4月6日にシリコンバレーで開催される当社のGPUテクノロジ・カンファレンスで、IBMフェローであり、Watson担当バイスプレジデント兼最高技術責任者であるロブ・ハイ氏が、基調講演を行うことになりました。同氏は、人間のようにデータを理解するシステムの開発において、今後GPUが担う重要な役割を紹介する予定です。
5年前、Watsonは、米国のクイズ番組「ジョパディ!(Jeopardy!)」の過去最強のチャンピオン2人と対戦し、100万ドルを獲得しました。現在、IBMのWatsonコグニティブ・コンピューティング・プラットフォームは、膨大なデータを分析して重要な洞察を引き出す作業で、医師、弁護士、マーケティング担当者など、多くの人々を支援しています。
ハイ氏は、今年のGTCで、NVIDIAのCEOであるジェンスン・フアン(Jen-Hsun Huang)や、トヨタ・リサーチのCEOであるギル・プラット(Gill Pratt)氏といった講演者の顔ぶれに加わり、それぞれ、マシンが学習を通じて新たな問題を解決するしくみを説明します。
IBMフェローであり、Watson担当バイスプレジデント兼最高技術責任者であるロブ・ハイ氏。当社のGPUテクノロジ・カンファレンスに登壇。
AIブームに火をつける
Watsonは、新世代のコグニティブ・システムの草分けであり、その応用範囲は多岐にわたります。画像分類や、ビデオ分析、音声認識、自然言語処理などの人工知能(AI)テクノロジを活かし、ヘルスケア、金融、教育、法律などの分野で、かつては手に負えなかった問題を解決しています。
GPUは、こうしたAI革命の中心的役割を担っており(「GPUによるAIの高速化――新たなコンピューティング・モデルの誕生」を参照)、もちろんWatsonにも取り入れられています。
昨年、IBMは、Watsonコグニティブ・コンピューティング・プラットフォームにNVIDIA Tesla K80 GPUアクセラレータを採用したことを発表しました。GPUはプラットフォームの一部として、Watsonの自然言語処理機能やその他重要なアプリケーションの向上に寄与しています。
GPUは、並列コンピューティングと呼ばれる、一度に多数のタスクを高速で処理できる能力を備えています。そのため、疎行列/密行列演算、グラフ分析、フーリエ変換といった、コグニティブ・コンピューティングを支える多くの難解な演算タスクに最適です。
NVIDIAのGPUは、PCからスーパーコンピュータまで、これらすべての手法を利用するあらゆるプラットフォーム上のアプリケーションを加速できる能力を実証してきました。GPUの並列コンピューティング能力をこうしたコンピューティング集中型タスクに取り入れることで、より複雑なモデルを十分なスピードで使用して、人間による入力に対応できるシステムを実現できるようになります。
言語を理解する
GPUがWatsonにもたらした能力は、人々が日々生み出す膨大なデータを理解するうえでの鍵となっています。これは、IBMのハイ氏とそのチームがWatsonによる解決を目指している課題です。
世界の総データ量に対する構造化データの割合はわずか20%にとどまり、従来のコンピュータは、残り80%の非構造化データの処理に苦戦しています。つまり、多くの組織が、競争力をもたらすことが期待される非構造化テキスト、ビデオ、音声から、データをまったく(あるいは、あまり)収集できていないのが現状です。
Watsonのようなコグニティブ・システムは、人間の認知能力の再現に向けた出発点として言語の理解に重点を置くことで、こうした状況の変革を目指しています。そのため、IBMのエンジニアは、人間の認知構造における確率的性質に対応できるよう、Watsonを設計しました。
GPUテクノロジ・カンファレンスで各分野をより深く知る
年に1度開催される当社のGPUテクノロジ・カンファレンスは、Watsonをはじめ、自律走行車、人工知能、ディープラーニング、バーチャルリアリティなど、最先端テクノロジについてより深く知るのに最適な場の1つです。
カンファレンスへの登録は、GTC登録ページで行うことができます。