イノベーターたちの驚くべき成果を取り上げるドキュメンタリー シリーズ “I AM AI”
健康状態をモニターして、変化があれば反応する医療機器。持ち主がしたいことを事前に察してくれるロボット アシスタント。買い物を手伝い、献立も考えてくれるキッチン。
人工知能 (AI) が世界をどう変えるかという話題は毎日のように耳にしますが、未来のことにばかり注目しているうち、認めざるを得ない事実からは目を背けがちです。すなわち、AI はすでに世界を大きく変えている最中だ、ということです。
天気の予測、がんの発見から、自動運転への第一歩まで、われわれの現在に影響を与える AI の応用が推進されています。
NVIDIA は、AI が与える影響について、示唆を与える多くの話を取り上げるため、“I AM AI” を配信します。これは、完全撮り下ろし、オリジナルのドキュメンタリー シリーズで、いわばビデオによる素描集のようなものであり、AI テクノロジで驚くべき成果をあげているイノベーターの仕事を知る手段となります。NVIDIA は、こういった成果を称賛することで、AI 応用技術を開発している方々へインスピレーションを与えられるよう願っております。
“I AM AI” シリーズの初回では、Aiva 社が紹介されます。同社はフランスの AI スタートアップ企業であり、さまざまなスタイルによるオリジナル音楽の作曲アルゴリズムを開発しました。以降の回は、NVIDIA の YouTube チャンネルと Web サイトで隔週配信されます。
続く回で取り上げられるのは、たとえば、PACCAR 社です。同社は、商用の自動運転車を開発中です。また、Sigma Technologies 社は、ディープラーニングと AI を活用し、肺がんとなった結節の早期識別を手がけています。Roborace は無人走行車による世界初のモータースポーツ選手権です。 (新しい回が投稿されるたびにアラートを受け取るには、こちらをクリックしてください。)
“I AM AI” エピソード 1 のビデオはこちらからご覧下さい。
Aiva 社について
Aiva 社は初回のテーマとして理想的です。同社のテクノロジは 2017 年、サンノゼの GPU テクノロジ カンファレンスにおいて特に注目を浴びたからです。NVIDIA の CEO であるジェンスン・フアン (Jensen Huang) の基調講演に先立って上映された “I AM AI” のオリジナル ビデオでは、Aiva 社の作曲アルゴリズムにより書かれた楽譜が BGM の役目を果たしていました。
Aiva 社の主要なイノベーションは、楽曲をきわめて速く作れるアルゴリズムにあります。しかも、ただの楽曲ではなく、感情を込められた、トップクラスの作曲家たちと同等の楽曲を作れるのです。
同社の AIVA アルゴリズムはクラシック音楽を MIDI フォーマットで保存した膨大なデータベースから始まります。このアルゴリズムは、NVIDIA の GPU 上で学習した再帰型ニューラル ネットワークにより、指定された曲からパターンを探し、基本的なスタイルを理解します。それから、次に何がくるか予測することで、自身を訓練、改善し、目的の音楽スタイルに向けたルールセットの基盤として、この予測を使用します。
では、AIVA アルゴリズムに、学習に使った巨匠からの剽窃をさせないためには、どうすればよいのでしょう。結論を先に言うと、同社のリーダーはもう考えていました。
「GPU コンピューティングを使って、『剽窃チェッカー (plagiarism checker)』と呼んでいるものを作りました」と、Aiva 社 CEO のピエール バロー (Pierre Barreau) 氏は言います。「このチェッカーにより、作られた楽曲が部分的、あるいは完全にデータベースから剽窃されたものでないか、判別可能です」
限界を押し広げる
AIVA アルゴリズムを実際に作曲家と見なすべきか迷っているなら、次のことを考慮してください。すなわち、このソフトウェアはフランスのテレビ番組や映画で利用されただけでなく、SACEM (芸術作品の版権を管理するフランスの団体) によっても認められているのです。
Aiva 社のアルゴリズムは強力ですが、バロー氏は目標をより高いところに持っており、発展途上の性能を後押しするため 3 つの機能を計画していると言います。すなわち、同氏は AIVA アルゴリズムが音楽作品の出来を評価できるようになってほしいと考えています。また、フルオーケストラ向けに直接作曲できること、スクリプトに書いた感情を、それに対応した楽譜へ変換できることも望んでいます。
フランスの高名な作曲家/指揮者であるエリック ブレトン (Eric Breton) 氏は、AIVA による作品の良否判定機能によって、音楽の現状が根本から変わるかもしれないと考えています。同氏によると、作曲家は自身の作品にとらわれすぎているので、そのような判定を下せないのです。
「音楽を判定するということは、その曲の外側に立つことができ、外側から見ることになる、ということを意味します」ブレトン氏は言います。「作曲をするときは、曲の中心にいなければなりません。音楽家にとってテクノロジの使用は、言うまでもなく、自己研鑽の大きなチャンスとなります」
AI イノベーターのページでは、ドキュメンタリー シリーズ “I AM AI” の他のエピソードもご覧いただけます。