サインして、封をして、送って: JD X、ロジスティクスや配送業に NVIDIA の AI を採用

投稿者: Murali Gopalakrishna

新しい「速達便」は、ドローンやロボットで届けられるようになるかもしれません。

実際、それは遠い将来のことではありません。今週開催された GTC China (この秋に NVIDIA が世界中で開催する一連の GPU Technology Conference の第一弾) で、屋外のロボット工学エリアに足を踏み入れた参加者の皆様なら、お分かりいただけるはずです。そこには、e コマース大手の JD.com のイノベーション研究所である JD X が手掛けた最新作、JDrone と JDrover が展示されています。

北京で 2 日間にわたって開催された GTC China の基調講演で、NVIDIA の創設者兼 CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) は、AI を搭載した自律型機械をロジスティクスや配送業に導入することを目指す企業各社のコラボレーションについて発表しました。これらの機械は、NVIDIA のモジュール型組み込みスーパーコンピューター Jetson によってサポートされています。

この取り組みの中で、AI は極めて重要な役割を果たし、数多くの産業にメリットをもたらします。

JDrone: 空から配達

JD X は、北京市、四川省、陝西省、江蘇省などとの協力のもと、ドローンを配送、農業、捜索救助活動に使用する試験的なイニシアティブを開始しました。JD X は、今後 5 年間で、100 万台以上のドローンを販売できると見込んでいます。

高性能、低消費電力、小型形状、および高度なビジョン機能を特徴とする Jetson が搭載された JDrone は、最大時速 100 キロで飛行し、最大重量 30 kg のパッケージを運ぶことができます。また、200 kg の荷物を運搬できるモデルもあります。

目標は、交通インフラが整っていないために対応するのが難しかった農村部にも電子小売業の範囲を拡大することです。JD.com は、今までに物流コストを 70% 削減すると同時に、地方にも生鮮食品や医薬品を届け、コミュニティや経済に貢献することができました。

貢献の範囲は配送業にとどまりません。最近、中国北東部の遼寧省にある興城市は、害虫の大群に襲われました。現地農家の被害を最小限に抑えるため、JD X は、20 台のドローンを派遣して農薬を散布しました。その結果、5 日間で 500 ヘクタール分の面積をカバーできました。従来の方法では、完了するまでに 50 人の作業者と 200 日の作業期間が必要になります。

JDrover: どんなに狭い道も通れるロボット

JD X は、北京にある中国人民大学と清華大学、および浙江省の省都 杭州にある浙江大学のキャンパスで、顧客までの配送を行う JDrover も導入しています。来年中には、中国全土のさまざまな大学キャンパスで数百台もの JDrover が展開される計画です。

この配送ロボットには Jetson が搭載されているため、顔、歩行者、信号、標識などを識別し、混雑している街中も容易に通り抜けることができます。JD.com のオンライン モールで購入された書籍、菓子類、電子機器などの製品のパッケージが、顧客まで届けられます。より多くのデータが蓄積され、アルゴリズムが最適化されれば、中国国内の、より複雑な場所にも JDrover を展開できるのではないかと JD X は期待しています。

JD X の JDrover チーム責任者である Yuqian Li 氏は、次のように述べています。「複雑な屋外での状況認識を実施するには、卓越したディープラーニング機能や視覚処理機能を備えた小型のプラットフォームが必要です。当社のすべてのロジスティクス/配送イニシアティブに Jetson を採用したのは、高性能であるだけでなく、消費電力が低く、安価なためでもあります。」

ピック & プレイス ロボット: 郵便業務を独創的に考える

中国中央郵便局によると、速達便の成長率は、今まで 6 年連続で 50% を上回っており、その数は 2017 年には 300 億個に達すると推定されています。これにより中国は、世界最大の速達市場となります。

このニーズに対処するため、JD X は最近、江蘇省の崑山市に世界初の自律型無人仕分けセンターを作ると発表しました。ここでは 1 時間当たり最大 9,000 個の小包を仕分けでき、従来の方法と比べると、作業日を 180 日削減でき、効率も 3 倍になります。

これらのテクノロジは、今週北京で開催された GTC China で披露されました。