「Vulkan」グラフィックスAPIが登場――NVIDIA GPUもスタンバイ

投稿者: Neil Trevett

皆さまがGeForceのゲーマーなら、Vulkan APIの機能を楽しむために必要なものはもうお持ちです。開発者なら、幅広いデバイスでより高度な制御機能と高いパフォーマンスを提供する新しいツールを選択いただけるようになります。

NVIDIAのVulkanサポートは、Vulkanのリリース当日に、複数のプラットフォームだけでなく、『The Talos Principle』のような最先端ゲームにも提供できることから、業界でもっとも尊敬を集める評論家からも注目されています。

Jon Peddie Researchの社長であるジョン・ペディー(Jon Peddie)氏は、次のように述べています。「APIのリリース当日に『The Talos Principle』のようなゲームをプレイできるのは、前例のない偉業といえます。多くのオペレーティング・システムにわたる、NVIDIAのマルチプラットフォームの互換性とVulkanに完全に準拠したドライバのサポートは、Vulkanの開発におけるNVIDIAの指導的役割を証明するものです」

GeForceのゲーマーは、本日Croteamからリリースされるパズル・ゲーム『The Talos Principle』のVulkanバージョンを、いち早くプレイすることになります。
GeForceのゲーマーは、本日Croteamからリリースされるパズル・ゲーム『The Talos Principle』のVulkanバージョンを、いち早くプレイすることになります。

Vulkanとは

Vulkanとは、完全な制御機能を必要とする開発者に、GPUの直接アクセスを提供する低レベルAPIです。よりシンプルかつスリムなドライバを採用したVulkanでは、従来のOpenGLやDirect3Dに比べ、レイテンシとオーバーヘッドが抑えられています。また、効率的なマルチスレッド機能も搭載されているので、マルチコアCPUでグラフィックス・パイプラインのロードを維持できるようになり、既存のハードウェアから新たなレベルのパフォーマンスを引き出すことが可能になります。

Vulkanは、クロスプラットフォームの、初の新世代・低レベルAPIです。Vulkanによって、開発者は、各種のオペレーティング システムを使用するさまざまなPC、モバイル・デバイス、埋め込みデバイスに対応するアプリケーションを開発できるようになります。OpenGLと同様、Vulkanは、どのプラットフォームでも採用できる、オープンでロイヤルティ・フリーの業界標準です。OpenGLやOpenGL ESを使い続けることを希望される開発者のために、NVIDIAは、こうした従来のAPIに基づくイノベーションの促進にも引き続き取り組みます。

Vulkan誕生の背景

Vulkanは、クロノス・グループ(Khronos Group)によって策定されました。クロノス・グループは、各種のプラットフォームやデバイス上でダイナミック・メディアのオーサリングや高速な再生を可能にすべく、ロイヤルティ・フリーのオープンスタンダードAPIを策定するため、NVIDIAをはじめ幅広いハードウェア企業およびソフトウェア企業が参加する標準化団体です。NVIDIAは、Vulkanの策定において指導的役割を担うことができ、誇りに感じています。また、Vulkanを利用して当社のGPUを最大限活用していただけるよう、開発者の支援にも取り組んでいます。

Vulkanに注目すべき理由

Vulkanは、開発者に最適なAPIです。複数のプラットフォームにわたるアプリケーションのポーティング・コストを削減し、新たな市場機会をもたらします。しかし、もっともすばらしいのは、Vulkanを利用するのに必要なNVIDIAのドライバがすでに揃っていることです。NVIDIAでは、リリース当日に、Windows、Linux、Androidプラットフォーム向けのVulkan対応ドライバを取り揃えています。詳しくは、Vulkan対応ドライバに関するページをご覧ください。

Vulkanが皆さまに提供するすばらしい利点は、それぞれ次のとおりです。

GeForce GPUを利用するゲーマーに対応:Vulkanの低いレイテンシと高い効率性により、開発者は、優れたパフォーマンスを維持しながらも、より細かいディテールや多くの特殊効果をゲームに組み込むことが可能になります。また、Vulkan対応ドライバはよりスリムでオーバーヘッドが低いため、アプリケーション開発者は、予想外のパフォーマンスに直面することが減ります。こうしたことが、より洗練された滑らかな体験につながります。

NVIDIAは、Kepler GPUまたはMaxwell GPUをベースとするすべてのGeForceボード向けに、Windows(Windows 7以降)またはLinuxで動作する、Vulkanに完全に準拠したドライバをリリースします。Oculusの最高技術責任者のジョン・カーマック(John Carmack)氏は次のように述べています。「当社は、Vulkan開発のために、NVIDIAのハードウェアとドライバをWindowsとAndroidの両方で利用してきましたが、CPUオーバーヘッドの削減効果は感動的です。」GeForceのゲーマーは、本日Croteamからリリースされるパズル・ゲーム『The Talos Principle』のVulkanバージョンを、いち早くプレイすることになります。Croteamのシニア・プログラマであるディーン・セクリウッチ(Dean Sekuliuc)氏は、次のように述べています。「当社は、過去にもNVIDIAのドライバ・サポート・チームとの連携ですばらしい成果を得た経験がありますが、それでも、VulkanにおけるNVIDIAの貢献は驚くべきものでした。NVIDIAから最新のベータ・ドライバが即座に提供されたことで、当社は新しいAPIをSerious Engineにすばやく実装し、『The Talos Principle』をVulkanに対応した初のタイトルの1つとすることができたのです。何もかもがスムーズでした」

・Quadroを利用するプロのアプリケーション開発者に対応:NVIDIAのVulkan対応ドライバとOpenGLドライバは、VulkanでのGLSLシェーダの使用を可能にする、統合バイナリ・アーキテクチャを採用しています。また、開発者は、OpenGLを使い続けるか、Vulkanの新機能を利用するためOpenGLからVulkanへのスムーズな移行を計画するか、柔軟に選択できます。たとえば、Vulkanのマルチスレッド・アーキテクチャによって、複数のCPUコアで、GPU用の大量のデータを、かつてないほど迅速に準備できるようになります。これにより、デザインおよびデジタル・コンテンツ作成アプリケーションにおいて、大規模モデルとのインタラクティビティが向上します。

・Tegraを利用するモバイル開発者に対応:当社は、AndroidとLinuxの両方の開発者にVulkanを提供します。Vulkanは、Androidの将来のバージョンにおけるコアAPIとして、OpenGL ESと共にリリースされる予定です。つまり、標準のAndroidには、グラフィックスとコンピューティングが統合された最先端のAPIが搭載されることになります。最終的に、Tegraに搭載されたGPUの能力が引き出され、最新のビジョンおよびコンピューティング・アプリケーションだけでなく、優れたゲーム・グラフィックスにも対応できるようになるでしょう。開発者は、NVIDIA SHIELD Android TVやAndroid対応SHIELDタブレットのコーディングや、組み込みLinux開発用のJetsonで、Vulkanを利用できます。

Vulkanに関する詳細について

詳細については、こちらをクリック、または米国カリフォルニア州サンノゼで4月4~7日に開催されるGPUテクノロジ・カンファレンスにお越しください。このカンファレンスでは、一連のVulkanセッションが行われる予定です。

Vulkan、NVIDIAのドライバ、およびNVIDIA GPUの組み合わせによって、皆さまがどのようなイノベーションを実現されるか、とても楽しみにしています。