防衛、情報、安全保障の機関にとって、膨大な領域におよぶデータを大量に処理するというのは、作業が増大するということです。
彼らは、空や地上で起こっていることを迅速に分析して、戦地の状況を評価し、周囲の安全を確保し、いつ、どのように人材や人道支援を展開するかを決定する必要があります。
人工知能は、複数の情報源から次々と生まれるデータを分類するためのキーになるかもしれません。
このようなデータから洞察を明らかにするため、各機関は、GPUを利用したディープラーニングにますます注目するようになっています。生のデータに潜む関連性のある内容やパターンを、マシン・スピードで識別できるアルゴリズムを利用しようとしているのです。
最新AIのエンジン、GPU
GPUは最新AIのエンジンである、とNVIDIAのソリューション・アーキテクトであるジョン・バーカー(Jon Barker)は、最近のGEOINT年次シンポジウムにおいて、防衛、情報、国家安全など、さまざまなコミュニティの聴衆に語りました。(「GPUによるAIの高速化――新たなコンピューティング・モデルの誕生」をご覧ください)
このイベントは、地図や海図作成などの地理空間情報(GEOINT)の研究を推進する非営利組織であるアメリカ地理空間情報財団が主催しました。
バーカーは、組み込みGPUシステム上のディープラーニングにより、高解像度の航空画像内の物体を、いかにして人間の能力を超えるスピードと正確さで検出、分類、追跡可能にするのかを説明しました。
軍事目標の認識、基盤地図の作成、捜索救難のミッション、人道危機における支援提供の能力を強化することにより、テクノロジーの応用可能性はかなり広がった、とバーカーは述べています。
救援に駆けつけるディープラーニング
ディープラーニング手法を用いるには、さまざまな種類の物体(車や建物など)がラベル付けされた大量のトレーニング画像を利用する必要があります。
これらの画像を使用して人工ニューラル・ネットワークをトレーニングし、初見である新しい画像の実例から、高い精度で物体を検出します。
バーカーによると、数十億個のトレーニング可能パラメータをチューニングすることにより、識別精度は、2010年の約70パーセントから、過去1年間で95パーセント以上に急上昇しました。
2015年、Microsoftの研究者は、GPUの使用により、定評のある画像認識ベンチマークであるImageNetで記録的な成果を達成しました。
Microsoftによる152層のニューラル・ネットワーク(階層の深さが次善のシステムの約5倍)は、事前定義された1,000カテゴリの画像を、96パーセントを超える精度で正確に分類しました。
ブレークスルーは、GPUを利用した強力なニューラル・ネットワークの創造により活気づく、人工知能ルネッサンスの中から登場します。
GPUが実現するものは他にもあります。スピードです。防衛部隊には、無駄にする時間はありません。
4基のNVIDIA Tesla M40 GPUアクセラレータを搭載したサーバを利用すると、ImageNetデータセットを使用するAlexNetのトレーニング時間を1日に短縮できます。デュアルCPUサーバの場合の約2週間とは比べものになりません。
GPUアーキテクチャは、防衛部隊が直面する膨大な数のシナリオに応用するのに十分な適合性を備えています。
リソースのカスタム設計の支援に利用可能な、cuDNNなど、オープンソースのツールやライブラリを利用すると、厳しい予算内で、タイトな予定表に基づいて、実際に現地に赴くはるか前に、予測可能な結果を用いて、最前線の防衛計画を策定できるようになります。
「防衛向けディープラーニングにおける最近の進展」について詳しくは、先日記録されたNVIDIAのウェビナーをご覧ください。