AI と医用画像処理の最先端を GTC Digital で視聴

投稿者: Isha Salian

世界トップクラスの放射線科およびアカデミック メディカル センターの専門家が、医療における AI と GPU アクセラレーションの発展状況を説明

想像してみてください。世界中のトップクラスの放射線科および学術医療センターの専門家による医用画像処理における AI の活用に関する講演が数十あり、それがすべてオンラインで、無料で視聴できるのです。

これは、NVIDIA の GPU Technology Conference における膨大な数のライブおよびオンデマンドのウェビナー、トレーニング セッションおよび質疑応答が盛り込まれた、GTC Digital のごく一部にすぎません。

放射線学、ゲノミクス、顕微鏡検査などのヘルスケア分野の開発者が、GTC Digital での講演を通じて、自らの分野における AI と GPU アクセラレーションの最新状況を共有します。

オーストラリアのシドニーの研究者は、AI を使って脳のスキャンを分析しています。米国マサチューセッツ州では、研究者が超音波映像から前立腺の画像を切り出して、医師が放射線量を微調整するのに役立てています。また、ドイツのミュンヘンでは、放射線科のレポートの作成を効率化することにで、リアルタイムのレポート作成を可能にしています。

世界各地で医用画像処理におけるディープラーニングの活用を推進している、これらの著名な講演者については、以下をご覧ください。また、すべてのヘルスケアコンテンツを無料で視聴するには、今すぐ GTC Digital にご登録ください。

脳を計算する: オーストラリアの医療機関が AI を使い、脳スキャンを分析

神経変性疾患を研究するときには、時系列で脳組織の減少を測定することで、医師や治験者が疾患の進行を測定するのに役立ちます。通常、放射線科医は脳スキャンを目で見て検分し、脳の収縮を「中程度」または「重度」という具合に分類する、定性的な評価を行います。高速化されたコンピューティングを使えば時間をかけずに、脳組織の減少を正確かつ定量的に測定することができます。

Sydney Neuroimaging Analysis Centre (SNAC) では、神経画像についての研究とともに、臨床研究試験のための商業的な画像解析を行っています。GTC Digital では、SNAC が研究ワークフローでの手間のかかる分析タスクの自動化を行う AI ツールを高速化するために、AI と NVIDIA GPU をどのように使用しているかを紹介します。

あるモデルでは、頭部スキャン画像から脳の画像を正確に分離して、多発性硬化症例の脳病変をセグメンテーションします。AI によって、脳病変の数と大きさに関係なく、脳病変のセグメンテーションと病変の規模の判断に要する時間が、人が検査する場合の最大 15 分からわずか 3秒に短縮されます。

SNAC の運営担当ディレクターであるティム ワン (Tim Wang) 氏は、次のように述べています。「NVIDIA GPU と DGX システムは、当センターの AI プラットフォームの核になっており、AI のイノベーションにより、臨床放射線学および研究放射線学のありようが変容しつつあります。私たちは、このテクノロジを脳画像に応用できることを、とりわけ嬉しく思っています」

SNAC では、モデル開発に AI 支援アノテーション ツールであるNVIDIA Clara Train SDK を、臨床と研究のワークフローの統合には NVIDIA Clara Deploy SDK を使用しています。また、同センターでは、フェデレーテッド ラーニングのために、NVIDIA Clara プラットフォームを活用しようとしています。同センターでは、AI アルゴリズムのトレーニングと推論の両方で NVIDIA DGX-1 サーバーNVIDIA DGX Station および GPU を搭載した PC ワークステーションを利用しています。

ハーバードの研究者が、前立腺がんの治療に AI を応用

およそ 9 人に 1 人の男性が、生涯で一度は前立腺がんと診断されます。超音波や MRI といった医用画像ツールは、医師が前立腺の状態を確認したり、手術と放射線治療の計画を立てたりするための主要な手段となっています。

Harvard Medical School の研究員であるダヴード カリミ (Davood Karimi) 氏は、超音波画像から前立腺をより迅速かつ正確にセグメンテーションするためのディープラーニング モデルを開発しています。超音波画像では前立腺の境界が見えなかったり、不鮮明であったりすることが多いため、セグメンテーションは難しい作業です。

カリミ氏は、次のように述べています。「放射線科医が必要な放射線量を前立腺に照射しつつ、直腸や膀胱といった近くの組織に重大な損傷を与えないようにするには、前立腺の正確なセグメンテーションが不可欠です」

GTC Digital における講演では、カリミ氏は、権威のある MICCAI 国際会議で発表した、自身の研究論文について詳細に語ります。NVIDIA TITAN GPU を使用して、カリミ氏はスキャン画像当たり 1 秒未満にまでニューラルネットワーク推論を高速化し、放射線科医が使用している現在のセグメンテーション手法よりも正確さを向上させています。

ドイツ企業が NVIDIA Clara で放射線検査レポートの作成を効率化

世界中の医療提供者は、医用画像を含む患者データの分析結果をテキストベースのレポートに記録しています。しかし、それぞれの放射線科医または病院は、それぞれ異なった方法でレポートを作成しています。

ミュンヘンに拠点を置く Smart Reporting GmbH は、放射線科医のレポート作成のワークフローの効率化と標準化を目指しています。同社は、患者データと医師のメモを統一したフォーマットにまとめる、構造化されたレポート作成インターフェースを使用しています。

Smart Reporting は NVIDIA Clara プラットフォームを使って、医用画像から前立腺がんの病変をセグメンテーションしています。この画像の注釈は、診断レポートの草稿に読み込まれます。放射線科医は、外科医や他の医療専門家に提供する最終レポートを作成する前に、その草稿のレポートを承認、編集または却下することができます。

NVIDIA Inception Program のメンバーである Smart Reporting は、Siemens Healthineers をはじめとする大手医療機関と提携しています。

同社の最高医療責任者であるドミニク ノーレンバーグ (Dominik Noerenberg) 氏は、次のように述べています。「診療所の放射線科医向けにプロトタイプをリリースする場合、ほぼリアルタイムでレポートが作成できることが不可欠です。当社は、NGC の複数の GPU コンテナを実行して高速化を実現しています」

GTC Digital では、ノーレンバーグ氏と同社の主席ソフトウェア エンジニアであるアルバロ サンチェス (Alvaro Sanchez) 氏が、AI を活用した放射線科ワークフローの利点について講演を行います。

こちらから、GTC Digital でのヘルスケア向けの講演の一覧がご覧いただけます。無料の登録はこちらから行えます。

上の画像は、脳画像のセグメンテーションを比較対照したものです。左の画像は手動で行ったセグメンテーション、右は AI によるセグメンテーションです。画像提供:Sydney Neuroimaging Analysis Centre