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ディープラーニングでサンゴ礁を救え

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世界がサンゴ礁に依存するなか、サンゴ礁は減少の一途をたどっています。気候変動や、沿岸部の開発、乱獲、汚染などによる破壊がその原因です。

地球上のサンゴ礁の4分の1がすでに消滅した今、サンゴ礁の保全を急ぐ科学者チームが、GPUアクセラレーテッド・ディープラーニングの大きな後押しを得ています。

多くのサンゴ礁が絶滅の危機に瀕しています。海底の1%未満の範囲に過ぎないサンゴ礁ですが、全海洋生物の4分の1以上に食料と退避場所を提供し、10億人以上の人々の糧となる水産資源を支え、何百万人もの沿岸地域の人々に雇用をもたらしています。

科学者たちは、サンゴ礁の画像を研究し、その健康状態と経時的な変化を測定しています。現在、この作業は専門家によって行われていますが、それにはコストと時間がかかります。

900倍の高速化

このたび、研究者チームが、サンゴ礁の写真を自動的に分析するディープラーニング・プロセスを発表しました。サンゴ礁の画像および情報のオンライン・リソースであるXL Catlin Global Reef Recordによると、このプロセスでは従来の手法の900倍の高速化を達成しながら、これまでと同様の精度が得られます。

この新しいテクノロジにより、「世界中の科学者が夢にも思わなかったスピードでサンゴ礁の健康状態を診断できるようになるでしょう」と、Global Reef Recordの主任科学者であり、オーストラリア・クイーンズランド大学の教授でもあるオーヴェ・ヘー・グルベア(Ove Hoegh-Guldberg)氏は述べています。その情報によって、サンゴ礁の保全に向けた対策をより効果的に講じることができます。

サンゴ礁の状況を一変させるテクノロジ

グレート・バリア・リーフのへロン島の白化したサンゴ礁の上を泳ぐカメ。
グレート・バリア・リーフのへロン島の白化したサンゴ礁の上を泳ぐカメ。白化は、海水温度の異常な上昇によって発生し、サンゴの組織内に共生する褐虫藻がサンゴから放出される原因となります。長期にわたる白化は、サンゴの死につながります。(写真提供:XL Catlin Seaview Survey)

この自動分析は、カリフォルニア大学バークレー校の人工知能研究センタ(Artificial Intelligence Research Center)と、クイーンズランド大学のグローバル・チェンジ・インスティチュート(Global Change Institute)の提携によって実現しました。そして、データは、世界のサンゴ礁に関する情報を収集するため4年前に発足したプロジェクト「XL Catlin Seaview Survey」から提供されました。

バークレー校の博士課程を修了した学者であるオスカー・ベイボム(Oscar Beijbom)氏が、この画像分析とディープラーニング・アルゴリズムを開発しました。これにより、約225,000枚のサンゴ礁画像に含まれるサンゴ、海綿、藻などの要素から40もの異なるカテゴリをコンピュータで識別できるようになりました。

同氏は、NVIDIAのCUDA 7.5プログラミング・モデルと3つのGeForce GTX TITAN X GPUを利用することで、手作業での画像分析に対し900倍もの高速化を達成しました。このような劇的な高速化により、状況が一変することが期待されています。

「サンゴ礁をより正確に測定し、監視できれば、より適切にサンゴの減少に対応できるようになるはずです」と、ベイボム氏は言います。

ディープラーニングの強化により高まる効果

ベイボム氏は現在、ディープラーニングを利用した2つ目のサンゴ礁画像用リソースの仕上げの段階にあり、博士号取得を目指しながら開発を支援したCoralNet Webポータルにそのリソースを追加する作業を進めています。

研究者チームは、このポータルを利用して、自分たちのサンゴ礁画像をアップロードし、注釈を付けることができます(現時点で240,000枚近くが完了済みです)。ベイボム氏が今後数カ月以内にCoralNetにディープラーニングをロールアウトすれば、すべてのユーザーが自動分析を利用できるようになります。

科学者や沿岸警備隊をはじめ、サンゴ礁の保全に奮闘する人々にとって、サンゴ礁に関する情報、たとえば、それぞれに関する固有の説明や、汚染などのストレスに対する反応、経時的なサンゴ礁の変化といった情報がより多く手に入るほど、サンゴ礁の保護の強化、沿岸部での活動の規制、実験の計画などをより効果的に推進できるようになる、とXL Catlin Seaview Surveyの主任科学者であるマニュエル・ゴンザレス・リベロ(Manuel Gonzalez-Rivero)氏は説明しています。

一部の研究者は、苗床でのサンゴの養殖を試みており、彼らは、サンゴの存続のチャンスを最大化できる移植先を決定する際に、サンゴ礁のデータを活かすことができた、と同氏は言います。

「サンゴ礁を守るには、これまでとは違う道を進まなければなりません」と同氏は述べています。

ディープラーニングによって自動的に分析されたサンゴ礁の写真。
ディープラーニングによって自動的に分析されたサンゴ礁の写真。このプログラムでは、サンゴ、海綿、藻など、40ものカテゴリの生物を識別できます。(写真提供:XL Catlin Global Reef Record)

Jamie Beckett

Jamie most recently spent four years as director of communications at Stanford’s School of Engineering, and previously served as managing editor for Cisco’s newsroom and for HP Labs’ newsroom. She began her career as a journalist, and spent a decade at the San Francisco Chronicle. Earlier she worked at the Stamford Advocate, in Connecticut, where she was part of a team that was nominated for the Pulitzer Prize.

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