NVIDIA CEO が LA で開催の SIGGRAPH 基調講演で生成 AI をハイライト

投稿者: Brian Caulfield

ジェンスン フアンが何千人もの開発者やグラフィックスのプロを前に、アップデートされた GH200 Grace Hopper Superchip、NVIDIA AI Workbench、生成 AI を活用した NVIDIA Omniverse の新機能などを発表

生成 AI がますますデジタル化し、ハイパーコネクテッドな世界を席巻し続ける中、NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) は、世界最高のコンピューター グラフィックス カンファレンスである SIGGRAPH に帰ってきました。

フアンは火曜日、ロサンゼルスで行われた特別講演において数千人の聴衆と対面しながら、「言わば『iPhoneモーメント』である生成 AI の時代が到来しています」と語りました。

ニュースのハイライトには、次世代の GH200 Grace Hopper Superchip プラットフォームNVIDIA AI Workbench (NVIDIA AI プラットフォーム上でのモデルのチューニングと展開の簡素化を導入する新しい統合ツールキット)、および生成 AI と OpenUSD による NVIDIA Omniverse へのメジャー アップグレードが含まれます。

これらの発表は、AI、仮想世界、アクセラレーション、シミュレーション、コラボレーションなど、過去 10 年間のイノベーションをすべて統合するものです。

フアンは、「グラフィックスと人工知能は切り離せないもので、グラフィックスにはAIが必要であり、AIにはグラフィックスが必要です」と述べ、AIは仮想世界でスキルを学び、さらに仮想世界の創造に役立つことを説明しました。

ファンダメンタルからAI、リアルタイム グラフィックスへ

5 年前の SIGGRAPH で、NVIDIA は AI とリアルタイム レイ トレーシングを GPU に導入することでグラフィックスを再発明しました。しかし、フアンは、「人工知能を使いコンピューター グラフィックスを再発明している一方で、私たちは人工知能用の GPU も完全に再発明していました」と語ります。

その結果、8 基の GPU (合計 1 兆個のトランジスタ) を搭載する NVIDIA HGX H100 などのシステムがますます強力になり、CPU ベースのシステムに比べて劇的な高速化が実現したのです。

「これが、世界のデータセンターがアクセラレーテッド コンピューティングに急速に移行している理由なのです」と、フアンは聴衆に語りかけました。「買えば買うほど節約になるのです」

AI の勢いを継続するために、NVIDIA は、72 コアの Grace CPU と Hopper GPU を組み合わせた Grace Hopper Superchip である NVIDIA GH200 を開発し、5 月に量産を開始しました。

フアンは、すでに生産されている NVIDIA GH200 に加え、最先端の HBM3e メモリを搭載したバージョンも追加されることを発表しました。

この次世代の GH200 Grace Hopper Superchip プラットフォームは複数の GPU を接続して優れたパフォーマンスと容易に拡張可能なサーバー設計を実現する機能を備えます。

新しいプラットフォームは、大規模言語モデル、レコメンダー システム、ベクトル データベースにわたる、世界で最も複雑な生成ワークロードを処理するために構築されており、幅広い構成で利用できるようになります。

デュアル構成は、現行世代製品と比較して最大 3.5 倍のメモリ容量と 3 倍の帯域幅を実現し、144 個の Arm Neoverse コア、8 ペタフロップスの AI パフォーマンス、および 282GB の最新の HBM3e メモリ テクノロジを備えた単一サーバーで構成されます。

大手システム メーカーは、2024 年の第 2 四半期にこのプラットフォームをベースにしたシステムを提供する予定です。

SIGGRAPH プロフェッショナル グラフィックス カンファレンスにて行われた NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) の基調講演は満席でした

NVIDIA AI Workbench がカスタム生成 AI の導入を加速

世界中の企業による生成 AI のカスタム導入を促進するために、フアンは NVIDIA AI Workbench を発表しました。 開発者が PC またはワークステーション上で生成 AI モデルを迅速に作成、テスト、ファインチューンするための、統合された使いやすいツールキットを提供し、それらをほぼすべてのデータセンター、パブリック クラウド、または NVIDIA DGX Cloud に拡張できます。

AI Workbench は、エンタープライズ AI プロジェクトを開始する際の複雑さを解消します。開発者は、ローカル システム上で実行される簡素化されたインターフェイスを通じてアクセスし、カスタム データを使用して、Hugging Face、GitHub、NGC などの一般的なリポジトリからモデルをファインチューンすることができます。モデルは複数のプラットフォーム間で簡単に共有可能です。

