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森の中へ: GPS が機能しない道を NVIDIA のドローンが行く

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GPS がなければ大半のドローンは迷子になるでしょう。でも、こちらのドローンは違います。

NVIDIA の研究者チームが開発したドローンなら、もっとも広範囲にわたる地図にない場所でも、NVIDIA Jetson TX1 を搭載する AI スーパーコンピューターによって実現したディープラーニングとコンピューター ビジョンだけを使って進むことができます。

当初は、森のトレイルに沿って遭難したハイカーを救助したり、倒木を発見したりする目的で設計されたこの低空飛行の自律型ドローンですが、GPS が正確に機能しない場所や利用できない場所、たとえば超高層ビルの谷間や建物の中など、森林以外での活躍も期待されるようになっています。

NVIDIA チームの技術リーダーであるニコライ スモリャンスキー (Nikolai Smolyanskiy) は、次のように述べています。「GPS が機能しない場合でもこのドローンなら大丈夫。必要なのはドローンが視覚的に認識できる道だけです。」

ドローンの写真
研究チームは、コストを抑えるために既製のコンポーネント
を使ってドローンを組み立てました。

GPS がなくても大丈夫

このテクノロジはまだ実験段階ですが、ゆくゆくは損壊した建物内にいる生存者の捜索や、トンネル内の線路の点検、商品棚の在庫確認への利用のほか、水中の通信ケーブルの検査に応用できる可能性がある、とスモリャンスキーは言います。

同チームは、すでにドローンが線路に沿って進むトレーニングを行い、廊下をたどって進む車輪付きロボットにそのシステムを移植済みです。また、このドローンは、人、ペット、柱などの障害物をよけることもできます。

「私たちが森林を実験場に選んだのは、森林がおそらくもっとも移動しにくい場所だからです。そのような環境での移動にディープラーニングを利用できれば、場所を問わず移動できるだろうと考えたわけです。」

一般的に縁石の高さや郵便ポストの形、歩道の幅などが統一されている、都市型の環境とは異なり、森林はより雑然としています。森の中のトレイルにはマーキングがないことも多く、日光が葉によって遮られることや、明るい日向から暗い日陰まで光の状態もさまざまです。また、木の高さ、幅、角度、枝振りも一定ではありません。

飛行記録

研究者チームは、コストを抑えるため、NVIDIA Jetson TX1 と 2 台のカメラを搭載した既製のドローンを使って独自のデバイスを組み立てました。

スモリャンスキーは次のように説明します。「全体的な趣旨は、カメラを使って環境を把握し、移動できるようにすることです。Jetson が高度な AI をドローンに搭載できるコンピューティング パワーを提供してくれます。これはリモート環境での操作には欠かせないものです。」

GPS を使わずに移動するドローンの実現を目指すのは、NVIDIA チームが初めてではありませんが、NVIDIA の研究者チームは、この種のドローンで最長距離のもっとも安定した飛行だと自分たちが考えるものを実現しました。その完全自律型ドローンは、1 キロのトレイルに沿って障害物をよけながら、トレイルの中央で安定したポジションを保ったまま飛行します。

チーム メンバーのアレクセイ カーメネフ (Alexey Kamenev) は、これを達成するうえで重要な役割を果たしました。彼は、ドローンのふらつきにつながる突発的な動きを抑えて、トレイルに沿ったスムーズな飛行を可能にするディープラーニング技術を開発するとともに、これまでディープラーニング システムのトレーニングに求められてきた大量のデータの必要性を減らしました。

次のビデオでは、ドローンがワシントン州にある研究チームのレドモンド オフィス近くの森林トレイルを進む様子をご覧いただけます。緑の領域はロボットが飛行可能と判断した範囲、赤の領域は飛行不可と判断した範囲です。

パンくずは不要

このドローンは、太平洋岸北西部の約 13 キロのトレイルに沿ってスモリャンスキーが撮影したビデオを確認することで、進路を発見する方法を学習しました。スモリャンスキーは、小型セグウェイに取り付けた金属棒の中央と左右に搭載した 3 台の広角 GoPro カメラで、さまざまな光の状態を録画しました。

自作のビデオに加えて、研究者チームは「TrailNet」という独自のニューラル ネットワークのトレーニングにおいて、スイスの Istituto Dalle Molle di Studi sull’Intelligenza Artificiale (IDSIA) の AI 研究者チームがスイス、アルプスで撮影したビデオを利用しました。

実際に、ドローンの森林での移動における IDSIA の研究は、NVIDIA の自律型ドローンチームにとって 1 つの刺激となりました。そして、もう 1 つの刺激となったのが、NVIDIA の自律走行自動車である「BB8」です。

次のステップ

同チームは次に、Jetson TX1 と Jetson TX2 用のダウンロード可能なソフトウェアを開発して、視覚情報だけで移動するロボットを誰もが開発できるようにする予定です。

長期的には、Google マップや建築計画を問わず、地図上の 2 点間を移動できるようにロボットを教育し、進路上の障害物をよけながら問題なく移動できるようにしたいと考えています。

同チームの取り組みの詳細については、「Toward Low-Flying Autonomous MAV Trail Navigation using Deep Neural Networks for Environmental Awareness」 をご覧いただくか、GPU テクノロジ カンファレンスでのチームによる説明をご覧ください。

リグを手にする Nikolai Smolyanskiy の写真
研究者 Nikolai Smolyanskiy が、無人機を訓練するためにビデオをキャプチャするために使用したリグ

Jamie Beckett

Jamie most recently spent four years as director of communications at Stanford’s School of Engineering, and previously served as managing editor for Cisco’s newsroom and for HP Labs’ newsroom. She began her career as a journalist, and spent a decade at the San Francisco Chronicle. Earlier she worked at the Stamford Advocate, in Connecticut, where she was part of a team that was nominated for the Pulitzer Prize.

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