NVIDIA アクセラレーテッド コンピューティングがヘルスケア、サイバーセキュリティ、製造などの業界で実現している変革について、エンタープライズ プラットフォーム担当バイス プレジデントのボブ ペティが語る
ワシントン DC で開催された NVIDIA AI Summit の基調講演で、NVIDIA のバイス プレジデント兼エンタープライズ プラットフォーム部門ジェネラル マネージャーであるボブ ペティ (Bob Pette) が、アクセラレーテッド コンピューティングは持続可能なコンピューティングであると語りました。
NVIDIA のアクセラレーテッド コンピューティングは、効率が良いだけでなく、製造、科学およびヘルスケアの次の変革の波に欠かすことができません。
このイベントに集まった政治家、メディア、開発者および起業家らの観客を前にして、ペティはこう語りました。「私たちは、新たな産業革命の始まりを迎えつつあります。本日私からは、NVIDIA がシステムの設計において、性能だけでなくエネルギー効率にもいかに注力しているかということをお伝えしたいと思います」
NVIDIA の Blackwell プラットフォームは、AI コンピューティングでの画期的なエネルギー効率を実現し、GPT-4 のようなモデルのトレーニングにおけるエネルギー効率を10 年前との比較で最大 2,000 分の 1 に削減しました。
NVIDIA アクセラレーテッド コンピューティングは、AI モデルからのアウトプットである、トークン生成でのエネルギー利用を 10 万分の 1 に削減しており、全世界で AI の導入が急速に進んでいるなか、持続可能性のためのアクセラレーテッド コンピューティングの価値がはっきりと示されました。
ペティは以下のように述べています。「AI ファクトリーは製品を生み出します。その製品はトークンです。トークンはインテリジェンスであり、インテリジェンスはお金です。これこそが、『この惑星のあらゆる産業に革命をもたらす』ということに他なりません」
NVIDIA の CUDA ライブラリは、産業を横断したブレイクスルーの基盤となっており、現在は 4,000 を超えるアクセラレーテッド アプリケーションで活用されている、とペティは説明しました。
「CUDA はアクセレーションを可能にします…。また、エネルギー消費を減らすための最も素晴らしい方法の 1 つにもなっています」とペティは話しています。
これらのライブラリは、エネルギー効率を高めることを目指す NVIDIA の AI イノベーションの中心となっており、性能を大幅に高めながら電力消費を最小限に抑えています。
ペティは、NVIDIA の AI ソフトウェアによって組織が AI ソリューションの展開を迅速かつ効率的に行えるようになっており、さまざまな分野でビジネス上のイノベーションをより速く起こし、複雑な問題を解決できるようになっていることを詳細に説明しました。
また、インテリジェントなエージェントが自律的に認知、推論および行動することで、従来の AI を上回る機能を果たす、エージェント型 AI について話しました。
エージェント型 AI は、「推論し、学習し、行動を起こすことができるのです」とペティは語りました。「エージェント型 AI は、製造、カスタマー サービスおよびヘルスケアといった業界を変革させつつあります」
ペティは、エージェント型 AI が企業で活用されることによって、ヘルスケア、製造、科学研究および気候モデリングでのイノベーションが主導されるという話もしました。
エージェント型 AI により、「これまで数日かかっていたことが数分できるようになります」とペティは述べました。
NVIDIA はパートナーと協力して、診断と医療の提供改善や気候モデリング活動の発展から、地球外生命の兆候発見の支援に至る、世界最大の難問のいくつかに取り組んでいます。
NVIDIA は SETI (地球外知的生命体探査) と連携し、遠くの銀河からの高速電波バーストを観測するためにリアルタイム AI 検索を行っており、宇宙探査の継続を支援しているとペティは話しました。
また、NVIDIA はヘルスケア市場で想定される 10 兆ドル規模の機会を開拓していることを、ペティは強調しました。
AI を通じて、NVIDIA は、診断、創薬および医用画像診断の分野でイノベーションを加速しており、世界中で患者ケアの変革を支援しています。
NVIDIA Clara 医用画像診断プラットフォームのようなソリューションが診断に革新をもたらしており、Parabricks がゲノミクス研究でのブレイクスルーを可能にし、MONAI AI フレームワークが医用画像の診断能力を発展させています。
ペティは、NVIDIA がカーネギーメロン大学とピッツバーグ大学を含む、主要な機関との連携を通じて、AI のイノベーションと開発を育んでいると述べました。
また、NVIDIA と連邦機関とのコラボレーションを例に出して、官民の協力がヘルスケア、気候モデリングおよび国家安全保障で AI 主導のソリューションを発展させるために重要であると述べました。
ペティはさらに、新しい NVIDIA NIM Agent Blueprint がサイバーセキュリティの発展を支援し、さまざまな業界が AI 駆動のソリューションによって重要なインフラを保護できるようになることを発表しました。
NVIDIA NIM Agent Blueprintは、リアルタイムの脅威検出と分析によって、組織が重要なインフラを保護できるようにするためのパワフルなツールです。
このブループリントにより、脅威への対応時間が数日から数秒に短縮されるため、産業の保護が大きく向上することになります。
ペティは、このように述べています。「エージェント型システムは、ツールにアクセスし、幅広い思考を通じて推論し、ワンクリックで即時に評価を提供できます。AI が手間のかかる分析を引き受け、役に立つ洞察をすばやく提示するため、セキュリティ アナリストは最も重要なタスクに集中できるようになり、生産性が向上します」
NVIDIA のアクセラレーテッド コンピューティング ソリューションによって、より正確で迅速な気候モデル構築ができるようになり、気候研究が発展しています。このテクノロジは、全世界の気温監視から自然災害の予測に至る、最も緊急性の高い環境問題に取り組む科学者を支援しています。
NVIDIA Earth-2 プラットフォームにより、気候専門家は複数のソースからデータをインポートでき、NVIDIA Omniverse を使って分析のためにそれらを結合できるようになっている、とペティは説明しました。「NVIDIA Earth-2 は、シミュレーション AI とビジュアリゼーションのパワーを融合させ、気候とテクノロジのエコシステムを発展させます」
NVIDIA の Greg Estes が語る、未来の AI ワークフォースの構築
ペティの基調講演に続き、NVIDIA のコーポレート マーケティングおよび開発者プログラム担当バイス プレジデントのグレッグ エステス (Greg Estes) が、NVIDIA AI Tech Community のようなイニシアティブを通じた、従業員トレーニングへの貢献について語りました。
また、Deep Learning Institute を通じて NVIDIA は全世界ですでに 60 万もの人材をトレーニングしており、AI 駆動の未来を先導するための重要なスキルを次世代の人々にもたらしています。
サイバーセキュリティと持続可能性における AI の役割を探る
AI Summit DC では、業界のリーダーたちがサイバーセキュリティや持続可能性といった分野での重要な問題を解決するために AI が果たす役割について語りました。
セッション登壇者の一人である米国エネルギー長官の Jennifer Granholm 氏は、AI によるエネルギー イノベーションと科学的発見の進展について話しました。
他の講演者は、気候モニタリングと環境管理での AI の役割について話したほか、AI が持続可能性についての世界的な課題をいかに解決できるかを示しました。