NVIDIA は、これまで以上にスマートな自動車やパワフルな GPU を開発する取り組みを加速させています。NVIDIA の新しいスーパーコンピューター「DGX SATURNV」は、月曜日に発表されたスーパーコンピューターの TOP500 リストにおいて、世界で最も電力効率が優れていると評価されました (速度は全体の 28 位)。
当社の SATURNV スーパーコンピューターは、新しい Tesla P100 GPU を搭載しており、1 ワットあたり 9.46 ギガフロップスのパフォーマンスを実現します。6 月に発表された TOP500 リストでは、最も効率的なマシンは 1 ワットあたり 6.67 ギガフロップスだったため、パフォーマンスを 42% も向上できたことになります。同様のパフォーマンスのスーパーコンピューター、「Camphore 2」システム (Xeon PhiのKnights Landingを搭載) と比較すると、SATURNVは、エネルギー効率が 2.3 倍優れています。
この効率性こそが、「エクサスケール」の速度――1 秒あたり 1018 (10 億 × 10 億) の浮動小数点演算――に到達できるマシンを開発するにあたってのカギとなります。このようなマシンを使用すれば、効率的な新しい燃焼機関を設計したり、クリーンに燃焼する核融合炉をモデリングしたり、医学研究分野で新たなブレークスルーを実現したりすることができます。
超並列アーキテクチャの GPU は、今まで長期にわたり、世界最速のスーパーコンピューターに組み込まれてきました。GPU は、最近の AI ブームでも重要な役割を果たしており、人間と同じように世界を認識し、人間の言葉を理解し、私たち以上に過去の例から学ぶことのできるマシンを開発する際に役立っています (「GPU による AI の高速化――新たなコンピューティング・モデルの誕生」を参照)。
GPU を利用して GPU を設計する
私たちは、AI があらゆる企業の競争力を高めると確信しています。だからこそ、まずは私たち自身の仕事に役立てるため、世界で最も効率的な――そしてきわめてパワフルな――スーパーコンピューターを開発しました。
10 人以上のエンジニアから成るチームが、124 ノードの DGX-1 (当社が 4 月に発表したオールインワン AI スーパーコンピューター) を使って、SATURNV を組み立てました。SATURNV は、当社の自動運転車プラットフォーム「NVIDIA DRIVE PX 2」には欠かせないソフトウェアを開発するのに役立ちました。
チップセット設計と超 LSI を理解するためのニューラル ネットワークのトレーニングも行っており、これによってエンジニアは、より迅速かつ効率的に仕事ができるようになります。つまり私たちは、GPU を利用して GPU を設計しているのです。
さらに重要な点として、SATURNV を用いることで、新しいディープラーニング ネットワークのトレーニング――および設計――を迅速に行うことが可能になります。
DGX-1: AI とスーパーコンピューティングが交差する場所
このようなシステムを利用すれば、企業、研究グループ、学界などのために AI の力を解き放つことができると私たちは考えています。
DGX-1 は、当社の新しい Pascal アーキテクチャをベースに、ディープラーニング ソフトウェア、開発ツール、そして 8 つの Tesla P100 GPU を統合するアプライアンスです。250 台の x86 サーバーと同等の演算能力を、ガスコンロほどの大きさのデバイスに集約しました。
DGX-1 は、その発売以来、AI のさまざまな用途を追求する数多くのチームに採用されています。
- 企業向けソフトウェア大手の SAP は、DGX-1 が搭載された AI スーパーコンピューターを使って、32 万の顧客のために機械学習ソリューションを構築しています。
- OpenAI、スタンフォード大学、ニューヨーク大学などの研究者は、DGX-1 を最先端の研究に役立てています。
- スタートアップ企業の BenevolentAI は、創薬にかかる時間を短縮する取り組みの一環として DGX-1 を使用しています。ディープな自然言語処理、機械学習、および AI を用いることで、複雑な科学情報から新しい有意義な知識を生み出しています。
私たちは、AI――そして DGX-1――が、将来のさらなるブレークスルーにおいて重要な役割を果たすと確信しています。