ブルーレイ・プレーヤーストリーミング・ボックス。ゲーム・コンソール、ケーブルTVのボックス、たくさんのリモコン、点滅するライト、無数の配線。
折りたたみの携帯電話にGPS、ノートパソコン、デジタル・カメラを持ち歩く人はいなくなりました。スマートなアプリの登場で、バッグいっぱいのモバイル機器がひとつにまとまり、本当にモバイルなものとなったからです。それなのに、いまだにリビングルームはまるでロボット工場かと見間違うような状態のままです。くつろぐための場所であるはずなのに。
しかし、あきらめるのは早すぎます。もうすぐ、スマート・アプリですっきりすることになりそうなのです。
この木曜日に開催された毎年恒例のデベロッパ会議で、Androidを――さらには130万に達するそのアプリとGoogle提供のクラウド・サービスを――リビングに届けるAndroid TVをGoogleが紹介しました。また、その10日後には、Appleのデベロッパ会議でApple TVの新型が発表されるはずだと業界関係者は予想しています。
未来はすぐそこまで来ている
テクノロジ業界の巨人たちがTVの再発明に挑むのは、これが初めてではありません。しかし、必要なピースがすべてそろったのは今回が初めてでしょう。今回はまず、コンテンツが充実しています。Netflix、YouTube、Twitch.tvがスマートフォン、PC、インターネット対応ストリーミング・ボックスですでに人気となっています。
アプリも同じです。モバイル・ゲームの世界では、いままでにないパワフルなやり方でコンテンツとコミュニティが一体化されつつあります。最後のピースは、これらすべてを自在に操れるだけのパワーです。それがAndroid TVのフラッグシップとなる機器、NVIDIA SHIELDです。
そのポテンシャルは膨大です。新世代のスマートなエンターテイメント・アプリにより、世界最大級――影響力も最大級――の業界が生まれかわるものと期待されているのです。有料TV業界は世界全体で2570億ドルもの規模があります。TV広告が1700億ドル。コンソール・ゲームの売上高は260億ドル。しかも、これはほんの始まりにすぎません。
配線を切ってコンテンツをつなぐ
最初のキラー・アプリとなるのはオンデマンド・コンテンツでしょう。従来型ペイTVのユーザ数は何年も前から横ばいになっていますが、Netflixには5700万人とComcastの2200万人の倍以上ものユーザがいます。ビデオゲームのライブ・ストリーミングをてがけるTwitch.tvは、月間ユニーク・ユーザが1億人を超えています。Tabloなどのアプリを使えば、家庭内のインターネット接続機器を経由して地上波やケーブル・テレビの番組を見られますし、さらには録画することも可能です。
Androidを通じ、Googleは、このようなアプリの基盤となるコネクテッド・ソフトウェアを構築したわけです。たとえばSHIELDでは、Android TVの高度な音声認識機能により(この機能は、何百万人ものスマートフォン・ユーザがチューニングしてくれている)、望みのコンテンツを楽しむことができます。使いにくいスクリーン上のキーボードにいらいらすることはありません。もっと未来が感じられることがあります。映画を見ているとき、登場人物についてGoogleのサーバに問い合わせを出し、その俳優が出ている作品のリストを調べるなどが簡単にできるのです。ここから興味深いことがわかったり、思いもよらなかった作品を推奨されたりといったことが生まれます。
SHIELD: The app revolution will now be televised.
破壊的アプリ
新世代のコネクテッド・アプリがあれば、TVファンが昔から夢見てきた機能が現実となります。Netflixなどのアプリはクラウドベースのサーバに接続して見たいコンテンツを提供してくれます。一人ひとりに合わせたコンテンツの提供を実現してくれるのです。お腹が空いてバーベキューでもしようかという場合でも大丈夫。同じくらい便利なアプリが用意されており、なんでも、タブレットからクリックひとつで手元に届けてもらうことができます。
未来をかいま見るケーススタディとしては、モバイル・ゲームのことを考えてみるのが一番かもしれません。もとからAndroidに組み込まれているため、モバイル・ゲームでは、高度なオンライン・ゲームプレイとアプリ内購入、ファンが集まるオンライン・コミュニティが混然一体となっています。その結果、今年、モバイル・ゲームの売上高は300億ドルを突破し、初めてコンソール・ゲームを抜くと予想されています。PCやコンソールを対象としてきたデベロッパ各社も、いま、次々とヒット作をAndroidやiOSに移植しています。
消費者の手に十分なパワーを
この状況の変化についていくのは大変です。機器の買い換えは通常、7年から8年ごとに行われます。その機能は、わずか49ドルで購入できるインターネットストリーミング対応機器が簡単に上回ってしまいます。
SHIELD: This is how you play TV.
いま、必要なのは、このようなスマート・アプリを活用できるメディア対応能力の高いパワフルなプロセッサです。また、2018年には、超高画質の4Kテレビが1億台以上も普及すると見込まれています。SHIELDには256コアのTegra X1プロセッサが搭載されており、高画質・大画面の世界でアプリを存分に使うだけのパワーを持つ世界初のセットトップ・ボックスだと言えます。
次に来るもの
今後は、コネクテッドのスマートフォン、タブレット、セットトップ・ボックス、そして、パワフルなアプリという消費者の流れをメーカ各社が追いかけ、このようなトレンドがますます加速するものと思われます。Pricewaterhouse Coopersによると、オンラインTV向けの広告は昨年の37億ドルから2018年には97億ドルとなり、TV広告に占める割合も倍以上になると予想されています。
ABC、CBS、Fox、HBOなどの放送事業者も、iOSやAndroidのアプリを通じて消費者にコンテンツを配信するようになりつつあります。Red Bullなども同じです。ジェリー・サインフェルドのように対応に乗りだす人気スターも登場しました。コメディアンのサインフェルドは、ホンダ系ブランドのアキュラと提携してコンテンツをバンドルし、『Comedians In Cars Getting Coffee』という人気のオンライン・ビデオ・シリーズのブランディングを推進しています。
NVIDIA SHIELDがあれば、このすべてを自在に楽しむことができます。それだけではありません。デベロッパとしてキラー・アプリを作り、テレビと新しいコンテンツや機能とを型破りな形でつなぐことも可能です。
さあ、ポップコーンの在庫は十分でしょうか。これから楽しくなりますよ。