今、世界のトップ研究者は、NVIDIA AI ラボ で人工知能の最先端の研究を進めています。このラボは、NVAIL という名称で、現在世界中の上位の大学 20 校に設置されています。
例えばトロント大学の研究者は、手ごろな価格の自動運転車を開発しています。モントリオール大学の研究者は、遺伝子データを利用した病気の予測と予防を研究しています。また、カリフォルニア大学バークレー校では、学習経験のない作業を行うロボットを開発しています。
NVAIL プログラムは、学生のサポート、NVIDIA の研究者やエンジニアからの支援、そして業界でもっとも高度な GPU コンピューティングへのアクセスの提供により、このような AI のパイオニアが常に時代を先取りできるようにするのに貢献しています。
実際、NVAIL の研究者は、約 1 年前から、NVIDIA の DGX-1 AI スーパーコンピューターの提供を最初に受けた人たちの一部です。
世界中の AI 研究
トロント、モントリオール、UC バークレー校の他、本プログラムの 20 の研究機関には、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学、東京大学、中国の清華大学、およびスイスのテール モール人工知能研究所などが含まれます。
このような地理的な多様性は偶然ではありません。NVAIL のパートナー研究機関は、ディープラーニングの研究拠点のある地域に設置されています。彼らの研究は、高度なディープラーニングそのものから、乳がん検診の精度向上 (ニューヨーク大学) や自動読唇術 (オックスフォード大学) にいたるまで、多岐にわたります。
最も有望なプロジェクトの中から、いくつかを簡単にご紹介します。
すべての人のための自動運転車
トロント大学では、ラケル ウルタスン (Raquel Urtasun) 氏が、手ごろな値段の自動運転車を開発しています。コンピューター サイエンスの教授と Uber のアドバンスド テクノロジ グループの責任者は、自動運転車を誰もが利用できるようにする必要があると考えています。
「そうすれば、収入に関わりなく、自動運転車の恩恵を受けられます」と彼女は言います。
一部の自動運転車のテクノロジである LIDAR、3D センサー、手動アノテーション マップは、10 万ドル以上のコストがかかる可能性があるとウルタスン氏は言います。彼女のチームは、安価なセンサーと衛星データなどのテクノロジを利用する、認知、位置特定、マッピングのアルゴリズムを開発します。
コンピューティング能力と技術的なサポートに加え、NVIDIA とのパートナーシップは、トロント大学に貴重な変化をもたらしているとウルタスン氏は言います。「私たちは、コンピューティングの将来について発言の機会を持つようになってきました。このことは、ここにいる研究者のためになります。」
医療の将来を予測
AI はいつの日か、医師が患者の病気のリスクを予測し、遺伝子データに基づく治療方法を選択するのに役立つかもしれません。しかし、遺伝子データはきわめて複雑であるため、研究者は、より効果的なディープラーニング技術を開発する必要がある、と話すのは、モントリオール大学のモントリオール学習アルゴリズム研究所 (Montreal Institute for Learning Algorithms) のポストドクターであるアドリアナ ロメロ (Adriana Romero) 氏です。
最新のジェノタイピング法は、500 万もの数の、人間の遺伝子における差異を対象としており、そのうちの一部は特定の病気にかかるリスクを示す可能性があります。研究者は、ディープラーニングを利用して、それぞれの差異が病気の予防にどれほど有効か、差異が互いにどう関連しているかを判断し、これらの因子の相対的な重要性を重み付けしようとしています。
入手可能な患者の遺伝子データの量だけでなく、考慮すべき変数は他にも沢山あるため、これはきわめて困難な作業だ、とロメロ氏は言います。結果として、信頼性の高い予測ができるディープラーニング システムをトレーニングするのは困難です。
より優れた方法を見い出すため、彼女の研究チーム (ロメロ氏のアドバイザーである AI のパイオニア、ヨシュア ベンジオ (Yoshua Bengio) 氏も一員です) は、突然変異に基づいた遺伝的祖先の予測による実験を行いました。彼らは、より少ないパラメーター (それぞれの変数に割り当てられた重み) を利用しながら予測をするディープラーニング アーキテクチャを考案しました (関連する論文「Diet Networks: Thin Parameters for Fat Genomics」をご覧ください)。
「私たちの次のステップは、病気の予測に取り組み、パーソナライズされた医療を利用できる可能性に向けて研究することです」とロメロ氏は語りました。
万能なロボット
現在のロボットの多くは、1 つのことは上手にできます。例えば、小包の配送、床の掃除、手術の支援などです。しかし、これらのロボットは、新しい作業に直面すると途方にくれてしまいます。
カリフォルニア大学バークレー校の AI ラボ (最初に NVIDIA DGX-1 の提供を受けた組織の 1 つです) で研究する博士課程の学生、チェルシー フィン (Chelsea Finn) 氏は、次のように述べています。「現在、ロボットは、工場の他、ロボットが同じ作業を何度も繰り返すような環境で見られます。これでは、被災地など、何がどこにあるのかロボットにはわからないような場所では役に立ちません。」
フィン氏は、ロボットに、見たことのない状況をエンジニアの支援なしで理解してほしいと考えています。彼女は、アドバイザーのピーター アビール (Pieter Abbeel) 氏および セルジー レビン (Sergey Levine) 氏と協力し、初めての環境に適応できるロボットを構築しています。
これを行うため、フィン氏は、GPU により加速されたディープラーニングを利用して、ロボットが活動の結果を理解し、次の作業を完了するために必要なことを予測するようトレーニングしています。(関連する論文「Deep Visual Foresight for Planning Robot Motion」をご覧ください。)
彼女は言います。「私たちは、ロボットがその場で学習できるよう、迅速にデータを処理する必要があります。GPU のスピードなしでは、私の研究の大部分は不可能でしょう。」
ロボットの写真およびビデオ提供: チェルシー フィン氏および UC バークレー校 BAIR ラボ