皆さんネコがお好きですが、ネコのフンが好きな人はいませんよね。
そこで、NVIDIAのエンジニアであるロバート・ボンド (Robert Bond) は、ディープラーニングとNVIDIAのJetson TX1開発プラットフォームを利用し、ネコを認識すると家のスプリンクラー・システムのスイッチが入る仕組みで、敷地内のネコを優しく追い払っています。
システム・ソフトウェア・エンジニアとしてNVIDIAに8年以上勤め、65歳になるボンドは言います。「ガーデニング好きの妻が、庭をきれいに清潔にしておきたいんだ」
ボンドは、ネコに罠を仕掛けるというアイデアをすぐに却下しました。それでは隣人として友好的とはいえません。そこで、より技術的な解決策を利用しようと決めました。
ボンドは、ディープラーニングやJetsonの素人ではありません。昨年、台所の床を時折小走りするアリに、無害の5ミリワットのレーザ・ビームを照射するシステムを構築しました(「あるNVIDIA社員がJetsonによるレーザ『アリ退治』を開発」をご覧ください)。
そこで、ボンドはJetsonの可能性を理解したのです。驚いたことに、Jetsonを利用すると、きわめて迅速かつ効果的にボンドの問題を解決できました。
そして、10~15時間ほど、こっけいな大失敗を重ねながら改良した結果、ボンドは、Jetson TX1開発キットのディープラーニング機能を頼りに、精度の高い、Tegraによるシステムを開発しました。このシステムはネコを識別し、家にあるスプリンクラー・システムのスイッチを入れます。
ボンドは言います。「実際、そんなにたいへんな作業ではなかったよ。新しいJetson TX1は、ニューラル・ネットワークの実行にとても優れているからね」
仕組みはシンプルです。動きを検知すると、前庭に照準を合わせたFoscam FI9800P IPカメラが画像を撮影します。画像は、カリフォルニア大学バークレー校で開発され、FCN (セマンティック・セグメンテーションのための全畳み込みニューラル・ネットワーク) として知られる高度なディープラーニング・ソフトウェアの1つを実行するJetson TX1に入力されます。
ボンドは、このソフトウェアをトレーニングするため、NVIDIA GeForce GTX TITANグラフィックスカードが稼働するデスクトップシステムを使って、できるだけ多くのネコの画像を処理しました。初めは、システムがボンドの影をネコと誤認し、庭に入るとボンドがびしょ濡れになっていました。
ロバート・ボンドのプロジェクトについて詳しくは、http://myplace.frontier.com/~r.bond/cats/cats.htmをご覧ください (自身でスマート・スプリンクラー・システムを構築できる説明書が付いています)。
最後には精度が向上し、ソフトウェアはネコの検知を学習しました。FCNは、セグメンテーション・ネットワークとして知られているので、このシステムは、ネコを識別するだけでなく、庭のネコの位置も識別します (後で仕組みを説明します)。
ネコが検知されると、ディープラーニング・ソフトウェアが中継器とParticle Photonボード (製作者の間で普及している開発キット) に無線信号を送信します。このボードは、スプリンクラー・システムの注水制御ボックスにはんだ付けされており、水道が動き始めます。
ボンドが自ら設定した次の課題は、ネコを検知するだけではなく、その位置を検出するFCNの能力を利用して、リモコン・カーを差し向けて動物を追い払うことです。これは確かに楽しいでしょうね。おそらく必要はないでしょうが。
ボンドによると、プロジェクトが完了してから数日のうちに、近隣のネコが彼の家の庭に近寄らなくなりました。驚いたことに、それは、あるネコがボンドの自家製システムに何度も水をかけられた後のことだそうです。
つまり、ネコも学習できるのですね。
ロバート・ボンドのプロジェクトについて詳しくは、http://myplace.frontier.com/~r.bond/cats/cats.htmをご覧ください (自身でスマート・スプリンクラー・システムを構築できる説明書が付いています)。
写真提供: Jesse Milan、Flickrより (条件付き画像使用可)。
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