NVIDIA NIM は AWS を使用する数千のヘルスケア、ライフ サイエンス企業による迅速かつ容易な生成 AI 開発および展開を可能にします。
クラウドネイティブのマイクロサービス コレクションである NVIDIA NIM のアマゾン ウェブ サービス (AWS) への統合により、ヘルスケア用に最適化された AI モデルの活用が今までになく容易になります。
AWS Marketplace で利用可能な NVIDIA AI Enterprise ソフトウェア プラットフォームの一部である NIM は、開発者が業界標準のアプリケーション プログラミング インターフェイス (API) を通じて、拡大を続ける AI モデルのライブラリにアクセスすることを可能にします。このライブラリは、創薬、医用画像、ゲノミクス向けの基盤モデルを含み、エンタープライズグレードのセキュリティとサポートに支えられています。
NIM は現在、データの準備と機械学習モデルの構築、トレーニング、展開のためのフルマネージド サービスである Amazon SageMaker と、AWS 上でハイパフォーマンス コンピューティング クラスターを展開、管理するオープンソースのツールである AWS ParallelCluster から利用することができます。また、生物学データ分析用に特別に構築されたサービスである AWS HealthOmics を用いて NIM をオーケストレーションすることも可能です。
NIM に容易にアクセスできることで、既に AWS を利用している数千のヘルスケア、ライフ サイエンス企業は、モデルの開発や本番環境のためのパッケージングといった複雑なことをせずに、より迅速に生成 AI を展開できます。また、開発者がアミノ酸配列、MRI 画像、プレーンテキストの患者健康記録などのさまざまな様式にわたる AI モデルを組み合わせたワークフローを構築するのにも役立ちます。
先日、ボストンで開催された AWS Life Sciences Leader Symposium において発表されたこのイニシアティブは、AWS 上で NVIDIA Clara アクセラレーテッド ヘルスケア ソフトウェアおよびサービスの可用性を拡張するものです。これには、創薬のための NVIDIA BioNeMo、医用画像ワークフローのための NVIDIA MONAI、アクセラレーテッド ゲノミクスのための NVIDIA Parabricks からの、迅速かつ容易に展開できる NIM が含まれます。
製薬およびバイオテック企業が AWS 上で NVIDIA AI を採用
BioNeMo は、基盤モデル、トレーニング フレームワーク、ドメイン固有のデータ ローダー、最適化されたトレーニング法の生成 AI プラットフォームであり、独自データでの生物学および化学モデルのトレーニングとファインチューニングをサポートします。BioNeMo は世界中の 100 を超える組織で利用されています。
世界有数のバイオテクノロジ企業である Amgen は、BioNeMo フレームワークを用いてタンパク質設計用の生成モデルをトレーニングしており、AWS での BioNeMo の利用可能性を模索しています。
タンパク質構造予測、生成化学、分子ドッキング予測のための BioNeMo モデルは、NIM マイクロサービスとして利用できます。これはあらゆる NVIDIA GPU や GPU クラスター上で実行するために事前トレーニングと最適化を行ったものです。これらのモデルを組み合わせることで、AI により高速化された創薬ワークフロー全体を支援することができます。
バイオテクノロジー企業の A-Alpha Bio は、タンパク質間相互作用の測定、予測および設計に合成生物学と AI を活用しています。同社の研究者が汎用の ESM-2 タンパク質言語モデルから、AWS 上の NVIDIA H100 Tensor コア GPU で動作する NVIDIA による最適化版への移行を行うと、すぐに 10 倍以上のスピードアップが確認されました。これによりチームは、候補タンパク質について従来よりもはるかに広範囲なサンプリングができるようになります。
これらのモデルを独自の実験データによって強化したい組織のために、NIM は開発者が Retrieval-Augmented Generation (RAG) によってモデルを強化することを可能とします。これは「lab-in-the-loop (ラボ イン ザ ループ)」設計と呼ばれるものです。
Parabricks がアクセラレーテッド ゲノミクス パイプラインを実現
NVIDIA NIM には、NVIDIA Parabricks からのゲノミクス モデルが含まれます。これは、顧客による構築済みパイプラインの展開を可能にする Ready2Run ワークフローとして AWS HealthOmics でも利用可能です。
ライフ サイエンス企業の Agilent は、NVIDIA GPU 搭載の Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) インスタンス上で動作する Parabricks ゲノム解析ツールを用いて、クラウドネイティブの自社ソフトウェア Alissa Reporter の変異検出ワークフローの処理速度を大幅に改善しました。Parabricks を Alissa 二次分析パイプラインに統合することで、研究者は安全なクラウド環境内で高速なデータ分析を利用できます。
対話型 AI テクノロジがデジタル ヘルスを支援
タンパク質やゲノム配列を解読できるモデルに加えて、NIM マイクロサービスは対話型 AI 用に最適化された大規模言語モデル (LLM) とアバターおよびデジタル ヒューマン用のビジュアル生成 AI モデルを提供します。
AI 搭載のデジタル アシスタントは、患者の質問に答え、ロジスティクスで臨床医を支援することで、ヘルスケアを強化することができます。RAG を用いてヘルスケア組織固有のデータでトレーニングされたデジタル アシスタントは、関連する内部データソースに接続して研究を統合し、洞察を浮かび上がらせ、生産性を向上させる可能性があります。
生成 AI のスタートアップ企業である Hippocratic AI は、ウェルネス指導、手術前の対応、退院後のフォローアップを含む広範なタスクに焦点を当てた AI 搭載のヘルスケア エージェントのテストの最終段階にあります。
AWS を通じて NVIDIA GPU を使用する同社は、デジタル ヘルス用の生成 AI エージェントに、NVIDIA NIM と NVIDIA ACE のマイクロサービスを採用しています。
チームはヘルスケア アシスタント アバターの会話のために、NVIDIA Audio2Face フェイシャル アニメーション技術、NVIDIA Riva 自動音声認識およびテキスト読み上げ機能などを用いました。
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