「In the NVIDIA Studio」- 創造性を再定義: 新しい GeForce RTX 40 シリーズ GPU と NVIDIA Studio のアップデートが AI 革命を加速

次世代のレイトレーシングと Tensor コアに加え、デュアル AV1 NVIDIA エンコーダーが、3D、ビデオ制作、ライブ配信、ゲームの MOD 作成などのための新しいツールを強化します。

コンテンツ制作は、かつてないほどの勢いで急成長しています。

現在、世界中で 1 億 1,000 万人以上のアーティストが仕事や趣味で、ノートPCやデスクトップパソコンを使って、さまざまなコンテンツを制作しています。美しい作品を造形する 3D アーティストもいれば、インフルエンサーを目指す人が TikTok でヒットを狙うビデオを編集しています。

NVIDIA Studio は、新しい GeForce RTX 40 シリーズ GPU、110 の RTX によって加速するアプリケーション、また Studio ソフトウェアスイート、検証済みシステム、クリエイター専用の Studio ドライバ、およびソフトウェア開発キットを提供することで時代に対応し、アーティストが想像力のスピードで創作できるように支援しています。

今週、NVIDIA GTC 基調講演で発表された新しい GeForce RTX 40 シリーズ GPU と驚異的な AI ツールは、超効率な NVIDIA Ada Lovelace アーキテクチャをベースとしており、コンテンツ制作をこれまで以上に高速かつ容易に行うことができます。

新しい GeForce RTX 4090 は、大幅なパフォーマンスの向上、第 3 世代レイトレーシングコア、第 4 世代 Tensor コア、第 8 世代 NVIDIA デュアル AV1 Encoder、そして 1TB/s の帯域幅に達する 24GB の Micron G6X メモリを搭載しています。GeForce RTX 4090 は、3D レンダリング、AI、ビデオの書き出しにおいて、GeForce RTX 3090 Ti の最大 2 倍の高速化を実現します。

GeForce RTX 4080 は、16GB と 12GB の 2 種類が用意されているため、クリエイターはプロジェクトのニーズに応じて最適なメモリ容量を選択することができます。RTX GeForce 4080 16GB は、RTX 3080 Ti より最大 1.5 倍高速です。

基調講演は、NVIDIA Omniverse 上で制作された「NVIDIA Racer RTX」の息を呑むようなデモで幕を開けました。NVIDIA Omniverse は、仮想コラボレーションとリアルタイムのフォトリアルなシミュレーションに対応したオープンプラットフォームです。このデモは、新しい DLSS 3 テクノロジで動作しており、4K 解像度、60 フレーム/秒 (FPS)、リアルタイムの完全なレイトレーシングと超リアルな物理演算で、最新の NVIDIA テクノロジを紹介しています。

これは、次世代のコンテンツ制作とゲーム開発の青写真です。世界はもはや、プリベイクされたものではなく、物理的に正確な完全なシミュレーションの時代に突入しています。

「In the NVIDIA Studio」ブログシリーズの特集記事では、「Racer RTX」のメイキングが詳しく解説されています。

3D クリエイターだけでなく、ゲームの MOD 制作者 (PC ゲームコミュニティのクリエイター) 向けにも、NVIDIA は、魔法のような RTX および AI ツールを導入しました。Omniverse アプリケーションの RTX Remix は、Valve の名作『Portal』の無料ダウンロードコンテンツである『Portal with RTX』で、RTX ON にするために使用されています。

ビデオ編集者やライブ配信者にも、大きなメリットがあります。新しいデュアルエンコーダーは、ビデオの書き出し時間を半分に短縮します。ライブ配信者は、第 8 世代 NVIDIA Encoder で、AV1 エンコーディングのサポートを含む、優れたエンコーディングを利用できます。

AI による画像生成や、DaVinci Resolve の新しいビデオ編集ツールなどの画期的な AI テクノロジは、創造性の新たな波をもたらしています。「速さのその先」を行く GeForce RTX 4090 および 4080 グラフィックスカードは、次なる AI 革命を後押しし、前世代と比べて最大 2 倍の AI 性能を実現します。

3D の新しいパラダイム

GeForce RTX 40 シリーズ GPU と DLSS 3 は、3D アーティストに大幅な性能向上をもたらします。完全にレイトレーシングされ、正確な物理演算とリアルなマテリアルに対応した環境で、リアルタイムにプロキシなしで制作を行うことが可能になります。

