英国を拠点とするブレット ダントン氏は、Autodesk Maya、Epic Games Unreal Engine、Omniverse Create を使用して、自動車のコマーシャルで「不可能なカメラワーク」を可能にしています。

本ブログは、「Meet the Omnivore」シリーズの最新号です。Meet the Omnivore シリーズでは、NVIDIA Omniverse を使用することで　3D　ワークフローを加速させ仮想世界を創造している個人クリエイターおよび開発者を特集しています。

ブレット ダントン
(Brett Danton) 氏

始めは空にいるカメラが、木々の間を抜け、スムーズに森を出て飛んで行きます。その間、未舗装の小道を走る車を正確に追跡します。映画監督兼撮影監督であるブレット ダントン (Brett Danton) 氏によると、このカメラの動きは現実の世界ではほとんど不可能だといいます。

しかしダントン氏は、自らが「不可能なカメラワーク」と呼ぶこの動きを自動車のコマーシャルに使うように、自宅で、映画のような品質と物理的な正確さで実現しました。

彼はこの偉業を、NVIDIA Omniverse を使用して成功させました。3D デザイン コラボレーションおよびワールド シミュレーション プラットフォームである Omniverse は、ダントン氏のいつものクリエイティブ ワークフローを強化し、Autodesk Maya、Epic Games Unreal Engine、Omniverse Create など、彼が使用するさまざまなアプリをひとつにつなぎます。

英国を拠点とするダントン氏はデジタル イメージ業界で 30 年以上の経験を持ち、化粧品から自動車に至るまで幅広い製品を紹介する、海外のクライアント向けの広告を制作しています。

冒頭で紹介した、Volvo の自動車を使用した彼の最新プロジェクトでは、仮想撮影用の物理的なロケーションを再現する方法が示され、映画のような現実世界の映像に匹敵するフォトリアリスティックなレンダリング シーケンスが使用されています。

「この映像は従来のイメージを覆すもので、デジタル アートの可能性を大きく広げ、1 つのアセット内で複数の成果物を得ることができたのです」とダントン氏は言います。

Omniverse の物理的に正確なシミュレーション機能は、ダントン氏のプロジェクトをさらに一歩前進させ、実在するかのような未舗装の道路のでこぼこの表面に合わせて揺れるフォトリアリスティックな車を描き出しました。

また、Autodesk MayaやUnreal Engine といったデジタルコンテンツ制作ツールが Omniverse でつながり、そこから取得した Universal Scene Description (USD) ベースのアセットを使用することで、ダントン氏はロンドン郊外にある自宅から他のアート部門とコラボレーションしました。

「Omniverse はスタジオを丸ごと私のデスクトップに提供してくれます。実際のロケーションと Omniverse で作成されたロケーションとの違いを見分けることは不可能です。私は実際のロケーションに足を運んで仮想セットを作ったので、それは間違いありません」とダントンは言います。

マルチアプリ ワークフローを実現するリアルタイムのコラボレーション

この自動車 CM に登場する森を作るために、ダントン氏は受賞歴のあるデザイン スタジオ Ars Thanea とコラボレーションしました。チームは、参照用に 100 メガピクセルの画像を大量に撮影し、点群 (空間内の 3D 形状を表すデータの点の集まり) は合計で 250 ギガバイトにもなりました。

その後チームは、すべてのデータ交換の中央ハブとして Omniverse を使用し、NVIDIA RTX GPU によって高速化しました。Autodesk Maya は、カメラ アニメーションと初期のライティングのエントリ ポイントとして使用され、その後プロジェクトのデータは Omniverse Connector を使用して Omniverse に取り込まれました。

そして、アーティストたちは Omniverse Create アプリを使用して、木の位置を手で配置し、木のパッチを作成し、森の地面に合わせて微調整を加えました。Omniverse をベースとしたリアルタイム コラボレーションは、著名なビジュアル エフェクト アーティストたちがリモートや現場で作業に参加できるようにするための鍵でしたとダントン氏は語りました。

Omniverse Create は、Pixar の USD フォーマットを使用して、高度なシーン構成を加速させ、3D シーンをリアルタイムで組み立て、ライティング、シミュレーション、およびレンダリングします。

パス トレースによるフォトリアリスティックなライティング

物理的な制作現場やスタジオでプロジェクトを指揮するときは、リソースや時間帯、その他の多くの要因で、ライティングでできることには限界があるとダントン氏は言います。Omniverse はそうしたクリエイティブでの制約を取り払ってくれます。

「今では、撮りたいショットを事前に視覚化できます。さらに、Omniverse ではフォトリアリスティックな方法でそれらにライティングを施すことができます」とダントン氏は言います。

彼が Omniverse でライトを動かすと、シーンでは現実の世界とまったく同じようにライトが動きます。

Omniverse の RTX を活用したリアルタイムのレイトレーシングとパス トレースによって実現されるこの機能は、ダントン氏も愛用するプラットフォームの機能です。この機能により、「真の光の感覚」が備わった、フォトリアリスティックで映画のようなシーケンスを作成できます。これは以前では不可能なことだったとダントン氏は言います。

たとえば、上記の Volvo 車のカット映像では、森の場合と同様に Omniverse のライティングが車に反応し、物理的に正確な反射と光が窓に当たって跳ね返ります。

「私は以前に他のソフトウェアも試したのですが、Omniverse にはリアルタイムのレンダリングとコラボレーティブなワークフローの機能があるので、これまでに見たどのソフトウェアよりもはるかに優れています」とダントン氏は言います。

共に創造する

世界中のクリエイターは NVIDIA Omniverse を無料で体験できます。また、エンタープライズのチームはこのプラットフォームを自分たちのプロジェクトに利用できます。

Omniverse の詳細については、Omniverse チーム、Adobe、Autodesk、Epic Games、Pixar、Unity、Walt Disney Studios のビジョナリーたちが登場するオンデマンドの GTC セッションをご覧ください。

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