NVIDIA、医療機器やデバイスのリアルタイム センシングを可能にするAIコンピューティング プラットフォームを発表

投稿者: Kimberly Powell

Clara Holoscan の活用により、開発者はマルチモーダル センサーデータを処理し、物理ベースのモデルを実行し、AI 推論を加速し、高品質のグラフィックスをリアルタイムでレンダリングするアプリケーションを構築可能に

AI と組み合わせた医療機器技術の革新は、医療の各種専門医がロボット支援手術、インターベンショナル ラジオロジー (IVR) 、放射線治療計画などにおけるケアを提供するための、より優れた意思決定ツールをもたらしています。

これを臨床に応用するためには、AI 支援の医療機器にデータをリアルタイムに処理、予測、可視化するための高速なパイプラインが必要となります。

NVIDIA Clara Holoscan は、Jetson AGX Orinを搭載したヘルスケア業界向けの新しいプラットフォームであり、医療機器からのストリーミング データをスケーラブルかつソフトウェア デファインド、そしてエンドツーエンドに処理できるコンピューティング インフラストラクチャを提供します。

NVIDIA Clara Holoscan は、医療機器とエッジ サーバーをシームレスにブリッジするためのエンドツーエンド プラットフォームとして構築されています。開発者は、デバイス上では低遅延のストリーミング アプリケーションを実行し、より複雑なタスクにはデータセンターのリソースを活用する AI マイクロサービスを作成できます。

リアルタイムパイプラインの実現

あらゆるインテリジェントな医療機器には、センサーから始まりデータ ドメインに至り、人間の意思決定のために可視化する類似の処理パイプラインがあります。手元のデバイス (CT スキャナー、内視鏡、ICU 室内カメラなど) に応じて、ワークフローの各段階で必要なコンピュテーションのレベルが異なります。

NVIDIA Clara Holoscan は、次の各フェーズを加速します。

  1. 高速 I/ONVIDIA ConnectX SmartNIC またはサードパーティの PCI Express カードを介した NVIDIA GPUDirect RDMA により、データを GPU メモリに直接ストリーミングして、超低遅延のダウンストリーム処理を実現します。
  2. 物理処理:データが GPU に送信されると、CUDA-XNVIDIA Triton Inference Server が、物理ベースの計算または AI 処理を高速化します。例えば X 線と CT、または超音波でのビームフォーミング センサー データを画像ドメインに変換します。
  3. 画像処理:画像データは、NVIDIA Triton を使用して AI モデルに送られ、オブジェクトを検出、分類、セグメント化、または追跡します。
  4. データ処理:センサーからストリーミングされる画像データを、NVIDIA cuCIM ライブラリを使用して過去に取得した他の画像と組み合わせることにより、開発者は登録を実行したり、電子カルテなどの補足情報でデータを拡張したりできます。
  5. レンダリング:デバイス データと結果の予測は、Clara Render Server を使用してリアルタイムに 3D で可視化できます。また、NVIDIA Omniverse でインタラクティブなシネマティック レンダリングとして、または CloudXR で拡張現実として可視化することで、例えば臨床医にセグメント化されている臓器または腫瘍のより高品質な画像を提供します。

NVIDIA Clara Holoscan は、医療機器から NVIDIA によって認証された、NVIDIA-Certified エッジ サーバー、データセンターまたはクラウド内の NVIDIA DGX システムにまで及ぶ、スケーラブルなアーキテクチャです。このプラットフォームにより開発者は、レイテンシ、コスト、スペース、電力、および帯域幅の要求とバランスを取りながら、必要に応じて医療機器にコンピューティング機能と入出力機能を追加することが可能になります。

医療機器のエコシステムを加速

多くの医療機器メーカーは、AI とロボティクスを取り入れ、ロボット手術、モバイル CT スキャン、気管支鏡検査などに NVIDIA アクセラレーテッド コンピューティング プラットフォームを活用しています。

NVIDIA Clara Holoscan は、デバイス メーカーがデバイスからデータセンターにスケールアップしたり、幅広い NVIDIA AI ソリューションにアクセスしてスケールアウトできるようしたりすることで、このようなアプリケーションをより適切にサポートするために開発されました。

さまざまなセンサー入力を備えたリアルタイム医療機器の開発を加速するために、Clara Holoscan プラットフォームは、AI およびデータ サイエンスのスタートアップ向けの NVIDIA Inception アクセラレーター プログラムのメンバー企業が提供する I/O カードをサポートしています。

  • AJA Video Systems -内視鏡検査および外科用可視化アプリケーション用のビデオ キャプチャ カード
  • KAYA Instruments -顕微鏡および科学画像機器で汎用的に使用されるビデオ キャプチャ カード
  • us4us -ソフトウェア デファインドの超音波ソリューションの開発を可能にする研究用のフロントエンド デバイス

超音波研究のフロントエンド ハードウェアのリーダーである Verasonics は、高速ネットワーク テクノロジを使用してデータを NVIDIA GPU に直接ストリーミングし、Clara Holoscan のサポートを可能にします。

Clara Holoscan SDK:一度開発すれば、どこにでも展開可能

NVIDIA Clara Holoscan を使用すると、開発者はアプリケーションをカスタマイズし、サーバーのみならずデバイス上でも一連のモジュラー マイクロサービスとして実行できるようになります。これはソフトウェア デファインドであるため、医療機器メーカーはソリューションのアップグレードと改善を継続的に行うことができます。

Clara Holoscan SDK は、超音波、デジタル パソロジー、内視鏡検査などのアクセラレーション ライブラリ、AI モデル、リファレンス アプリケーションでこの作業をサポートし、開発者が組み込みとスケーラブルなハイブリッド クラウ ドコンピューティングを活用できるようにします。展開用のエンドツーエンドのプラットフォームにより、企業はインストール ベースを簡単にアップグレードし、日々の医療現場に新たな研究のブレイクスルーをもたらすことができます。

NVIDIA Clara Holoscan を活用されたい方は、NVIDIA Clara Holoscan サイトにアクセスしてください。また、11 月 11 日までオンラインで開催されている NVIDIA GTCで、ヘルスケアにおける AI の詳細をご覧ください。

11 月 10 日 (水) 午前 3 時 30 分 (日本時間) に、NVIDIA のヘルスケア担当バイス プレジデントであるキンバリーパウエルによるヘルスケアの特別講演が予定されています。 NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスンフアンの基調講演は 11 月 9 日にストリーミングされ、リプレイでも視聴可能です。NVIDIA のヘルスケア関連のニュースレターはこちらから購読いただけます。