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雰囲気を伝える照明: レイ トレーシングによって、「Metro Exodus」 の不気味な世界観を表現

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レイトレーシングを使ったグローバル イルミネーションにより、高い期待を集めているゲームの没入感がより繊細かつ深遠に

スター・ウォーズをテーマにした「リフレクション」のデモのビジュアルがあまりに素晴らしいので、それが映画の一部だと思った人もいるでしょう。

私も GDC 2018 でリアルタイム レイトレーシングのデモを初めて見た時、同じように感じました。その後、それを見た数百人の人々も同様でした。キーボードを叩き、ワイヤーフレームが表示されると、あとは圧倒されるしかありません。

昨年の 10 月、私は PAX Australia でもレイトレーシングのすごさを示すデモを行いました。その時、私は 「Metro Exodus」 がリアルタイム レイ トレーシングのすばらしさを実証するゲーム タイトルになると実感しました。

アートとしてのゲーミング

「Metro」 シリーズは、通常のゲームよりも芸術性が高くなっています。このゲームのクリエイターたちは、自分たちをインスパイアした 「Metro」 原作本のフィーリングを取り込もうと懸命に努力しています。サバイバル ホラー ゲームである 「Metro」 シリーズには、以下のような共通点があります。

  1. ストーリー性重視 – クリエイターは、ストーリー ラインに徹底的にこだわっています。
  2. もの悲しさ – このシリーズは、陰鬱で、暗くて、不気味です。
  3. 驚くべきビジュアル – 素晴らしいゲームにするために「圧倒的なグラフィックス」を追求し、それを支えるテクノロジへの要求もきわめて厳しくなっています。

テクノロジの価値を知るアーティストである、「Metro」 の制作チームは、アーティストとマニアの両方の面を持った、珍しい人種です。つまり、彼らは、最新のテクノロジを駆使して自らのゲームを視覚的に傑出したものにしようとしている、情熱的なゲーム開発者グループの一員なのです。

「Metro Exodus」 を大成功させるために、Deep Silver、4A Games および NVIDIA は、リアルタイム レイトレーシングを使ったグローバル イルミネーションを初めて実装することにしました。

グローバル イルミネーションについては、まずは Unity の記述を見てみましょう。

グローバル イルミネーションは、光源からある面に直接的に当たる光 (直接光) だけに限定するのではなく、ある面から他の面への光の照り返し (間接光) をもモデルにしたシステムです。間接光のモデリングでは、オブジェクトが互いの外観に影響を与えるので、仮想世界をよりリアルで、連続的なものに見せる効果が生まれます。

リアルなグローバル イルミネーションがゲーミング エクスペリエンスに与える効果は、繊細でありながら、深遠なのです。これから、それを説明してみましょう。

ミステリーの欠落

レイ トレーシングにより、前述の手法を駆使して、ゲーム内での効果をより大きくすることが可能になりました。

PAX Australia で私が 「Metro Exodus」 のデモを行ったとき、最初はレイ トレーシングをオフにしました。あなたは眠りから覚め、岸辺の小屋に向かって歩いています。近づいていくと、小屋に入る前にあなたは骸骨を目にし、さらに、小屋の内部の全てのものが目に入ります。あらゆるものがグレーであるため、あなたは、内側は暗いのだと想像します。ゲームは、私たちが見慣れているものの典型的な例となっています。つまり、悪くはないのですが、「正解」ではないのです。

つまり、不気味さが失われています。あらゆるものが目に入っているため、ミステリーがないのです。

レイ トレーシングをオンにすると、小屋に近づいても、骸骨がはっきりとは見えません。小屋の中も、ほぼ漆黒の闇になっています。現実をそのまま見せるのではなく、前途の不安が示唆されているのです。中に入ると、あなたは、壁にぶら下がっている骸骨に衝撃を受けます。


RTX オフ。細部がはっきりと表示されていますが、それほど不気味ではありません。

RTX オン。不気味に感じます。

レイ トレーシングはゲーム チェンジャー

レイトレーシングを使ったグローバル イルミネーションは、「Metro Exodus」 のプレイの仕方を変えます。照明のモデルがより細密になるからです。

レイ トレーシングがオンのときは、暗い小屋の内部を見るために懐中電灯を使わなければなりません。このゲームのリアルな照明モデルでは、目に見えるのは、この光源によって照らされているものだけで、その他のものはすべて漆黒の闇となります。そのため、あなたは、光が当たっているエリア、つまり懐中電灯が作り出す光の輪に意識を集中しなければなりません。

