NVIDIA

お使いのブラウザーは対応していません。

お使いのウェブブラウザーはこのウェブサイトでは対応していません。いくつかの機能が正常に動作しない可能性がございます。アップグレートいただくか下記のブラウザーのどれかをインストールください。よろしくおねがいします。

「ドクター、ドクター、どうなのでしょう?」――バッド・ケースの予測は、GPUに聞いてください

hdr-how-deep-learning-predicts-disease-risk

ディープラーニングにより、医師は、病気の一般的な診断前にハイリスクな患者を識別し、命を救う力を身に付けようとしています。

ニューヨークのマウント・サイナイ・アイカーン医科大学では、研究者が人工知能の一種であるディープラーニングを利用して患者の電子カルテを分析し、1年以内に重い病気にかかる可能性が最も高い患者を判定しています。

Deep Patientと呼ばれる試験的なツールは、全部で70万件におよぶ12年分のカルテで訓練を受けました。テストをすれば、心不全、数種類のがん、重い糖尿病など、数十の病気に対するリスクを予測できるでしょう。

最近、ナチュラル・サイエンティフィック・レポートに掲載された、マウント・サイナイ・スタディについて説明した論文の著者であるジョエル・T・ダドリー(Joel T. Dudley)氏は、次のように述べています。「ほとんどの病気は、快復よりも予防の方が容易なのです。このことは、人々の健康に大きな影響を与える可能性があります」

電子カルテが徴候をつかむ

マウント・サイナイで准教授も務めるダドリー氏は、次のように続けます。「事前に警告されれば、医師と患者は、病気を予防するか、少なくとも発症を遅らせるための対策を実行する貴重な時間を得られます。例えば、医師は新たな投薬治療を勧めたり、患者に特別な食餌療法をしてもらうことができます」

GPUアクセラレーテッドによるDeep Patientを利用すれば、医療費の節減も可能であると同氏は言います。ハイリスクな患者の病気を予防することにリソースを集中すれば、医療プロバイダは、後で必要となる、より高額な治療費を回避できます。

研究者たちがDeep Patientを推進する原動力の1つは、電子カルテに対するフラストレーションにあります。電子カルテには、患者に関する大量の情報(臨床試験、手術、投薬、病歴など)が含まれます。しかし、今のところ、医師は、診断や治療を向上させるためにこうしたデータを利用できていない、とダドリー氏は言います。

アウディVR体験の高度なセットアップ
患者の電子カルテを見直す医師。
(写真提供:米国農務省、クリエイティブ・
コモンズ・ライセンスより)

「電子カルテは、医師のツールとしてではなく、請求書の作成に利用されています」とダドリー氏。

研究者は、電子カルテとディープラーニングを利用して、正確な医療や病気予防のアプローチ、患者ごとにカスタマイズされた投薬の高度化を目指しています。

研究者たちは、NVIDIA Tesla K80 GPUアクセラレータCUDAプログラミング・モデルを利用し、数千件ものカルテでニューラル・ネットワークを訓練しました。そして、約75,000人の患者に関して、モデルテストを実施しました。

1つではなく複数の病気を予測

電子カルテとディープラーニングを利用して病気リスクの予測をするのは、マウント・サイナイの研究者が初めてではありません(「How AI Can Predict Heart Failure Before It’s Diagnosed」をご覧ください)。しかし、1つの病気に焦点を当てていた以前のアプローチとは異なり、彼らの研究には約80の病気が含まれます。コンピュータ分析用に患者の医療データを表現する新しい方法を生み出すことにより、複数の病気リスクを予測できるようになりました。

ダドリー氏は述べています。「従来の方法では、病気のリスクを予測するため、ある特定の病気に対し、すべての状況に合わせてカスタマイズされた1度限りの専用データ表現を作成していました。しかし、患者は、1つだけではなく、複数の病気を抱えているものです」

研究者たちは、代わりに、患者の病歴を網羅する1つのデータ表現を作成した、とマウント・サイナイのデータ・サイエンティストでこの論文の筆頭著者であるリカルド・ミオット(Riccardo Miotto)氏は述べています。

医師が患者を助けるためにDeep Patientを使用できるようになるには、さらなる研究の実施が必要です。マウント・サイナイのチームが次に計画するのは、遺伝情報や家族の病歴など、データの種類を増やし、より正確な予測を立てられるようにすることです。

より多くのデータでより正確に診断

ダドリー氏は、「電子カルテ以外のデータを組み込み、医師がより正確な診断と治療の決定に活用できるようなツールの構築を目指しています」

続けて、「課題の1つは、医師が患者に対応する時間を削減し、より多くの情報を電子カルテに盛り込むことです」と述べています。

より多くの遺伝情報や医療用のウェアラブル・デバイスからのデータが入手できるようになったため、「医師たちは今にもデータ漬けになりそうです。私たちは、入手可能なすべてのデータを利用するシステムを構築して、患者の健康状態を予測し、医師に新しい洞察を提供したいと考えています」とダドリー氏は語りました。


Jamie Beckett

Jamie most recently spent four years as director of communications at Stanford’s School of Engineering, and previously served as managing editor for Cisco’s newsroom and for HP Labs’ newsroom. She began her career as a journalist, and spent a decade at the San Francisco Chronicle. Earlier she worked at the Stamford Advocate, in Connecticut, where she was part of a team that was nominated for the Pulitzer Prize.

You may also like...