DLSS 3 は、AI を搭載した第 4 世代 RTX Tensor コアと、GeForce RTX 40 シリーズ GPU の新しいオプティカルフローアクセラレータを使用して、追加フレームを生成し、FPS を劇的に向上させることができます。これにより、NVIDIA Omniverse、Unity、Unreal Engine 5 などの 3D アプリケーションでの作業中に、ビューポートの動きが滑らかになり、高速化します。

Intel Core i9-12900K、UHD 770、64GB RAM 搭載のデスクトップで、NVIDIA が 2022 年 9 月に実施した性能測定。NVIDIA ドライバ 521.58、Windows 11。Autodesk Maya の Arnold 2022 レンダラーの性能を、NVIDIA SOL 3D モデルのレンダリング時間で測定。Blender 2.93 は、Blender OpenData ベンチマークで、OptiX レンダーエンジンを使用し、さまざまなシーンのレンダリング時間を測定。Redshift バージョン 3.0.45 では、さまざまなシーンのレンダリング時間を計測。

NVIDIA Studio ソフトウェアスイートに含まれている NVIDIA Omniverse は、創造性とコラボレーションをさらに進化させます。新しい Omniverse アプリケーションである RTX Remix は、ゲームの MOD 制作者の手に強力な新ツールを提供します。

MOD 制作者とは、ゲーム業界にいる数百万人のクリエイターのことで、年間何十億ものダウンロード可能なゲーム用 MOD を生み出しています。MOD 制作者は、このアプリを使用すれば、世界で最も MOD の多いゲームの 1 つである『The Elder Scrolls III: Morrowind』など、互換性のある多数の DirectX 8 および 9 タイトルのライブラリをリマスターすることが可能です。テストとして、NVIDIA のアーティストが、DLSS 3 と強化されたアセットを使用して、見事なレイトレーシングで『Morrowind』のあるシーンをアップデートしました。

すべては魔法のようなキャプチャツールから始まります。ワンクリックするだけで、ジオメトリ、マテリアル、ライティング、カメラを Universal Scene Description 形式でキャプチャすることができます。AI テクスチャツールは、超高解像と物理ベースのマテリアルにより、アセットを最新のものに変換にします。Autodesk Maya や Blender などに対応した Omniverse Connector を使えば、アセットをリアルタイムで簡単にカスタマイズすることができます。

アーティストは RTX Remix のレイトレーシングや DLSS を使って、クラシックゲーム用の卓越した MOD を簡単に作れるようになります。

各 MOD 制作者は、Omniverse に接続されたアプリでコラボレーションを行い、RTX Remix で変更内容を確認しながら、ゲーム全体のアセットを置き換えることができます。RTX Remix は、最先端のレイトレーサー、DLSS 3 などを搭載しており、クラシックゲームを素晴らしいグラフィックスで簡単にリマスターすることができます。

RTX MOD は、既存の MOD と並列で動作します。つまり、Nexus Mods のようなサイトにある幅広いコンテンツを、最新の RTX ですぐに更新することができます。こちらで登録すれば、RTX Remix が利用可能になり次第、通知を受け取ることができます。

この新しい MOD プラットフォームの強力な機能は、『Portal with RTX』の制作にも使用されました。

『Portal』のファンの皆様は、Steam のウィッシュリストに『Portal with RTX』のダウンロードコンテンツを登録しておけば、史上初の RTX Remix MOD ゲームを 11 月に体験できます。

ビデオ制作の未来を高速化

GeForce RTX 40 シリーズ GPU は、ビデオ制作を大きく進化させます。GeForce RTX 40 シリーズの新しいデュアルエンコーダーは、書き出し時間を半分近くに短縮するため、ビデオの書き出しを待つ間の手持ち無沙汰な感覚もかなり軽減されるでしょう。

デュアルエンコーダーは、互いに連携して自動的に作業を分担し、アウトプットを倍増させることができます。また、GeForce Experience と OBS Studio を利用することで、最大 8K、60FPS のコンテンツをリアルタイムで録画し、感動的なゲームプレイビデオを作成することもできます。

デュアルエンコーダーは、GeForce Experience と OBS Studio を利用することで、最大 8K、60FPS のコンテンツをリアルタイムに録画できます。

