全ラインナップにNVIDIA プラットフォームを採用
介護施設での高齢者見守り、公共施設での利用者カウント、工事現場の立ち入り検知、道路の交通量計測など、エッジでAIによるインテリジェントビデオ解析を行い、街の安全性を高めたり、ビジネスを加速させる動きが世界中で広がっています。しかし、エッジデバイスに搭載するモデルを開発し、カメラから入力される膨大なデータをリアルタイムで解析し、そのデータをセキュアな状態に保ち、活用するという一連のフローを一般の企業が実現するのは容易ではありません。
エッジマトリクス株式会社と株式会社NTTドコモ(以下ドコモ)は、企業によるAI導入の負担を大きく軽減するためのエッジ向けAIソリューション、「EDGEMATRIX」を共同開発しました。EDGEMATRIXは、エッジでAIを実行するデバイスの「Edge AI Box」、およびそれらを一元管理、制御するためのプラットフォームがセキュアに連携するサービスで構成されています。そしてNVIDIA JetsonをはじめとするNVIDIAのプラットフォームが、Edge AI Boxの全ラインアップの頭脳として採用されています。
NVIDIA Jetsonは、インテリジェントビデオ解析への活用を見据えて開発されており、高い演算能力を持った幅広いラインナップを持つハードウェアを備えているほか、インテリジェントビデオ解析に特化したソフトウェアもあわせて提供しています。また、NVIDIAはGPUを駆使して最先端のスマートシティ向けのアプリケーション開発に取り組む世界中のパートナー企業で構成される、NVIDIA Metropolis パートナー プログラムというエコシステムを擁しています。このようにインテリジェントビデオ解析に対応した総合的なプラットフォームを提供する企業はこれまでになく、これを活用することで両社が目指す製品の実現と効率的な市場導入・普及が期待できることから、エッジマトリクス株式会社とドコモはNVIDIAをEDGEMATRIXにおけるパートナーとして選びました。
Jetson Nano搭載のコンパクトモデルから、NVIDIA T4搭載の5G通信対応ハイグレードモデルまで
Edge AI Boxは、商業施設からスマートファクトリーなど屋内の利用から、落雷や水害など、屋外の環境耐性がプラスされた幅広いラインナップが提供されています。NVIDIA Jetson は、超小型でコストパフォーマンスに優れたJetson Nanoから、小型ながら高性能なJetson Xavier NX、幅広い自律動作マシン向けのNVIDIA Jetson TX2など、さまざまな性能およびフォームファクターで展開されているため、Edge AI Boxのそれぞれの想定シーンに応じた製品が搭載されています。
ドコモは今後、インテリジェントビデオ解析の分野で5G通信は必須になると見据えています。4K監視カメラのリモートモニタリングの需要が増加すること、またそれが複数台にまたがるようになると想定され、これには5Gが可能にする大容量、かつ高速のネットワークが必要不可欠だからです。このため、Edge AI Boxでは5Gモジュールが組み込まれ、大容量通信に対応したハイグレード製品も提供しています。5Gモジュールをデフォルトで組み込んでいるエッジAIデバイスは、WiFiだけでなく、ネットワーク環境がないところでもデータの送受信を端末だけで実行可能であるため、秘境とも言える遠隔地、もしくは危険な場所において人に代わって監視、検知する等、ドコモの5G通信をフルに活用することができます。このハイグレード製品には、4K監視カメラから入力される膨大な映像データに対応できる極めて高い推論処理能力が求められるため、最大 130 TOPS の整数演算 (INT8) 性能を備えたNVIDIA T4 TensorコアGPUが採用されています。
GPUの性能を最大化するよう最適化されたアプリをEDGEMATRIXストアで提供
これまで、多くの企業は一つの目的に特化したAIアルゴリズムを開発し、エッジに搭載するために多大な時間と費用を割いてきました。エッジマトリクス株式会社とドコモは、企業が目的に応じてAIをより気軽かつ迅速に導入できるよう、Edge AI Box に搭載するAIアプリをマーケットプレイス「EDGEMATRIXストア」で提供しています。2021年3月時点で28の多彩なアプリが配信されており、お客様は自由に選んだり、組み合わせることができます。
EDGEMATRIX向けのアプリ開発において、国内外の各AI開発会社はエッジマトリクス社が提供する「EDGEMATRIX Stream Toolkit」を無償で使用できます。「EDGEMATRIX Stream Toolkit」は、NVIDIAが提供するNVIDIA Metropolis プラットフォームに含まれる DeepStream SDKをベースに、独自拡張されたものです。DeepStream SDKは、NVIDIAが提供するビデオ処理向けのパイプラインであり、スケーラブルなインテリジェント ビデオ アナリティクスの開発を簡素化します。また、Edge AI Boxに搭載されたGPUに最適化されているため、アプリが高速で動作します。
豊富なサービス管理機能
Edge AI BoxをEDGEMATRIXサービスに連携すると、エッジAIデバイス上で稼働するAIアプリの配信や更新といった管理もクラウド上で対応可能となるほか、NAT越え機能によるプライベートネットワーク内のカメラ等などへのアクセス、WebRTCによるリアルタイム通信、複数映像の一元管理、各種セキュリティ対策、閉域網接続といった豊富なサービス管理機能を提供しているのも特長です。
このように、EDGEMATRIXには、ハードウェアからソフトウェア、そしてエコシステムを含む、NVIDIAのIVA向けのプラットフォームが活用されており、エッジマトリクス株式会社とドコモは、サードパーティによるオープンなAIのマーケットプレイスやクラウドでのセキュアな管理機能といったサービスも展開することで、これまでにない、映像解析向けのエッジAIソリューションの市場展開を加速させています。
EDGEMATRIXサービスの詳細については、こちらからご覧ください。