レイ トレーシングがオフのときは、懐中電灯が必ず必要というわけではありません。懐中電灯を使うと、明るいエリアだけでなく、光の当たっていないエリアにも意識が向くのがわかります。危険がどこからやって来そうか、分かってしまうからです。


RTX オフ。意外な場所に光が当たっています。

RTX オン。映画のような照明。ジャンプ スケア(あなたを突然驚かせるようなこと)の要素がたくさんありそうです。

気持ちに正直に

レイトレーシングを使ったグローバル イルミネーションを実装した 「Metro Exodus」 は、ショット「A」のほうがショット「B」よりよく見えるでしょう、とアピールするような、よくある「見た目のわかりやすさ」を訴求するデモではありません。このゲームに対するテクノロジの最大の貢献は、ある種の心理的効果にあります。リアルな照明は、人間の心の底に潜むものに触れるようなムードを生み出します。照明が視覚に微妙に作用することにより、これまでのビデオ ゲームでは感じたことがないような感覚や感情が喚起されるようになるのです。

最初にあの小屋に入ると、レイ トレーシングがあなたを緊張状態に陥れます。このような不気味さは、これまで映画でしか表現できませんでした。

レイ トレーシングがオフのときは、自分の内なる声が、こうささやきます。「ここで怖がるべきなんだろうな…ここは暗くて、不気味な場所なんだろうな」レイ トレーシングがオンのときは、本当に真っ暗。本当に不気味。そして、本当に怖い。

レイ トレーシングの効果: 絵空事にはならない

私たちは、これまでの半生、ずっと訓練されてきました。太陽によって。今何時なのかがわかるようになるために。腕時計がなくても、私たちは、夜明けや正午、午後 4 時、夕暮れなどを感じることができます。それぞれが異なった照明特性を持っていて、考えなくともそれがヒントになっているからです。

レイ トレーシングをオンにしたときの 「Metro Exodus」 のデモでも、同じことが言えます。プレイ中に昼夜のサイクルを経験するからです。レイ トレーシングをオンにしているとき、私は大きな湖でバッテリ式の小さなボートに乗って魚釣りをしているときと同じ感覚になります。太陽が沈みつつあると、私の内なる声が不安を伝えてくれます。「荷物をまとめろ。すぐに暗くなるぞ。このボートは小さすぎるので、この湖で夜を過ごすのは無理だ。灯りもない。危険が迫っているぞ!」

ゲームでレイ トレーシングをオンにしているときも、コンセプトは同じです。「急げ、ミッションを完遂せよ。陽は沈みつつある。森にはミュータントがいるぞ。危険が迫っているぞ! 急げ!」レイ トレーシングをオフにしていると、照明による微妙な手掛りよって緊張感が失われます。夜に、ミュータントだらけの森のなかを走り回らなければならないという不安がなくなるのです。

そこから、没入感の違いが生まれます。

レイトレーシングされたグラフィックスはまったく別物

レイ トレーシングは、コンピューター グラフィックスをレンダリングするためのより好ましい方法とされてきましたが、NVIDIA RTX 登場前には、その性能を得るのに莫大な費用がかかるので、ゲームでの使用は不可能でした。

映画ではそういうことはなく、最近の 10 年間でレイ トレーシングが使われるようになり、圧倒的にリアルな特殊効果が作られました。映画制作者たちは、部屋一杯のコンピューターを使って、そのようなシーンをオフラインでレンダリングするという贅沢なことをしています。

現在、ゲームでは NVIDIA が 15 年前に世に送り出した、プログラマブル シェーダー テクノロジが使われていますが、このテクノロジは一般的なものになっています。ゲームをよりよく見えるようにするためには、リアルタイムでコンピューター グラフィックスを処理する、新しい方法が必要となっています。

レイ トレーシングは、ゲーミング業界の未来です。私は、他のゲーマーも私と同じように、照明による本能的な反応を感じて欲しいです。「Metro Exodus」 をプレイすることで、レイ トレーシングがゲームにもたらす効果を分かってもらえるでしょう。


Brian Burke

Brian joined NVIDIA in 2000 to do PR for the GeForce product line and is currently responsible for notebook GPUs and special projects, including authoring the nTeresting newsletter. He has more than 18 years of experience in high-tech PR. Before joining NVIDIA, he did stints at 3dfx, STB Systems and Diamond Multimedia, among other places. When not working, Brian can be found roaming the sidelines as a volunteer Pee Wee football coach. He is a fan of music, mixed martial arts and football. As a father of two, he has begrudgingly embraced console gaming and gets beat by both his sons regularly and soundly. He usually blames the controller.

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