Blackmagic Design の DaVinci Resolve、Adobe Premiere Pro の人気プラグイン Voukoder、中国でトップのビデオ編集アプリである Jianying はすべて、AV1 サポートと、エンコードプリセットによるデュアルエンコーダーに対応します。これらのアプリは、10 月にデュアルエンコーダーと AV1 に対応する予定です。また、人気のビデオエフェクトアプリである Notch は AV1 に、Topaz は AV1 とデュアルエンコーダーに対応できるよう、NVIDIA と協力しています。

AI ツールは、ビデオ制作のスピードを革新しています。プロは面倒な作業を自動化し、将来の映像作家はスタイリッシュなエフェクトを簡単に追加することが可能になっています。Blackmagic Design の DaVinci Resolve に搭載されている AI ベースの「オブジェクトマスク」ツールを使用すれば、ロトスコープ (実写映像の一部をフレームごとに印をつけていく工程) をほぼ瞬時に行うことができます。GeForce RTX 40 シリーズ GPU では、この機能が前世代の製品と比べて 70% 高速化されます。

Blackmagic Design のソフトウェア開発担当ディレクターであるロイットグプタ (Rohit Gupta) 氏は、次のようにコメントしています。「新しい GeForce RTX 40 シリーズ GPU を使用すれば、AI とデュアルエンコーディングの力によって、ユーザーのビデオ制作スピードを加速させ、作業を短時間で完了させることが可能になります。」

コンテンツ制作者は、GeForce RTX 40 シリーズ GPU により、主要なビデオ編集アプリの既存の機能もスピードアップさせることができます。GPU がエフェクトやデコーディングを高速化することで、REDCINE-X PRO、DaVinci Resolve、Adobe Premiere Pro において、プロキシを使わずにリアルタイムで超高解像度の RAW 映像での作業を可能にし、計り知れないほどの時間を節約します。

ライブ配信者などにエンコーディングのメリットをもたらす AV1

オープンなビデオエンコーディングフォーマットの AV1 は、約 20 年前の H.264 のリリース以来、エンコーディングで最大の飛躍を遂げています。GeForce RTX 40 シリーズは、第 8 世代 NVIDIA Video Encoder (NVENC) を搭載しており、AV1 をサポートするようになりました。

Intel Core i9-12900K、UHD 770、32GB RAM 搭載のデスクトップで、NVIDIA が 2022 年 9 月に実施した性能測定。NVIDIA ドライバ 521.58、Windows 11。第 7 世代 NVENC (H.264) と第8世代 NVENC (AV1) を使用し、いずれも最高品質の P7 プリセットで、エンコード品質を BD-SNR として測定。

ライブ配信者向けには、新しい AV1 エンコーダーによって効率が 40% 向上します。つまり、ライブ配信の帯域幅が 40% 増加したかのような状態となり、画質が大きく改善されます。また AV1 は、ハイダイナミックレンジ (HDR) などの高度な機能にも対応しています。

NVIDIA は OBS Studio と協力し、最近リリースされた HEVCと HDR のサポートに加えて、今年後半に予定されている次のソフトウェアリリース内に AV1 を追加します。OBS はまた、エンコーディングパイプラインを最適化することにより、すべての NVIDIA GPU でオーバーヘッドを 35% 削減します。新リリースではさらに、NVIDIA Broadcast エフェクトのアップデートを予定しており、ノイズやルームエコーの除去、バーチャル背景の改善などが実装されます。

NVIDIA は Discord とも協力して、AV1 を使ったエンドツーエンドのライブ配信を実現します。Discord は、年内にリリースされるアップデートで AV1 機能を提供することにより、ゲームプレイ、学校の授業、友人との遊びのときの画面共有が劇的に改善される予定です。

開発者が AV1 をシームレスに導入できるようにするため、NVIDIA は、10 月に NVIDIA Video Codec SDK 12 を AV1 に対応させる予定です。開発者は、Microsoft Media Framework で直接、Google Chrome と Chromium を通じて、また FFMPEG で、NVENC AV1 にアクセスできるようになります。

