AI の投資対効果が高まる中、通信ネットワークで AI が進展し、自動化が主導的役割を担っていることが調査で明らかに

投稿者: Kanika Atri

AI は通信業界の変革を加速させており、自律型ネットワークや AI ネイティブな無線インフラの基盤になりつつあります。同時に、通信事業者が消費者、企業、国といった幅広い領域で AI の導入を加速させる中で、この技術は新たなビジネス機会や収益機会を切り開いています。

NVIDIA の年次調査レポート「通信業界における AI 活用状況」の第 4 回では、こうしたトレンドを紐解き、通信業界における AI の導入、効果、投資が堅調であることを示しています。

レポートの主なハイライトは以下のとおりです。

  • 90% が、AI が年間売上の増加に寄与し、コスト削減を後押ししていると回答
  • 77% が、6G の導入に先立って AI ネイティブ ネットワークが立ち上がると見込んでいると回答
  • 通信事業者の 65% が、AI によってネットワーク自動化が推進されていると回答
  • 60% が、自社が生成 AI を利用中または評価中だと回答 (2024 年の 49% から増加)
  • 89% が、オープンソースのモデルとソフトウェアが AI 戦略において重要だと回答
  • 通信事業者の 89% が、2026 年に AI 支出を増やす計画だと回答 (1 年前の 65% から増加)

シンガポール拠点の通信事業者 Circles のマネージング ディレクターである Sebastian Barros 氏は次のように述べています。「通信業界では、AI によって地殻変動ともいえる変化が進行しており、通信サービス プロバイダーの間で新たな認識が共有されつつあります。社会におけるこれらプロバイダーの役割は、ネットワーク上でビットを運ぶことにとどまらず、規制を受けるローカルのインフラ全体で知能を運ぶことへと拡張しています。この変化が意味するのは、通信事業者から『AICO』への進化です。それは、ネットワーク上でサービスを提供するアプリケーション ベンダーではなく、地域ネットワークで運営される AI インフラの企業になるということです」

続いて、レポートの主な調査結果をさらにいくつか紹介します。

明確な収益効果と投資対効果

通信業界では、AI の活用による明確な収益効果が見られます。全体では、回答者のおよそ 10 人に 9 人が売上増とコスト削減に AI が役立っていると回答しています。また、1,000 件の調査回答の約 4 分の 1 を占める通信事業者でも同様に効果が確認されており、90% が売上とコストに AI が好影響を与えていると回答しています。

投資対効果 (ROI) につながる AI の活用事例として最も多く挙げられたのが自律型ネットワーク向け AI (50%) で、カスタマー サービスの改善 (41%)、社内プロセスの最適化 (33%) がそれに続きました。

Barros 氏は次のように述べています。「自律型ネットワークは、反復的で受け身のワークフローから人手を排することで、直ちに ROI を生み出します。最も早く効果が表れる領域は、エネルギー管理、障害予測、構成逸脱の修正、容量計画です」

こうした収益および ROI への高い効果を受け、通信事業者は 2026 年に AI 予算を増額する方向です。全体では、回答者の 89% が今後 12 か月で AI 予算が増えると回答しています。これは前年の調査の 65% から増加しており、さらに 35% が今年より 10% を超える増額になると回答しています。

AI ネイティブのネットワークと自律型運用への注力

投資、導入、ROI の効果の点で、ネットワーク自動化が顧客体験を上回り、最も有力な活用事例となっています。これは、自律型ネットワークへの大きな一歩を示しています。自律型ネットワークとは、最小限の人手介入で自己構成、自己修復、自己最適化を行う AI 駆動の自己管理型システムです。88% の組織が、TM Forum が定義する自律性レベルの 1 ~ 3 に該当すると報告していますが、生成 AI とエージェント型 AI の活用によりレベル 5 の自律型ネットワークへの移行が加速すると予想されます。

Chetan Sharma Consulting の CEO である Chetan Sharma 氏は次のように述べています。「自律型ネットワークは、障害、エネルギー消費、手作業による介入を直接減らすため、他のどの AI 活用事例よりも早く投資対効果を生み出しています。エージェント型 AI は、さまざまな領域にわたる意思決定をリアルタイムで調整することで、これをさらに加速させます」

エッジ コンピューティングへの投資急増で通信ネットワークのアーキテクチャが変わりつつあり、分散型コンピューティング インフラにより AI 推論がユーザーの近くで実行されるようになってきています。通信事業者は、AI ネイティブの RAN と 6G に向けた投資も拡大しており、従来の 導入サイクルに先立って、業界の大きな転換点が訪れつつあることを示唆しています。実際、回答者の 77% が、この新しい AI ネイティブの無線ネットワーク アーキテクチャの導入までの期間が大幅に短くなると見込んでいます。

投資を後押しする主な要因として、AI を活用したスペクトル効率向上、エッジ AI アプリケーションをサポートする無線アクセス ネットワークの性能向上、6G の研究開発の加速が挙げられます。

生産性の全般的な向上

通信分野において AI は、自律型ネットワークやビジネス機会を推進するだけでなく、社内業務の改善にも寄与しています。調査では、ほぼすべての回答者が AI によって従業員の生産性が向上していると回答しています。また 26% が、従業員の能力が大きく向上し、より多くのタスクを、より短時間で、より高品質にこなせるようになったと回答しています。

こうした生産性の向上は、バックオフィスからネットワークまで、さまざまな業務に展開されている生成 AI とエージェント型 AI のソリューションによってもたらされています。

Sharma 氏は次のように述べています。「生成 AI は短期間で生産性を向上させました。一方、通信事業者が構造的な ROI を実感し始めるのはエージェント型 AI の領域です。自律型エージェントは、ネットワーク、IT、カスタマー ジャーニーにわたって機能し、人手による遅延を介さずに、洞察を意思決定へとつなげることができます」

詳しい調査結果を確認し、洞察を得るために、レポート「通信業界における AI 活用状況: 2026 年の動向」をぜひご覧ください。

NVIDIA の通信業界向け AI テクノロジについても合わせてご覧ください。