金融サービス分野において、AI は今や中心的な存在となっています。アルゴリズム取引におけるリサーチや取引の執行を自動化し、銀行が不正利用やマネー ロンダリングをより正確に検知できるよう支援すると同時に、リスク管理手法の向上や文書処理の迅速化にも貢献しています。
800 名以上の金融業界関係者を対象に実施した調査に基づく第 6 回年次レポート「NVIDIA 金融サービスにおける AI の状況」では、金融サービス業界における AI 活用が過去最高水準に達していることが明らかになりました。
企業は、不正検知、リスク管理、カスタマー サービスといった AI ユース ケースの導入と拡大を進め、明確な投資対効果を生み出す重要な業務機能を向上させています。また、金融機関は、オープンソースの基盤モデルやソフトウェアなどの特化型 AI を構築するためのツールを積極的に取り入れており、AI エージェントをはじめとする新しいタイプの AI を活用して、バックオフィス業務から投資リサーチに至るさまざまなプロセスを効率化しています。
2026 年版レポートの主なハイライト
- 89% の回答者が AI 活用によって年間収益が増加し、年間コストを削減できたと回答
- 経営陣の 73% が AI は将来の成功に不可欠であると回答し、ほぼ全員が今後 1 年間で AI 予算を増額または維持すると回答
- 自社で AI を積極的に活用していると答えた回答者は 65% に上り、前年の 45% から増加
- 生成 AI を使用または評価していると答えた回答者は 61% で、前年比で 52% 増加
- 84% の回答者が、オープンソース モデルやソフトウェアは自社の AI 戦略において重要であると回答
- 42% の回答者がエージェント型 AI を使用または評価しており、21% がすでに AI エージェントを導入していると回答
Tigon Advisory Corp の CEO、Helen Yu 氏は次のように述べています。「オープンソース モデルは、金融 AI における競争の構図を根本から変えつつあります。自社の取引データ、顧客とのやり取りの履歴、市場インテリジェンスを使ってこれらのモデルをファインチューニングし、競合他社には真似できない AI 機能を構築することで、真の価値が生まれます」
以下では、本レポートの主な調査結果をご紹介します。
オープンソースで未来の基盤を築く
オープンソース モデルは柔軟性と効率性をもたらします。金融機関は自社のニーズに合わせて開発ツールをカスタマイズし、独自のデータを組み込むことで精度をさらに高めることができます。そのため、回答者の 83% が「オープンソースは自社の AI 戦略にとって重要である」と述べ、43% が「非常に重要」または「極めて重要」と回答しています。

Evident Insights の共同創設者兼共同 CEO、Alexandra Mousavizadeh 氏は次のように述べています。「オープンソース モデルは、銀行が先行企業との差を縮め、コスト効率を高め、ベンダー ロックインを回避するうえで役立ちますが、制約がないわけではありません。ドメイン特化型タスクでは、独自のアプローチがより優れたパフォーマンスを発揮することもあります。先進的な銀行には、これら両方のアプローチも使いこなし、状況に応じて最適なモデルを適用して問題を解決する能力が求められています」
金融サービスにおける AI の投資対効果が明確化
金融機関は、AI プロジェクトを試験的に運用する段階から、ビジネスにインパクトをもたらすソリューションを導入する段階へと移行し、全社規模で導入を拡大しています。その結果、収益と純利益の両面で、AI による大きな投資対効果が生まれ始めています。
前述の通り、調査回答者の 89% が AI が年間収益の増加と年間コストの削減に貢献したと回答しました。多くの企業にとって AI の影響は大きく、64% の回答者が AI によって年間収益が 5% 以上増加したと回答し、10% 以上増加したと述べた回答者は全体の 29% に上ります。
同様に、61% が AI によって年間コストが 5% 以上削減されたと回答しており、25% が 10% 以上の削減を実現したと回答しています。
投資対効果をもたらした AI のユース ケースとしては、文書の処理と管理、顧客体験とエンゲージメント、アルゴリズム取引、リスク管理など、幅広いユース ケースが挙げられました。

回答者の 52% が、金融サービスにおいて AI がもたらした最大の改善点として業務効率の向上を挙げています。また、48% が従業員の生産性向上が最も大きな成果の一つだとしています。
Gefferie Group の決済ストラテジスト、Dwayne Gefferie 氏は次のように述べています。「投資対効果が最も如実に現れているのは、決済業務、特に承認プロセスの最適化とインテリジェントなルーティングの分野です。エージェント型 AI システムによって、取引を最適な決済ネットワークへ自律的にルーティングし、リアルタイムの発行元のシグナルに基づいてリトライ ロジックを動的に調整できるようになりました。従来のルールベースのシステムでは不可能だった 200 ミリ秒未満でのルーティング判断が可能です。承認率が 1 ベーシス ポイント改善するだけでも、それが直接収益につながる点も魅力です。つまり、投資対効果を明確に測定できるということです」
成功が AI 予算の拡大を後押し
概念実証 (PoC) から本番環境での AI アプリケーションの導入へと移行が進む中、金融サービス企業は AI 予算を大幅に拡大しようとしています。ほぼすべての回答者が、今後 1 年間で AI 予算を増額または維持すると回答しました。
回答者の約 41% が、すでに成果を上げている AI ソリューションへの再投資や改善など、AI ワークフローや本番運用の最適化に投資すると述べています。また 3 分の 1 以上 (34%) が、組織内で AI 活用を拡大することを視野に入れ、追加のユース ケースを見つけることに予算を投じています。さらに、30% が、オンプレミスやクラウドなどの AI インフラの構築やアクセス拡充に重点を置いて投資すると回答しました。
さらに、投資は AI エージェントの導入と拡大にも向けられます。AI エージェントは、高レベルの目標に基づいて、リーズニング、計画、複雑なタスクの実行を自律的に行うよう設計された高度な AI システムです。回答者の約 21% がすでに AI エージェントを導入しており、さらに 22% が来年以降の導入を予定しています。
前述の Helen Yu 氏は次のように述べています。「AI 活用で成功している金融機関は、自社の独自データを、差別化された AI 商品を構築するための戦略的資産として扱っています」
詳細な調査結果と洞察については、「State of AI in Financial Services: 2026 Trends(金融サービスにおける AI の状況:2026 年の傾向)」レポートをダウンロードしてご覧ください。
また、金融サービス向けの NVIDIA AI ソリューションおよびエンタープライズ向け AI プラットフォームもぜひご覧ください。
