NVIDIA、AI の市場導入に向けて、Volvo、Volkswagen、ZF、Autoliv、HELLA と新たに提携

投稿者: Danny Shapiro

欧州の自動車市場で躍進を続ける NVIDIA は本日、AI テクノロジの市場導入に向け、ヨーロッパ大陸主要企業 5 社との提携を続けて発表しました。

NVIDIA の創設者兼 CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) は、ドイツのシュトゥットガルト郊外で開かれた年次 Automobil Elektronik Congressの講演に登壇し、AI ベースのディープラーニング テクノロジを、自律走行における「劇的な技術 (spectacular)」だと表現しました。

フアンが発表した次のような NVIDIA の新しいパートナーシップや提携は、10 兆円規模の交通市場における NVIDIA の躍進を裏付けるものです。

フアンは 30 分間の基調講演で、「自動車業界ほど革命的変化を遂げている業界はほかにありません。その中で当社はたいへん重要な役割を果たしています」と、500 人を超える自動車分野のエグゼクティブを前に述べました。

さらにフアンは、NVIDIA DRIVE の「Car-to-Data-Center」コンピューティング モデルについて説明しました。このモデルによって、車両は周辺環境を認識し、非常に詳細な地図上での位置を正確に判断し、安全な進路を計画します。カンファレンスでは、NVIDIA の自律走行車エコシステムのメンバー (特に、Bosch、VW、HELLA、および Audi) がフアンの発表を引き継ぎ、自律走行への道のりについてプレゼンテーションを行いました。

フアンは、NVIDIA の自律テクノロジの中心が NVIDIA DRIVE PX であると説明しました。NVIDIA DRIVE PX は、非常に強力な AI 車載コンピューティング プラットフォームであり、消費電力はわずか 30 ワットです。この性能によって、自動車が実質的に自動運転可能なレベル 4 の自律機能が実現します。

NVIDIA の最新の発表は、AudiMercedes といった欧州企業や ToyotaTesla Motors との既存の提携を基盤とするものです。

Volvo Cars および Autoliv との提携

Volvo Cars と Autoliv、そして両社の折半出資会社で自動車用ソフトウェアを専門とする「Zenuity」は、NVIDIA と連携して、NVIDIA DRIVE PX 車載コンピューティング プラットフォームに基づく次世代の自動運転車テクノロジの開発を進めます。

本合意は、安全性への取り組みで有名なスウェーデンの自動車メーカー Volvo が、18 か月前に発表した提携に基づくものです。その発表では、同社のホームタウンであるグーテンバーグで Volvo SUV 車 100 台を投入する独自の DRIVE ME プログラムのパイロット テストに、NVIDIA DRIVE PX を採用することを明らかにしていました。また、このプログラムは、まもなく米国および中国での新しいテスト プログラムへと拡大される予定です。

ジェンスンは次のように述べています。「人工知能は、きわめて要件の厳しい自律走行の課題を解決するために必要不可欠なツールです。当社は、以前からの Volvo との提携に基づき、運転の安全を高める量産車の開発、より環境に優しい都市の実現、そして交通渋滞の緩和を目指します。」

Volvo の代表取締役社長兼 CEO であるホーカン サムエルソン (Hakan Samuelsson) 氏は、次のように述べています。「当社と NVIDIA の協力によって、Volvo Cars、Autoliv、および Zenuity は、動きの速い市場の最先端に立ち、次世代の自律走行機能を開発します。そして、商用に提供される Volvo 独自の自律走行車の開発を加速します。」

また、Autoliv の CEO である ジャン カールソン (Jan Carlson) 氏は、次のように述べています。「私たちは、NVIDIA のおかげで、自律走行向けの先端 AI コンピューティング プラットフォームを完全に利用できるようになりました。Autoliv、Volvo Cars、および NVIDIA は、安全な自律走行について同じビジョンを共有しています。今回の協力によって、当社の先端 ADAS と自律走行のオファリングを、市場化に向けてさらに前進させていきます。」