現在、何十万もの事前トレーニング済みモデルが利用可能ですが、利用可能な多くのオープンソース ツールを使用してそれらをカスタマイズするのは困難で時間がかかる場合があります。

「このような能力を民主化するには、ほぼどこでも実行できるようにする必要があります」とフアンは語りました。

AI Workbench を使用すると、開発者は数回クリックするだけで生成 AI をカスタマイズして実行できます。 これにより、必要なエンタープライズ グレードのモデル、フレームワーク、ソフトウェア開発キット、ライブラリをすべて統合された開発者ワークスペースにまとめることが可能となるのです。

「誰もがこれをできるようになるのです」と、ファンは語ります。

Dell Technologies、Hewlett Packard Enterprise、HP Inc.、Lambda、Lenovo、Supermicro などの主要な AI インフラストラクチャ プロバイダーは、ローカル デバイスを含め、開発者が作業したい場所にエンタープライズ生成 AI 機能を提供できる AI Workbench を採用しています。

フアンはまた、NVIDIA と 200 万人のユーザーを抱えるスタートアップの Hugging Face とのパートナーシップを発表しました。これにより、大規模言語モデルやその他の高度な AI アプリケーションを構築する何百万もの開発者が生成 AI スーパーコンピューティングを利用できるようになります。

開発者は、Hugging Face プラットフォーム内の NVIDIA DGX Cloud AI スーパーコンピューティングにアクセスして、高度な AI モデルをトレーニングおよび調整できるようになります。

「これは、世界最大の AI コミュニティを世界最高のトレーニングとインフラストラクチャに接続するまったく新しいサービスになります」とフアンは述べました。

フアンはビデオの中で、AI Workbench と ChatUSD がどのようにすべてを統合するかを紹介しました。例えば、ユーザーは GeForce RTX 4090 ノート PC でプロジェクトを開始し、プロジェクトが複雑になるにつれワークステーションやデータセンターにシームレスに拡張することができます。

デモではユーザーが Jupyter Notebook を使用し、モデルに Toy Jensen が宇宙にいる写真を生成するよう指示しました。Toy Jensen を見たことがないモデルが提供した結果が機能しなかったため、このユーザーは Toy Jensen の 8 枚の画像を使用してモデルをファインチューンし、正しい結果が得られるように再度モデルを促しました。

その後、AI Workbench を使用して、新しいモデルをエンタープライズ アプリケーションに展開しました。

新しい NVIDIA Enterprise 4.0 ソフトウェアが AI 導入を推進

生成 AI の導入を加速するさらなるステップとして、NVIDIA はエンタープライズ ソフトウェア スイートの最新バージョンである NVIDIA AI Enterprise 4.0 を発表しました。

NVIDIA AI Enterprise は、企業が生成 AI の導入に必要なツールにアクセスできるようにすると同時に、企業が大規模に展開するために必要なセキュリティと API の安定性も提供します。

Omniverse のメジャー リリースで産業デジタル化のための生成 AI、OpenUSD を統合

OpenUSD フレームワークと生成 AI を使用し、3D パイプラインを最適化および強化するための新しい基盤アプリケーションとサービスを開発者と各種産業の企業に提供するために、フアンは、ツールや仮想世界を横断して構築、シミュレーション、コラボレーションするための OpenUSD ネイティブの開発プラットフォームである NVIDIA Omniverse のメジャー リリースを発表しました。

フアンはまた、3D ツール間での記述、シミュレーション、コラボレーションを行うためのフレームワークおよびユニバーサルなデータ交換である OpenUSD に対する NVIDIA の貢献についても発表しました。

Omniverse プラットフォームのアップデートには、NVIDIA Omniverse Audio2Face 基盤アプリと空間コンピューティング機能だけでなく、ネイティブ OpenUSD アプリケーションおよび拡張機能を開発するためのエンジンである Omniverse Kit の進化も含まれています。

Cesium、Convai、Move AI、SideFX Houdini、Wonder Dynamics が OpenUSD 経由で Omniverse に接続できるようになりました。

さらに、Adobe と NVIDIA が、Adobe Substance 3D、生成 AI、OpenUSD イニシアチブ全体で連携を拡大し、Adobe のクリエイティブな生成 AI モデルのファミリーである Adobe Firefly を Omniverse の API として利用できるようにする計画も発表されました。

Omniverse ユーザーは、ARKit や RealityKit などの他の OpenUSD ベースの空間コンピューティング プラットフォームと互換性のあるコンテンツ、エクスペリエンス、アプリケーションを構築できるようになりました。

