステムの GPU ノードが使用されており、InfiniBand ネットワークへの依存度が高くなっています」と、ミヒエルセン氏が最近の論文を引用しながら語っています。

最近では、JUWELS Booste のような古典的システムで、GPU で量子ジョブを加速するためのソフトウェア開発キットである NVIDIA cuQuantum が使用されています。「私たちにとっては、クロスプラットフォームでのベンチマーキングに最適であり、他の人々にとっても、量子シミュレーション コードの導入または最適化を行うための素晴らしいツールとなるでしょう」とミヒエルセン氏はこの SDK について語っています。

A100 GPU (緑) が、NVIDIA cuQuantum SDK で量子ジョブをシミュレートする JUWELS Booster のコア部分を形成しています。

ハイブリッドなシステム、ハイブリッドなソフトウェア

ユーリッヒや他の研究センターでは複数の HPC および量子システムが利用可能であり、今後もさまざまなものが導入予定となっていますが、課題の 1 つはそれらすべてを結びつけることです。

「HPC コミュニティでは、気候科学や医学から化学、物理学にいたる、さまざまなアプリケーションで詳細な検証を行い、コードのどの部分が量子システムで実行可能なのかを見定める必要があります」とミヒエルセン氏は言います。

量子コンピューティングの時代を迎えようとしている開発者にとって、これは非常に困難な課題ですが、支援はすぐにでも受けられます。

NVIDIA QODA がソフトウェアの架け橋の役割を果たします。開発者は、関数呼び出しにより、量子ジョブを GPU か量子プロセッサのいずれかで実行するのかを選ぶことができます。

QODA の高水準言語はあらゆる種類の量子コンピューターに対応しており、そのコンパイラはオープンソース ソフトウェアとして提供される予定となっています。さらに、Pasqal や Xanadu、QC Ware、Zapata といった量子システムとソフトウェアのプロバイダーもこれに対応しています。

HPC および AI 開発者にとっての量子跳躍

ミヒエルセン氏は、JUNIQ がヨーロッパ各地の研究者に QODA を提供し、これらの研究者が量子サービスを使えるようになると予想しています。

「そうなれば、量子コンピューティングが HPC や AI のコミュニティに近づけるようになります」とミヒエルセン氏は言います。「コミュニティの人々は、低水準プログラミングをする必要がなくなり、作業を迅速に進められるようになるので、苦労が大幅に軽減されるでしょう」

ミヒエルセン氏は、多くの研究者が QODA を使い、来年以降には、量子古典ハイブリッド コンピューターを試せるようになると期待しています。

「誰かはわかりませんが、私たちユーザーの誰かが、現実世界のハイブリッド コンピューティングの斬新な例を開拓するかもしれません」とミヒエルセン氏は言います。

詳しい情報および早期参加の申し込みは NVIDIA QODA サイトをご覧ください。また、QODA の詳細な技術情報はこちらをご覧ください。

上部画像提供:Forschungszentrum Jülich / Ralf-Uwe Limbach


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