美しさが現れるのは肌の表層上だけなのかもしれませんが、数十億ドル規模を誇るスキンケア業界は、それ以上の領域を探ろうとしています。
現在、ディープラーニングを利用する研究者は、しわやしみ、人の皮膚の健康状態を示しうるその他の特徴(バイオマーカー)に注目し、さまざまなトリートメントの効果の判断に役立てています。
GPUテクノロジ・カンファレンスのプレゼンテーションで、データ科学者のコンスタンティン・キセリョフ(Konstantin Kiselev)氏は、「ほとんどのフィードバックに偏りがあるとき、肌の状態はどうしたら評価できますか?」と問いかけます。米国メリーランド州ボルチモアにある彼の会社、Youth Laboratoriesは、肌のトリートメントの結果をより的確にテストし、身体最大の臓器である皮膚の状態を改善する方法を提案することを目指しています。
キセリョフ氏の研究チームではこれまでに、手作業でタグを付けた300枚のしわの画像を用意し、VGGネットワークとSegNet(画素分離用のディープ・エンコーダー・デコーダー・アーキテクチャ)を使用してテストを実行しました。同氏によると、学習とテスト用にNVIDIA Tesla K80を展開することで、CPUの20倍の速度が得られています。
同チームはさらに、RYNKLという顔用の検出アプリを作成しました。このアプリでは、額、目元、頬、口元に「しわマッピング・ゾーン」を作成し、それぞれの領域を処理して数値を割り当て、それを合計してRYNKLスコアを提示します。
人間の基準を超えて
このアプリ(Google PlayとアップルのAppStoreでベータ版を入手可能)を広めるため、同チームでは、人間の魅力を採点するさまざまなアルゴリズムをテストするためのプラットフォームを開発しました。
そして新しい試みとして、今年のはじめに同チームは、ロボット審査員だけで審査する初のオンライン・ビューティ・コンテストであるBeauty.AIを開始しました。これに参加するユーザーは、Webサイトから、自分の年齢情報と合わせて写真を提出します。第2回コンテストは5月に行われる予定です。
コンピュータ画像、顔認識、機械学習、およびニューラル・ネットワークにおける技術進歩により、キセリョフ氏のチームは、顔写真を使用して、顔の皮膚のバイオマーカーを判別できるようになりました。
最終的に同チームが目指しているのは、年齢を示すその他のバイオマーカーを調べるユーザーフレンドリーなアプリケーションや、皮膚疾患の検出機能を開発したり、肌のトリートメントについて個人に合わせたお勧めの提案を作成したりできるようにすることです。