放射線診断から創薬まで、AI が医療分野で明確な投資収益をもたらしていることが調査によって明らかに

投稿者: Kathy Benemann

AI は、放射線診断や創薬から医療機器の製造、そして人体のデジタル ツインで実現する新しい治療法に至るまで、ヘルスケアのあらゆる側面を加速させています。

NVIDIA の年次調査レポート「ヘルスケアとライフ サイエンスにおけるAI の現状」の第 2 回では、業界が AI の実験段階から実行段階へと移行し、医用画像診断や創薬といった中核的な用途で投資収益 (ROI) を得ている状況が示されています。

また、業界では、オープン ソース ソフトウェアや AI モデルを採用して特定のユース ケースに対応する一方で、エージェント型 AI を活用して知識検索や研究論文分析を加速させようとしています。

今年のレポートの主な内容は以下のとおりです。

  • 回答者全体の 70% が、自社で AI を積極的に活用していると回答。2024 年の 63% から増加。
  • 69% が生成 AI と大規模言語モデルを活用していると回答。54% から増加。
  • 82% が、オープン ソースのソフトウェアとモデルが自社の AI 戦略にとってやや重要から極めて重要であると回答。
  • 47% がエージェント型 AI を活用中または評価中であると回答。
  • 経営幹部の 85% が、AI は収益増加に貢献していると回答し、80% がコスト削減に貢献していると回答。

ヘルスケア分野のシンクタンク企業 NostaLab の社長、John Nosta 氏は次のように述べています。「今後 12 ~ 18 か月で、AI の効果として最も分かりやすく、かつ広く展開しやすい形で現れるのは、物流や事務作業の効率化でしょう。導入の伸びはすでに急で、スケジューリング、文書作成、コーディング、利用管理、ケア コーディネーションがその例です」

ここからは、本レポートの主な調査結果を詳しく紹介します。

ヘルスケアとライフ サイエンス分野全体で AI 導入が加速

今年の調査では、デジタル ヘルスケア、製薬およびバイオ テクノロジ、保険者および医療提供者、医療技術および医療ツールなど、あらゆる業界セグメントで AI 導入が加速しています。中でもデジタル ヘルスケアがトップで 78%、次いで医療技術が 74% となっています。

回答者の 69% が、業界で最も多いワークロードは生成 AI と大規模言語モデルであると回答しています。2 番目に多いワークロードはデータ分析とデータ サイエンス向けの AI で、次いで予測分析向けの AI でした。今回の調査では新たに、エージェント型 AI が 4 位にランクインし、回答者の 47% が AI エージェントを利用中または評価中であると回答しました。

「ヘルスケアにおける生成 AI の本格展開は、テクノロジそのものではなく、実際の臨床および運用上の問題に焦点を当てることから始まります。影響を実感しているのは、AI を別のツールとして上に重ねるのではなく、既存のワークフローに AI を組み込んでいる組織です」と、Visiba U.K. の臨床 AI 戦略リーダーである Annabelle Painter 博士は述べています。

業界セグメントごとの AI 導入の現状を示す棒グラフ

ヘルスケアおよびライフ サイエンス分野の組織は、主要な役割に応じたさまざまなユース ケースにこれらの AI ワークロードを展開しています。例えば、医療技術分野の回答者の 61% が医用画像診断に AI を活用していると回答しており、放射線科医がより迅速かつ効率的に業務を行うために AI を活用しているといった例が挙げられます。一方で、製薬およびバイオテクノロジ分野の回答者の 57% が、創薬は AI 主導で進んでいると回答しています。

業界全体での AI の主なユース ケースは、臨床意思決定支援 (放射線科医がスキャン画像上の懸念箇所を強調表示するなど)、医用画像診断、ワークフロー最適化でした。

高い ROI を背景に AI 予算が増加

AI は、ヘルスケアおよびライフ サイエンス業界の組織がコア コンピテンシーをさらに高めることに寄与しており、高い ROI を裏付けています。

AI は、年間収益を増加させ年間コストを削減するだけでなく、ワークフロー最適化を通じてバックオフィスの生産性を向上させ、患者対応や事務作業などの主要業務にも展開が広がっています。

AI が年間収益を増加し、年間コストを削減しているのを示す棒グラフ

例えば、医療技術分野の回答者の 57% が、医用画像診断への AI 導入で ROI を実感していると回答しています。また、製薬およびバイオテクノロジ分野の回答者のほぼ半数 (46%) が、創薬および医薬品開発向けの AI が ROI の高い主要なユース ケースの 1 つだと回答しています。

デジタル ヘルスケア プロバイダーでは、回答者の 37% が、最も ROI の高いユース ケースとしてバーチャル ヘルス アシスタントとチャットボットを挙げています。一方、保険者および医療提供者 (病院、プライマリケア提供者、保険会社を含む) では、回答者の 39% が、最も ROI の高い分野として事務作業とワークフロー最適化を挙げています。

AI のプラスの効果を受けて、回答者の 85% が今年 AI 予算が増加すると回答し、12% が予算は横ばいになると回答しています。また、回答者のほぼ半数 (46%) が、AI 支出が 10% を超えて大幅に増加すると回答しています。

「AI の導入に成功している医療機関とは、評価を中核的な運用機能として明確に予算化し、優先事項として位置づけている組織です。そうすることで、AI が時間の経過とともに、安全性、品質、患者ケアにおいて定量的に示せる改善をもたらすようになります」と Painter 氏は述べています。

ドメイン特化型 AI 導入におけるオープン ソースの活用

オープン ソースのモデルやソフトウェアを本格的に活用することで、企業は分野特化型アプリケーションを構築できるようになり、その結果、柔軟性と効率性を高めながら事業収益を向上させることが可能になります。

ヘルスケア業界はオープン ソースを積極的に取り入れており、調査回答者の 82% が AI 戦略においてオープン ソースがやや重要から極めて重要であると回答しています。

オープン ソースのモデルやソフトウェアの重要性を組織の規模ごとに示す棒グラフ

Nosta 氏は次のように述べています。「オープン モデルは知的領域の在り方を形作るでしょう。これは、探究のため、そしてその分野の健全性を維持するために不可欠です。しかし、安全性、法的責任、説明責任が譲れない臨床環境では、検証、統合、信頼のために、専有システムが引き続き必要です。ここで重要なのは、研究段階はオープンに進む一方で、臨床導入には適切な統治が求められるという点です」

詳細な結果とインサイトについては、2026 年のトレンドを紹介した「ヘルスケアとライフ サイエンスにおけるAI の現状」レポートをダウンロードしてください。

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