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グローバル・インパクト:インペリアル・カレッジ、GPUによって脳損傷領域の特定方法を開発

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編集部注:本稿は、2016年のNVIDIAグローバル・インパクト・アワードの最終候補5組のプロフィールを紹介する記事の1つです。このアワードでは、社会的な問題、人道的な問題、環境問題に対処するための革新的な研究をNVIDIAの技術を利用して行った研究者に、賞金$150,000を授与します。

頭部へのあらゆる強い衝撃が、外傷性脳損傷の原因となります。現在、外傷性脳損傷は、公共医療において急速に主な懸念事項の1つとなりつつあります。

インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)では、研究者が、最も複雑な器官である脳へのダメージの診断に役立てるため、GPUとディープラーニングを利用した高度な画像解析ツールの展開を進めています。

同カレッジのコンピューティング学科講師であるベン・グロッカー(Ben Glocker)氏の率いるチームでは、数値的手法が研究の中心となっています。チームのシステムは、生物医学の豊富なスキャン・データを活かして、外傷性脳損傷に関する画像ベースの自動評価を、他のシステムでは不可能なスピードで提供します。

この取り組みにより、グロッカー氏とチームは、2016年のNVIDIAグローバル・インパクト・アワードの最終候補5組の1つに選ばれました。NVIDIAは、社会的な問題、人道的な問題、環境問題に対処するための革新的な研究をNVIDIAの技術を利用して行った研究者に、賞金$150,000を授与しています。


損傷を受けた領域を示す脳の一部

速い応答時間

毎年、数百万の人々が外傷性脳損傷を被っていますが、ほとんどは生死に関わるものではありません。しかし、脳の正常な機能を損なう損傷は、論理的思考力の低下や抑うつといった精神障害や感情的問題とともに、生涯続く原因不明の影響を引き起こす原因にもなりえます。

このような損傷はさまざまな性質を持つため、その特定と治療が難しい場合があります。また、救急医療の現場では、迅速な対応が重要になります。これは、グロッカー氏がドイツの救急車運転手として、自身の公務員としての要件を満たしながら働くなかで直接実感したことです。

グロッカー氏は、次のように述べています。「医師は器官や脳で何が起きているかを確認する必要があり、緊急治療室の画像に基づいて判断を行っています。私たちがコンピューティング技術を利用して進める取り組みは、十分な情報に基づく、より適切な判断を医師が下すのに役立っているのです」

パターンの発見

同チームの博士課程の学生であるコンスタンチノス・カムニツァス(Konstantinos Kamnitsas)氏と他のメンバーは、コンピューター・ビジョンにおいて最も成功を収めたディープラーニング手法の1つである「畳み込みニューラル・ネットワーク」を利用する、独自の画像解析手法を開発しました。この手法では、画像に何千ものフィルタを連続して適用することで、パターンを発見します。

インペリアル・カレッジのチームは、GPUによって加速されたそれらの数値計算ツールを3D医療スキャンに取り入れました。多大な計算を要するこの脳病変セグメンテーション手法は、「Theano」というcuDNN対応Pythonライブラリを使用して開発されました。これにより、CUDAによって加速された数値計算と、NVIDIAの最新技術の最大活用が可能になります。


外傷性損傷の領域を示す脳の切片

各種GeForce GTXグラフィックス・カードの拡張メモリを利用することで、チームはより大規模なネットワークによる実験を行うことができました。また最近、16個のNVIDIA Tesla K80 GPUアクレラレータによるクラスターを研究室に展開したことで、さらに研究が加速されました。

グロッカー氏は、次のように説明します。「GPUは、高速かつ効率的なアルゴリズムを可能にするとともに、この種の画像解析に適したハードウェア・インフラストラクチャを備えています。私たちの研究はGPU抜きでは実現しなかったでしょう。GPUを使えば、1つの脳スキャンの解析が2分で終わりますが、GPUがなければ、何時間もかかっていたはずです」

その結果、脳病変の自動検出およびセグメンテーション用パイプラインが、外傷性脳損傷と関連付けられ、他の最先端セグメンテーション・システムより優れたシステムが生まれました。チームは、自分たちの研究が医療用画像処理における臨床研究を加速させ、診断と治療への効果を早期にもたらすことができると考え、研究グループや医療機関と連携して取り組んでいます。

ケンブリッジ大学の麻酔科責任者であるデビッド・メノン(David Menon)教授は、グロッカー氏と彼のチームの成果について、「外傷性脳損傷の治療の開発と実施に向け、MRIの使用におけるパラダイム・シフトに貢献している」と評価しています。

チームは、自分たちの手法が脳卒中患者や脳腫瘍患者にうまく適用できることを確認しました。さらに、この手法は、心臓や胎児の画像処理にも用いることができます。

2016年のグローバル・インパクト・アワードの受賞者は、4月4~7日にシリコンバレーで開催されるGPUテクノロジ・カンファレンスで発表されます。

2016年のグローバル・インパクト・アワードでのその他の候補者

グローバル・インパクト:GPUによってピンポイントの正確さで海面上昇の監視が可能に

グローバル・インパクト:手術室で眼科外科医が良く見えるようにするのをGPUが支援

グローバル・インパクト:ハイチの地震を機に生まれた、GPUによる構造安全性の新たなマッピング方法

昨年のNVIDIAグローバル・インパクト・アワード受賞者の研究についてもご覧ください。


Tonie Hansen

Tonie oversees corporate responsibility, a function she helped to build since starting at NVIDIA in 2006. As a strategist and communicator, she works across the entire company to streamline social and environmental compliance efforts, as well as drive best practices and leadership initiatives that strengthen NVIDIA’s sustainability, brand reputation, and diversity efforts. She publishes the company’s annual corporate responsibility report and also leads NVIDIA’s charitable foundation, which aims to accelerate solutions to the world’s most pressing issues in health and education. Tonie represents NVIDIA on the board of the Electronic Industry Citizenship Coalition, a consortium through which NVIDIA drives its responsible supply chain initiatives. She earned her MBA in 2000 from Babson College in Massachusetts. In 2014 she was recognized by the Silicon Valley Business Journal as a Women of Influence, and in 2012 she received YWCA Silicon Valley’s Tribute to Women award.

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