フアンは、OpenUSD として知られる Universal Scene Description の導入を加速するための、開発者や企業向けの幅広いフレームワーク、リソース、サービスについても発表しました。これには、地理空間データ モデル、メトリクス アセンブリ、OpenUSD 向けのシミュレーション対応 (SimReady) などのサポートが含まれます。

フアンはまた、開発者向けに OpenUSD パイプラインとアプリケーションをよりシームレスに実装および展開できるように、NVIDIA によって構築された 4 つの新しい Omniverse Cloud API も発表しました。

  • ChatUSD — OpenUSD のデータとシーンを扱う開発者やアーティストを支援する ChatUSD は、テキストから Python-USD コード スクリプトを生成し、USD の知識に関する質問に答えるための大規模言語モデル (LLM) エージェントです。
  • RunUSD — アップロードされたファイルの OpenUSD リリースのバージョンとの互換性をチェックし、Omniverse Cloud でレンダリングを生成することにより、OpenUSD ファイルを完全にパス トレースされたレンダリング イメージに変換するクラウド APIです。
  • DeepSearch — タグ付けされていないアセットの大規模なデータベースを介した高速なセマンティック検索を可能にする LLM エージェントです。
  • USD-GDN Publisher — 企業やソフトウェア メーカーが、USD Composer などの Omniverse ベースのアプリケーションから Omniverse Cloud Graphics Delivery Network (GDN) に高忠実度の OpenUSD ベースのエクスペリエンスを公開できるようにするワンクリック サービスであり、Web ブラウザーやモバイル デバイスにリアルタイムでのストリーミングを可能にします。

これらのサポートは、NVIDIA が Pixar、Adobe、Apple、Autodesk とともに Alliance for OpenUSD を共同設立するという先週の発表を発展させたものです。

強力な新しいデスクトップ システムやサーバー

これらすべてにさらなるコンピューティング能力を提供するために、NVIDIA と世界的なワークステーション メーカーは、生成 AI とデジタル化の時代における開発とコンテンツ制作のための強力な新しい RTX ワークステーションを発表することをフアンは発表しました。

BOXX、Dell Technologies、HP、Lenovo のシステムを含むこれらのシステムは、NVIDIA RTX 6000 Ada 世代 GPU をベースにしており、NVIDIA AI Enterprise および NVIDIA Omniverse Enterprise ソフトウェアを組み込んでいます。

これとは別に、NVIDIA はNVIDIA RTX 5000RTX 4500RTX 4000 の3 種の新たなデスクトップ ワークステーション 向け Ada 世代 GPU をリリースし、最新の AI、グラフィックス、リアルタイム レンダリング テクノロジを世界中の専門家に提供します。

フアンはまた、NVIDIA が世界中のデータセンター システム メーカーと協力して、強力なユニバーサル データセンター プロセッサ設計である新しい NVIDIA L40S GPU を搭載した新しい NVIDIA OVX によって 生成 AI と産業デジタル化を強化し続けていることについても詳しく説明しました

強力な新しいシステムは、AI のトレーニングと推論、3D デザインとビジュアライゼーション、ビデオ処理、NVIDIA Omniverse プラットフォームを使用した産業デジタル化など、最もコンピューティング集約型の複雑なアプリケーションを加速します。

新しい機能をもたらす NVIDIA Research

NVIDIA Research によるさらなるイノベーションが登場しています。

SIGGRAPH のリアルタイム ライブ イベントでは、NVIDIA の研究者が生成 AI ワークフローをデモンストレーションしました。これは、アーティストがテキストまたは画像のプロンプトを使用して 3D シーンのマテリアルを迅速に作成および反復し、カスタムのテクスチャ マテリアルをより迅速に、より細かいクリエイティブ制御で生成できるようにするものです。

また、NVIDIA Research は、新しい 3D 機能を使用して AI がどのようにビデオ会議を次のレベルに引き上げられるかをデモしました。 NVIDIA Research は最近、AI が最小限のキャプチャ機器で 3D ビデオ会議システムをどのように強化できるかを実証する論文を発表しました。

NVIDIA Enterprise で利用できるようになった Maxine の製品版を使用すると、専門家、チーム、クリエイターなどが AI の力を活用して、標準のマイクや Web カメラを使用した場合でも、高品質のオーディオおよびビデオ エフェクトを作成できるようになります。

フアンの基調講演のリプレイは、NVIDIA の SIGGRAPH イベント ページでご覧いただけます。ショー全体で行われるラボ、プレゼンテーションなどの詳細も掲載されています。