OpenUSD と合成データがヒューマノイド ロボットの未来を形作る

合成モーション データ用の NVIDIA Isaac GR00T Blueprint により、ヒューマノイド ロボットのデータ生成とトレーニングを大幅に加速
投稿者: Akhil Docca

※本ブログは、開発者、3D 実務者、企業が OpenUSDNVIDIA Omniverse の最新の進歩を用いてワークフローをどのように変革できるかに焦点を当てたシリーズ、「Into the Omniverse」の最新号です。

ヒューマノイド ロボットが急速に現実のものとなりつつあります。NVIDIA Isaac GR00T を搭載したロボットは、すでに歩行や物体の操作、および現実世界とのインタラクションを学習しています。

こうした高度な機械をトレーニングするために多様かつ膨大なデータセットを集める作業には、多大な時間とコストがかかる場合があります。そこで物理的に正確なデジタル ツインから生成された合成データ (SDG) を使用すれば、研究者や開発者は、AI モデルを現実世界に導入する前にシミュレーションでトレーニングし、検証することができます。

Universal Scene Description (通称 OpenUSD) は、物理的に正確な仮想環境を簡単に構築できる強力なフレームワークです。OpenUSD により 3D 環境を構築できたら、チームが現実的なシナリオに沿った詳細かつ拡張可能なシミュレーションを開発し、そこでロボットが練習や学習を通じたスキルの向上を図ることができます。

こうした合成データは、ヒューマノイド ロボットが人間のような動作、例えば歩行や物体の把持、複雑な環境でのナビゲーションなどを学習するために不可欠です。OpenUSD は、ヒューマノイド ロボットの開発を支援することで、これらの機械が人々の日常生活にシームレスに統合される未来への道を切り開いています。

OpenUSD を活用した NVIDIA Omniverse プラットフォームは、3DCAD やデジタル コンテンツ制作 (DCC) ツールなどのさまざまなソースからの 3D アセットを統合する手段を開発者向けに提供します。これにより開発者は、大規模な 3D 仮想環境を構築し、複雑なシミュレーションを実行してロボットをトレーニングすることが可能になります。その結果、プロセス全体が合理化され、フィジカル AI の共同開発をより迅速でコスト効率の高い方法によって実現することができます。

合成モーション データによりロボットのトレーニングを加速

CES で NVIDIA が発表した合成モーション生成用の Isaac GR00T Blueprint は、開発者が指数関数的に大きな合成モーション データセットを作成し、模倣学習を使用してヒューマノイドをトレーニングするのに役立ちます。

今回のリリースの主なポイントは以下の通りです。

  • 大規模なモーション データの生成: シミュレーションと生成 AI の技術を利用することで、指数関数的に大規模かつ多様な、人間のような動きのデータセットを生成し、データ収集プロセスを高速化します。
  • より迅速なデータ拡張: NVIDIA Cosmos 世界基盤モデルは、Omniverse のグラウンドトゥルース シミュレーションを使用して、フォトリアルな動画を大量に生成します。これにより開発者は、フィジカル AI モデルのトレーニング用の合成データセットをより迅速に拡張して、シミュレーションと現実とのギャップを縮小することが可能になります。
  • シミュレーション優先のトレーニング: 開発者は、現実世界のテストのみに頼る代わりに、仮想環境でロボットをトレーニングできるようになるため、プロセスを高速化し、費用対効果を向上させることができます。
  • 仮想世界と現実世界の橋渡し: 現実のデータと合成データ、そしてシミュレーションに基づくトレーニングとテストの組み合わせにより、開発者は、仮想世界でロボットが学んだスキルを現実世界にシームレスに移行させることができます。

ロボティクスの未来をシミュレーションする

ヒューマノイド ロボットは、複雑な作業を自動化し、人間の労働者の安全性を高めることを通じて、製造、倉庫、物流、ヘルスケアなどのさまざまな業界で、効率性、安全性、適応性を向上させています。

Boston DynamicsFigure などの大手ロボット企業は、すでに Isaac GR00T の導入を開始し、結果を出しつつあります。

OpenUSD の知識を GTC で深める

NVIDIA の GTC で、OpenUSD、ヒューマノイド ロボット、そして AI の最新の進歩について学びましょう。NVIDIA GTC は、3 月 17 日から 21 日までカリフォルニア州サンノゼで開催される世界的な AI カンファレンスです。

NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) による GTC 基調講演は、現地時間 3 月 18 日 (火) に SAP センターの現地またはオンラインで視聴いただけます。AI、デジタル ツイン、クラウド技術、そして持続可能なコンピューティングの未来を牽引する最新技術について語られます。

今回初となる GTC Humanoid Developer Day (ヒューマノイド開発者デー) は、3 月 18 日 (水) に開催されます。各セッションの終了後には、現地で NVIDIA GTC の Physical AI Developer Meetup に参加して、開発者や研究者とご交流ください。OpenUSD や生成 AI を用いたシミュレーション、デジタル ツインといった最新技術のほか、次世代の産業での汎用ロボットなどのイノベーションについてディスカッションすることができます。

3D 開発者および実務者向けの新しい自己学習カリキュラム「Learn OpenUSD」により、USD の使い方を学び、3D ワークフローの長期的な最適化を続けましょう。このカリキュラムは、NVIDIA Deep Learning Institute を通じて無料でご利用いただけます。OpenUSD に関するその他のリソースについては、Alliance for OpenUSD フォーラムおよび AOUSD ウェブサイトをご覧ください。

その他の最新情報については、NVIDIA ニュースにお申し込みください。また、Omniverse コミュニティにもご参加いただけます。InstagramLinkedInMediumX で NVIDIA Omniverse をフォローください。

トップの画像提供: Fourier