ライブ配信にとってのメリットは、GeForce RTX 40 シリーズ GPU での AV1 エンコーディングだけではありません。NVIDIA Broadcast のベースとして開発者向けに提供される SDK は、Logitech、Corsair、Elgato のデバイスでネイティブな機能としてサポートされており、OBS や Notch ソフトウェアでの高度なワークフローを実現しています。NVIDIA は GTC で、AI を活用した以下の最新エフェクトを紹介しました。

バーチャル背景：人気の機能で、時間的な情報を含んで処理することで、背景のオブジェクトが点滅して気が散ることがなくなります。この機能は OBS Studio の次のバージョンで利用可能になる予定です。
顔の表情推定：非常にシンプルなウェブカメラでも、アプリを使って顔のメッシュの表情を正確にトラッキングできるようにする新機能です。特に VTuber にとって極めて有用な機能で、VTube Studio の次のバージョンに搭載される予定です。
アイコンタクト：ポッドキャスターなどのクリエイターが、カメラに目線を合わせているように見せることができるようになります。これは、ユーザーが原稿を読む時や、目をそらしてチャットウィンドウで視聴者とやり取りするときなどに非常に便利な機能です。

「Racer RTX」のメイキング

クリエイティブディレクターのガブリエレレオーネ (Gabriele Leone) が率いる NVIDIA のグローバルチームは、GeForce RTX 40 シリーズ GPU が実現する革新的なテクノロジを紹介する目的で、美しいデモ「Racer RTX」を制作しました。

チームは、ウェストロサンゼルスの街並みを再現し、非常にリアルなラジコン (RC) カーのコースに変身させました。

Leone とそのチームは、完全にプレイ可能な物理ベースの RTX デモ「Marbles at Night」の上を行く作品を仕上げることを目指しました。GPU 性能の向上と NVIDIA Omniverse の画期的な進歩の結果、「Racer RTX」では、ユーザーがさまざまなサンドボックス環境を探索できる一方で、アーティストは驚異的な 3D 世界を制作できるようになったことが紹介されています。

Laone によると、このデモでは、「事実上すべてがシミュレーションされている」次世代のコンテンツ制作のあり方を垣間見ることができます。「近い将来、ライティングのベイクは不要になります。コンテンツは、非常に強力な GeForce RTX 40 シリーズ GPU による完全なシミュレーションになるでしょう。」

本プロジェクトのアーティストは、Omniverse のリアルタイムエディターにより、ライトの作成、マテリアルのデザイン、物理演算の操作、エレメントの調整、アップデートの確認などを即座に行うことができました。オブジェクトの移動、新しいジオメトリの追加、サーフェスタイプの変更、物理演算の微調整も実施しました。

従来のラスタライズワークフローでは、レベルやライティングをベイクする必要がありました。また、一般的なアート環境では、1 度に 1 人しか特定のレベルでの作業を行えないため、結果的に面倒な反復も多くなり、制作工程に長い時間がかかります。しかしこうした課題は、Omniverse で克服されました。

動作のアニメーション制作も、クリエイターにとっては複雑な手作業が必要になります。Leone は、NVIDIA MDL ベースのマテリアルと Omniverse の PhysX を使用することで、各サーフェスやオブジェクトが現実と同じ動作をするように自動的にテクスチャ化し、モデリングしました。例えば、野球のボールを何かにぶつけると、跳ね返り、その勢いがなくなるまで、他のオブジェクトとぶつかりながら転がっていきます。

「Racer RTX」では、プリベイクが不要なコンテンツ制作の未来を垣間見ることができます。

チームは、GeForce RTX 40 シリーズ GPU と DLSS 3 により、完全にレイトレースされたデザインビューポートを通して、4K、60FPS (GeForce RTX 3090 Ti の 4 倍の FPS) で修正を加えることが可能になりました。

そして、このチームの取り組みは、まだ始まったばかりです。「Racer RTX」のデモは、11 月に開発者やクリエイター向けに提供され、ダウンロード、探索、微調整が可能になる予定です。リリース前に、ぜひ Omniverse を使用してみてください。

NVIDIA Studio プラットフォームの AI と GPU アクセラレーション機能は、以上のような驚異的な進化を遂げました。ゲーマー、3D アーティスト、ビデオエディター、ライブ配信者にとっては、今がアップグレードの絶好のタイミングです。さらに、実戦テスト済みの NVIDIA Studio ドライバは、あらゆるクリエイターにプロの感覚を提供します。9 月のドライバはダウンロード可能です。