NVIDIA 生成AI が創薬と薬設計の次の時代を切り開く

投稿者: Kimberly Powell

コンピューター支援創薬エコシステムを推進する NVIDIA BioNeMo は現在、十数の生成 AI モデルとクラウド サービスを展開

ヘルスケア業界で、おそらくコンピューティングの出現以来最も劇的な変革が起こっている中、デジタル生物学と生成 AI は、創薬、手術、医用画像、ウェアラブル デバイスの再発明に貢献しています。

NVIDIA は、10 年以上にわたってこの瞬間に備え、深い分野の専門知識を構築し、NVIDIA Clara というヘルスケアに特化したコンピューティング プラットフォームを開発し、豊富なパートナーとのエコシステムを拡大してきました。ヘルスケアの顧客とパートナーはすでに、直接またはクラウド パートナーを通じて間接的に、NVIDIA GPU コンピューティングに毎年 10 億ドルをはるかに超えた利用をしています。

2,500 億ドル規模の創薬分野では、こうした取り組みが転換点を迎えています。研究開発チームはコンピューター内で薬を表現できるようになりました。

新しい生成 AI ツールを活用することで、創薬チームは分子の配列、構造、機能、意味の基本的な構成要素を観察し、望ましい特性を持つ可能性が高い新しい分子を生成、または設計できるようになります。これらの機能を使用すると、研究者は研究対象となる薬剤候補をより正確に選別できるため、高価で時間のかかる物理実験の必要性が軽減されます。

この変化を加速しているのが、創薬のための基盤モデルを開発、カスタマイズ、展開するためのサービスを提供する生成 AI プラットフォームである NVIDIA BioNeMo です。

製薬会社、テックバイオ会社、ソフトウェア会社によって使用されている BioNeMo は、医薬品の研究開発のための新しいクラスのコンピュート手法を提供し、科学者が生成 AI を統合して実験を削減し、場合によっては完全に置き換えることもできます。

BioNeMo を通じた AI モデルの開発、最適化、ホスティングに加え、BioNeMo ユーザー向けに基盤モデルの 1 つを提供しているバイオ医薬品会社 Recursion や、AI モデル開発に BioNeMo を使用しているバイオテクノロジ企業 Terray Therapeutics などの革新的なテクノロジ企業への投資により、NVIDIA はコンピューター支援創薬エコシステムを強力に後押ししています。

BioNeMo が AI 加速創薬に精度をもたらす

BioNeMo は、タンパク質構造予測、タンパク質配列生成、分子最適化、生成化学、ドッキング予測などのための事前トレーニング済み生体分子 AI モデルのコレクションを増やしています。また、コンピューター支援創薬企業は、推論やカスタマイズのためのアクセスしやすい API を通じて、自社のモデルを幅広いユーザーが利用できるようになります。

創薬チームは BioNeMo を使用して、独自のデータを使用した生成 AI モデルを開発またはカスタマイズしています。また、創薬ソフトウェア会社、テックバイオ、大手製薬会社は、今月ベータ版でリリースされる BioNeMo クラウド API を、コンピューター支援創薬ワークフローを提供するプラットフォームに統合しています。

クラウド API には、3 つのソースからの基盤モデルが含まれるようになります。1 つは、小分子生成用の MolMIM 生成化学モデルなど、NVIDIA によって発明されたモデルです。もう 1 つは OpenFold タンパク質予測 AI など、世界的な研究チームによって開拓され、NVIDIA によって精査および最適化されたオープンソース モデルです。そして細胞顕微鏡画像を埋め込むための Recursion の Phenom-Beta など、NVIDIA パートナーによって開発された独自のモデルです。

MolMIM は小分子を生成すると同時に、ユーザーが AI 生成プロセスをより細かく制御できるようにし、望ましい特性を持つ、ユーザーが指定した制約に従う新しい分子を特定します。たとえば、研究者は、特定の参照分子と同様の構造と特性を持つ分子を生成するようにモデルを指示することが可能になります。

製薬向けの驚異的な AI: Recursionが BioNeMo に Phenom-Beta モデルをもたらす

Recursion は、BioNeMo クラウド API を通じて AI モデルを提供する最初のホスティング パートナーです。Phenom-Beta は、細胞顕微鏡画像から生物学的に意味のある特徴を抽出する Vision Transformer モデルです。

この機能は、研究者に細胞機能に関する洞察を提供し、細胞が薬剤候補や遺伝子工学にどのように反応するかを学ぶのに役立ちます。

Phenom-Beta は、モデルのパフォーマンスを評価するためのトレーニング指標である画像再構成タスクで良い結果を出しました。詳細については、NeurIPS ワークショップの資料をお読みください。

Phenom-Beta は、NVIDIA DGX SuperPOD リファレンス アーキテクチャに基づく、Recursion の BioHive-1 スーパーコンピューターを使用して、Recursion の公開されている生物学的画像の RxRx3 データセットでトレーニングされました。

基盤モデルの開発をさらに進めるために、Recursion は 500 基を超える NVIDIA H100 Tensor コア GPU を搭載してスーパーコンピューターを拡張しています。これにより、コンピュート能力が 4 倍に向上し、バイオ医薬品企業が所有および運用する中で最も強力なスーパーコンピューターとなる見込みです。

企業はどのように NVIDIA BioNeMo を採用しているか

生物学、化学、ゲノム研究を促進するために NVIDIA BioNeMo を使用する科学者、バイオテック企業、製薬企業、AI ソフトウェア ベンダーのグループが増えています。

バイオテクノロジのリーダーである Terray Therapeutics は、BioNeMo クラウド API を汎用的なマルチターゲット構造結合モデルの開発に統合しています。同社はまた、NVIDIA DGX Cloud を使用して化学基盤モデルをトレーニングし、小分子設計用の生成 AI を強化します。

タンパク質工学および分子設計企業の Innophore および Insilico Medicine は、BioNeMo を計算創薬アプリケーションに導入しています。Innophore は、BioNeMo クラウド API をタンパク質設計と創薬のための Catalophore プラットフォームに統合しています。また、スタートアップ向けの NVIDIA Inception プログラムの主要メンバーである Insilico は、早期創薬のための生成 AI パイプラインに BioNeMo を採用しています。

バイオテクノロジ ソフトウェア会社 OneAngstrom とシステム インテグレーター Deloitte は、BioNeMo クラウド API を使用してクライアント向けの AI ソリューションを構築しています。

OneAngstrom は、学者、バイオテクノロジ企業、製薬会社が使用する分子設計用の SAMSON プラットフォームに、BioNeMo クラウド API を統合しています。Deloitte は、NVIDIA DGX Cloud 上の BioNeMo を Quartz Atlas AI プラットフォームと統合することで、科学研究を変革しています。この組み合わせにより、バイオ医薬品研究者は比類のないデータ接続性と最先端の生成 AI を利用可能となり、企業は創薬が加速される新時代へ推進されることになります。

NVIDIA BioNeMo の詳細を確認し、NVIDIA ヘルスケア ニュースを購読してください。