AI は「一世代に 1 度のチャンスをもたらす」、と米国放射線科医学会の会長が GTC Digital で語る

投稿者: Isha Salian

放射線科医は、AI に新たな意見を求められるようになりそうです。

「AI は意見決定を下す際の助けとなり、人間の放射線科医としてのパフォーマンスを本当に向上させています」と、米国放射線科医学会の会長で、ワイルコーネル医科大学の最高戦略/契約責任者のジェラルディン マクギンティー (Geraldine McGinty) 氏が、GTC Digital の講演で話しました。マクギンティー氏は、この仮想カンファレンスの数十のヘルスケア セッション中でも、注目の講演者です。

講演でマクギンティー氏は、医療組織が医療の質を向上しながら、コストを削減するために AI がもたらす、「一世代に 1 度のチャンス」を活用するための方法について、自身の見解を明らかにしています。

胸部画像を専門とする放射線科医である彼女は、AI による新たなマンモグラム解析を患者は希望すべきだという主張を臆することなく述べました。

マクギンティー氏は、以下のように述べています。「マンモグラムを見ても、すべての乳がんを見つけられるわけではないことを、私は知っています。何人かの患者に対しては、追加の画像検査、あるいは生検さえも求めなければならず、その結果、がんではないことがようやく明らかになる、ということも私は知っています」

放射線科医の目標は、「有益な画像検査だけを患者に行い、無駄な画像検査は一切行わないこと」だと彼女は言います。


写真提供:Geraldine McGinty

AI によって、同一のスキャン画像を分析するときに読影者や病院による見解の違いが減少し、放射線科医を支援します。さらに、ワークフローが簡略化し、放射線科医が患者と話す時間がより多くなります。スキャン画像の診断以外にも、病理報告や遺伝的なリスク データ、患者がすでに持っている可能性のあるその他の疾患の記録といった、治療方針を決定する際に画像検査以外の要因の考慮にもより多くの時間を割けるようになります。

「疾病の画像所見はめったに二者択一的ではありません」と彼女は言います。

X 線から始まり、MRI ならびに PACS のようなデジタル アーカイビング システムへの移行など、常にテクノロジを迅速に導入している医療分野であるので、放射線医学は AI ツールを組み込むのに適している、とマクギンティー氏は言います。

「人工知能は、テクノロジを効果的に使って患者に役立てようとする、我々の姿勢を発展させたもののように感じられます」

しかし、新しいツールは慎重に検証されなければなりません。何十年も前に放射線中毒がイノベーターであるマリ キュリーの命を奪ったときに医師たちは学びました。マクギンティー氏は、ディープラーニングのモデルがどのようにして結論を導き出すのかを放射線科医はもっとよく知る必要があり、AI アルゴリズムの説明可能性を高めることを主張しています。

強力な AI アルゴリズムの開発は、ほんの始まりに過ぎません。マクギンティー氏が指摘するように、これらのツールはすべての患者が等しく利用できるべきであり、有色人種の女性での乳がんの結果のような、既存の差異との闘いに役立てるために、多様なデータセットでトレーニングされなければなりません。

「正確なシステムを持つことだけが重要ではありません。私たちは、効果的にそれらを活用できるように自分自身を仕向けなければなりません」とマクギンティー氏は述べています。

講演の全編は、こちらでご覧いただけます。また、GTC Digital でのヘルスケア関連講演の全ラインアップが無料で配信されています。

メイン画像は The Medical Futurist 提供のもの。CC-BY-4.0 に基づき、Wikimedia Commons よりライセンス取得済み。