Rabbit Tractors、マルチタスクに対応するだけでなく必要に応じてスケールアップ可能な自律型農業用ロボットを開発し、従来のトラクターに挑戦
プロの花火師であるザック ジェイムズ (Zack James) 氏が、トラクター市場で新たな導火線に火をつけようとしています。
Rabbit Tractors の創業者であるジェイムズ氏は、マルチタスクに対応するだけでなく必要に応じてスケールアップ可能な自律型農業用ロボットを開発して、従来のトラクターに挑戦しようとしています。
インディアナ州北西部に拠点を置く Rabbit Tractors は、効率化と持続可能性の向上を目指して AI の「開拓」を進める、志を同じくした農業開発畑の中でも、いわゆる「スウォーム ファーミング」を手掛けるスタートアップです。
スウォーム ファーミングとは、散布機、除草機、種まき機、収穫機、ホーラーなどのマルチタスクに対応したロボットの「スウォーム (群れ)」を用いて農作業を行うことをいいます。
この手法は、「Nindamani」や「Twisted Fields」の試作機をはじめ、世界中の初期段階の AI 事業に定着しつつあります。
Rabbit Tractors のロボット群は、モジュール化されていて、常に使用できるようにすることを想定したものです。電動というだけでなく、従来のトラクターよりも軽量で、低コストで運用できます。
「(従来のものに比べて) はるかにシンプルなので、格段にコストを抑えられます。大規模農業の問題は、1 年に 3 週間しか動かさないトラクター 1 台に 100 万ドルものお金をかけてしまうことです」と、ジェイムズ氏は述べています。
ルーツはトウモロコシ地帯
ジェイムズ氏は、29 歳。教師と警察官の息子としてインディアナ州の田舎で育った彼にとって、農業は身近なものです。インディアナ大学で金融を学び、ミシガン大学で法律の学位を取る前には、養蜂用品の会社を立ち上げています。その間、花火大会の運営 (設備の設計と製作) を行ったり、プログラミングや金属加工を独学で身に付けたりもしました。
ジェイムズ氏は、農業機械大手の John Deere や Dow Dupont などが後援するメンタリング プログラム「Iowa AgriTech Accelerator」で Rabbit Tractors を開発しました。また、USDA や政府系基金が支援する「AgLaunch」促進プログラムにも参加しました。
Rabbit Tractors は、テネシー州農務局のバックアップを受けながら、同州の農家と試験運用を進めています。
ジェイムズ氏は、自身のおじが所有する農地で試作機のテストを続けてきましたが、来年にはその土地でより大規模な試験運用に入る予定です。
「もう少しで農地を自律的に耕し、おじが単に農地を貸し出すよりももっと収入が得られるようになるところまで来ています」と、ジェームズ氏は述べています。
スウォーム ファーミング用ロボット
同社のスウォーム ファーミング用ロボットは、同時に動作する 12 台のカメラと 4 台のライダー センサーを装備しています。搭載された NVIDIA Jetson Nano が、マシンからのリアルタイムの物体検出を可能にし、ロボットがあらゆる方向に移動するのを助けています。ニューラルネットワークを実行して作物の列を認識し、「線路」のようにそれに沿って進むことができます、とジェームズ氏は説明します。
マシンは無線メッシュ ネットワークを通じて互いに通信するため、1 台のロボットが学習したことをすべてのロボットで共有できます。トウモロコシ畑の真ん中ではセルラー接続が利用できないことが多いので、この機能が重要になります。
Rabbit Tractors は NVIDIA Inception のメンバーです。NVIDIA Inception は、GPU の技術面でのガイダンスや、Deep Learning Institute の各コースへのアクセス、マーケティングの機会を提供することで、AI スタートアップ企業の育成をサポートするためのプログラムです。
「Inception では、専門家に連絡をとってガイダンスを得ることができるので、製品のリサーチにかかる時間が短縮されます。また、ディープラーニングのコースで素早く情報が得られるため、製品の開発について社内のエンジニアと戦略的に計画を練ることができます」と、ジェイムズ氏は述べています。
画像は Creative Commons のライセンスの下で提供されたものです