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ANA発のスタートアップ、avatarinがオンデマンド ロボットの予約サービスを観光施設に向けて展開

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バーチャル ミュージアムのほか、さまざまな分野への試験運用も拡大

航空宇宙エンジニアである深堀 昂氏と梶谷 ケビン氏は、日中は全日本空輸株式会社に勤務しつつ、夜には共に、新しいコンセプトの開発に取り組んでいました。昨年、彼らは自らが考えてきたアイデアの 1 つである「Robots as a Service(サービスとしてのロボット)」を大きく前進させたいと同社の取締役会を説得し、合意を得ました。

彼らは、ロボット工学者のフェルナンド チャリス氏をパートナーに迎え、程なくANA ホールディングス株式会社の元で、ロボティクス会社を設立したのです。

2020 年に設立された avatarin (アバターイン) 株式会社は東京を拠点とし、現在、同社のテレプレゼンス ロボットは全国 4 か所の観光施設を含め、世界中で100台以上、設置されています。

Robots as a Service (RaaS) は、企業がロボットを導入する際のコストとコミットメントを最小限に抑える新しいビジネスモデルです。avatarin はこのモデルを活用し、オンデマンド型スクーターのようにロボットを企業に提供しています。

「newme (ニューミー)」という avatarin が独自開発したロボットを利用することで、設定した日時、場所でロボットを利用できる予約ができます。newme は NVIDIA Jetson エッジ AI プラットフォームを搭載し、コンパクトなスーパーコンピューティングを実現させているため、自宅のコンピューターからリモートで操作でき、美術館や水族館などの観光スポットのツアーを、低遅延、高解像度で提供することが可能です。

「これは、オンデマンド型スクーターのようなシェアリング エコノミーがもう 1 段階進んだ形で、消費者はモビリティへのバーチャル アクセスが可能になります。当社のお客様にはロボット リソースをさらに多く利用していただけるようになるでしょう」と、avatarin の COO である梶谷 ケビン氏は述べています。

親会社の ANA ホールディングスは、テレプレゼンス ロボットを宇宙事業に投入するなど、非常に高い野心を持っています。同社は早くから XPRIZE のコンペを後援し、梶谷氏および avatarin の CEO である深堀 昂氏の事業を後押ししてきました。

ANA ホールディングスのように歴史ある大企業にとって、Robots as a Service は普通では考えられない大胆な賭けであり、コーポレート イノベーションとロボティクスの未来を垣間見ることができます。

賭け金は高いです。調査会社の Mordor Intelligence 社によると、世界のロボティクス市場は 2020 年に 277 億ドルと推定され、2026 年までに 741 億ドルに達すると予測されています。

Robot as a Service

ロボットの需要はあらゆる業界で高まっています。Mordor 社では、COVID-19 のロックダウンによる労働力不足によって需要に拍車がかかったと見ています。ロボットを導入することで、ヘルスケア、食品デリバリー、製造といったいずれの業界においても、人と人との接触を最小限に抑え、COVID-19 のリスクを軽減することができます。


箱根ガラスの森美術館(神奈川県箱根町)

avatarin の newme ロボットは、神奈川県箱根町にある箱根ガラスの森美術館など、日本各地の美術館に設置されており、物理的に美術館に訪問できない人たちに対応しています。このロボットには正面を向いた LCD スクリーンが搭載され、ナビゲーターがアバターとして表示されて人との対話が可能です。

newme には空間認識能力と、ビジュアルのストリーミングを実現する 2K ステレオ のフロントカメラが搭載されており、現場やそこにいる人たちのリアルなビューをリモート ユーザーに提供します。また、ユーザーは、足元に搭載されたフロアカメラで、移動するロボットをナビゲートできます。動画は NVIDIA Jetson Xavier NX で処理され、バーチャルでのやり取りや AI タスクに対応できるよう 毎秒60 フレームの鮮明なビジュアルを実現します。

Jetson Xavier NX はエネルギー効率が高いため、ロボットはフル充電で 6 時間稼働でき、処理能力はわずか 15 ワットで 21 兆オペレーション/秒を誇ります。

avatarin では、小売、観光、および教育業界のパートナーとともに、ロボット サービスの試験運用を実施しています。

Jetsonが支える自律性

newmeは自力で移動できるため、次のユーザーに備えて自律的に充電ステーションに戻って充電することができます。

avatarin では、自己位置推定とマッピングを同時実行する (SLAM) 技術をロボットに実装することでこの自律性を実現し、ロボットは周囲の屋内マップを独自に生成して移動できるようになっています。

同社は、SLAM と将来の AI における大胆な取り組みを newme に取り入れることができるよう、システムを CPU ベースから NVIDIA GPU に切り替える必要がありました。「SLAM で NVIDIA GPU を使用するフレーム レートが高いほど、より正確なマップの点群情報を取得することができます」と、avatarin の CTO であるフェルナンド チャリス氏は言います。

SLAM により、ロボットは周囲を移動する際にセンサーを利用してマップ (点群) を作成できます。また、アルゴリズムを使用することで、新しいセンサー データをこれまで収集したセンサー データと比較し、ライブで作成されるマップ上の位置を特定できます。

SLAM の導入はデータを多用する多段階の処理を要するため、さまざまなアルゴリズムと GPU の並列処理機能を用いてセンサー データを調整する必要があります。

avatarin では NVIDIA DGX システムを活用して、ナビゲーションやコミュニケーションを強化するために将来搭載される可能性のあるコンピュータ ビジョンタスクや、対話型 AI 向けのニューラルネットワークもトレーニングしています。

深堀氏は次のように述べています。「当社では、newme によって、世界のほぼすべての目的地、さらには宇宙やメタバースさえもバーチャルで体験できる未来を見据えています。さらに、AI を使用してほぼすべての言語でリアルタイムにコミュニケーションすることが可能となるでしょう。」

※本文トップの画像:新屋島水族館(香川県高松市)


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