コネクテッド シティの実現: Verizon が安全でスマートな都市づくりに NVIDIA Metropolis を活用

投稿者: Saurabh Jain

安全で、スマートで、環境に優しい街をつくるためには、コネクテッド シティの実現が必要です。この分野に取り組んでいる数少ない企業の 1 つが Verizon です。

同社は、約 100 社で利用されている NVIDIA Metropolisエッジからクラウドまで対応したビデオ プラットフォームを使用して、ディープラーニングを活用した高速なスマート アプリケーションを開発しています。

Verizon は米国で最も信頼されているネットワーク サービス プロバイダーです。同社のスマート コミュニティ グループは複数の都市と協力して、NVIDIA Jetson を搭載したスマート カメラ アレイを街灯や市内の要所に設置するなど、コネクテッド シティの実現に向けた取り組みを進めています。

Verizon スマート コミュニティ グループの製品管理責任者を務めるデヴィッド タッカー (David Tucker) 氏は次のように述べています。「街灯に LED を導入することで、運用コストの大幅な削減が可能になります。世界の各都市でもこうした照明インフラの導入が急速に進んでおり、さまざまなアプリケーションの接続が可能なスマート シティ プラットフォームを構築することで、エネルギーの効率化や新たな市民サービスを実現できると考えています」

Jetson のディープラーニングを活用して複数のビデオデータ ストリームを分析する、「ビデオ ノード」と呼ばれる Verizon のカメラ アレイは、交通量の改善、歩行者の安全確保、都市部の駐車スペースの最適化などに利用することができます。

Verizon は、ニューラル ネットワークのトレーニングで生成された独自のデータセットとモデルを使用したベータ テストを、米国東海岸および西海岸の都市で実施しています。このテストの完了後に、商用リリースの詳細が発表される予定です。

発生前に事故を予測

昨年リリースされた NVIDIA Metropolis プラットフォームのツール、テクノロジ、サポートを利用すれば、交通管理、駐車管理、法の執行、市民サービスなど、あらゆる目的のディープラーニング アプリケーションを開発することができます。

また、エッジ用の組み込み型コンピューティング プラットフォームである NVIDIA Jetson と、サーバーおよびデータセンター用の NVIDIA Tesla GPU アクセラレータによって、高性能のディープラーニング推論を実施できます。

Jetson TX1 を活用した Verizon のビデオ ノードは、都市のネットワークの各エッジからデータを収集して分析します。各エッジ モジュール上のスーパーコンピューターがディープラーニングを高速化することで、リアルタイムの動画分析が実現します。このようなエッジ コンピューティングにより、ほぼリアルタイムで効率的なデータ分析を実施できれば、コストの高い LTE や Wi-Fi ネットワーク経由でのビデオのストリーミングや保存処理を減らすことができます。

このビデオ ノードは、車両、自転車、歩行者などの物体を録画、分類し、相互の影響をほぼリアルタイムで特定します。赤信号での右折などの交通違反、横断歩道から外れた歩行者の動作、パーキング メーターの情報など、あらゆるデータ ストリームを 24 時間提供します。

タッカー氏は次のように述べています。「Jetson なら、GPU を活用してクラウドからエッジまでのスタック全体で一貫したディープラーニング ビューを作成できます」

Jetson を搭載したノードでは、スピード違反や自転車のコースなどのリアルタイム タスクをエッジで処理できるだけでなく、データをクラウドに送信して予測分析を行うこともできます。

「たとえば、交差点 A で起こっていることを特定して、数ブロック先の交差点 B と C にほぼリアルタイムでどのような影響があるのか把握できるようにしたいと考えています」とタッカー氏は説明します。

スマート照明による道路のスマート化

Verizon は、ボストンとカリフォルニア州サクラメントで既存の街灯インフラにビデオ ノードを設置しました。このスマート照明が自動運転車と通信可能になれば、渋滞の緩和や、歩行者や運転手の安全確保などに役立てられるようになります。

このビデオ ノードは、車両、歩行者、自転車の安全をサポートする Verizon の新ソリューションに組み込まれる予定です。世界中の都市のリーダーが交通安全の強化にテクノロジを活用して、安全で住みやすい地域社会の実現を目指しています。

米国の 35 以上の都市が、交通事故による死亡者を削減する世界的な取り組み「Vision Zero」に参加しています。これは 1990 年代にスウェーデンで始まり、現在ヨーロッパ全土と米国で推進されています。ディープラーニングは、その中核を支えています。

GTC 2018 で Verizon のビジョンを公開

先週サンノゼで開催された GPU テクノロジ カンファレンスでは、Verizon のスマート コミュニティ グループでコンピューター ビジョン製品の責任者を務めるアンドリュー ハーソン (Andrew Herson) 氏が「Building Smarter Cities with AI-Powered Applications (AI を活用したアプリケーションによるスマート シティの構築)」というセッションに登壇しました。また、GTC の展示フロアでは、NVIDIA ブースのスマート シティのセクションで、Verizon のインテリジェント街灯のデモを実施しました。