ZF および HELLA とのパートナーシップ

業界最大手の自動車部品サプライヤーの 1 つである ZF と、カメラ検知用ソフトウェアおよびセンサー テクノロジの大手ティア 1 サプライヤーである HELLA は、フロント カメラ ユニットを統合し、ソフトウェア機能とレーダー システムをサポートする、完全な自動運転システムをお客様に提供します。

本パートナーシップでは、NVIDIA DRIVE PX AI プラットフォームを使用して、乗用車に対する最高の NCAP 安全評価を獲得するとともに、商用車やオフハイウェイ用途にも対応することを目指します。NVIDIA DRIVE PX は、運用環境にすぐに利用できる単一のプラットフォーム上で NCAP に対応した安全性と自動運転機能の両方を提供します。

NVIDIA DRIVE PX によって、ZF と HELLA は、自律走行機能に適した先進の画像処理テクノロジとレーダーやセンサーのテクノロジを統合する最新の運転支援システムをはじめ、拡張性の高いシステムを実現するソフトウェアを開発することが可能になります。

フアンは、次のように述べています。「自動運転車の開発は、社会で最も重要な試みの 1 つであり、最も難しい課題の 1 つでもあります。ZF および HELLA との提携では、NCAP 対応の安全性を備えた AI 自動運転ソリューションを世界中の数百万台の自動車に提供します。」

ZF の CEO であるステファン ソマー (Stefan Somme) 氏は、次のように述べています。「当社は、強力なエコシステムの構築に向け着実に前進しています。今年すでに ZF は、ZF ProAI ボックスに乗用車および商用車向けの NVIDIA AI テクノロジを採用した初のサプライヤーとなりました。HELLA と ZF は数年前に包括的パートナーシップを締結したばかりですが、今回の両社と NVIDIA とのパートナーシップによって、交通の安全性が高まり、自律走行機能の開発が促進されるでしょう。」

フアンの前に講演を行った HELLA の CEO であるロルフ ブライデンバッハ (Rolf Breidenbach) 氏は、次のように述べています。「フロント カメラ検知用ソフトウェアおよびレーダー センサー テクノロジにおける両社の専門知識と、ディープラーニング対応ハードウェアおよびソフトウェアにおける NVIDIA の専門知識とを融合させることで、さまざまな輸送セグメントでの自動運転機能の普及に向けた技術開発が加速するものと期待しています。」

Volkswagen Group とのパートナーシップ

Volkswagen がすでに NVIDIA とのパートナーシップを発表し、さまざまな用途およびモビリティ サービスの分野で利用可能な、ディープラーニングに基づく先進 AI システムを開発することを明らかにしています。

同社は、都市での交通の流れを最適化するための手順や、人とロボットの連携を取り入れたタスクを新たに開発するなどの例を挙げました。

Volkswagen Group の CIO であるマーティン ホフマン (Martin Hofmann) 氏は、次のように述べています。「人工知能は、Volkswagen Group の今後のデジタル化にとって鍵となるものです。当社は独自に高性能 AI システムを開発し、導入したいと考えており、そのために必要な専門知識の拡大を図っています。NVIDIA との提携はその大きな一歩になるでしょう。」

また、Volkswagen は NVIDIA との協力の下、自動車業界向けに機械学習やディープラーニングを開発する国際的なスタートアップを対象に、技術的支援や資金援助を提供するスタートアップ支援プログラムを立ち上げることも明らかにしました。

さらに、両社は、NVIDIA の Deep Learning Institute と連携して、成績優秀な生徒を対象に AI イニシアティブに向けたプログラミングの習得を目指すトレーニング イニシアティブを立ち上げる予定です。

これらは、自律走行車の量産展開に向けた道のりが日々いかにゴールに近付いているかを示す、最新の事例のいくつかにすぎません。