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トヨタ自動車、NVIDIA仮想GPUで設計開発プロセスを加速、デジタルトランスフォーメーションで次なる未来

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設計製造の現場で、働き方改革を推進する中で課題となるのが、3D CADを利用する設計業務のVDI化です。3D CADを通常のVDIで利用するには、パフォーマンスが不足し、本格的なCADユーザーはVDIが利用できない という問題に企業は直面しています。その中、トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ自動車)では、CADユーザーの約5割がCAD VDIを利用し、設計業務に携わるエンジニアは場所に縛られずにどこからでも仕事ができるようになっています。CAD VDIにより、作業効率が大幅に向上し、設計開発プロセスが加速されたことで、ワークライフバランスの改善も実現しています。トヨタ自動車のデジタルトランスフォーメーションによる働き方改革の推進に向けた取り組みをご紹介します。

トヨタ自動車では、約1万3,000 人の従業員を対象にリモートワークの制度を拡大していましたが、浸透の度合いは部署によってばらつきがありました。そこでトヨタ自動車は、2016年頃からNVIDIA 仮想GPUソリューション(NVIDIA vGPU)を利用した、CAD VDIの実現に向けて検討を開始しました。CAD VDIの導入に中心的な役割を果たしたのが、DX開発推進部でした。当時のその様子を、デジタルトランスフォーメーションの推進を行うDX開発推進部 主査 孝久正信氏は次のように語りました。「設計開発部門では3D CADを使っているため、自席に設置している物理ワークステーションの利用が不可欠でした。通常のVDIで3D CADを使用したときのパフォーマンスの課題もあり、リモートワーク普及のネックになっていました。」

さらに、DX開発推進部 主任 井川幸一氏は、次のように話しました。「NVIDIAさんとは、以前から働き方改革に関して相談をしていました。当時の手段ではコスト面でCAD VDIの実現はまだ難しいだろうと思っていました。しかしNVIDIAさんやVMwareさんからGPUを仮想化できる技術をご案内いただいて、課題が突破できるかもしれないとの期待から、実現に向けた検討が加速しました。」

検討初期からCADのユーザーと共に試行を進めて、画質、レスポンス、ネットワーク環境など現地現物でテストとチューニングを繰り返し、検証の結果、vGPUでパフォーマンスの課題が解決して導入が現実のものとなりました。管理、設計、モデリング、実験・解析、生産準備といった様々な業務で利用しており、CAD VDIの導入については、現在は目標の約5割を達成したところです。

トヨタ自動車株式会社 デジタルトランスフォーメーションの推進
DX開発推進部 主査 孝久正信氏

全社的なプロジェクトであるCAD VDIの導入に特に積極的であり、社内におけるモデルケース的な役割を果たした部門が、トヨタZEVファクトリーの新しい部署である 「ZEV B&D Lab」でした。ZEVとは、Zero Emission Vehicleの略で、環境に優しい車両のことで、電気自動車や燃料電池車が該当します。ZEV B&D Labは、トヨタ自動車の中でも比較的新しい部署であり、働き方改革を率先して行っています。これまでのオフィスでは、物理ワークステーションが机に設置されていましたが、この事が、作業スペースを狭くし、さらに、端末からの発熱がオフィス全体の温度を上げることに繋がるなど、多方面から作業環境の悪化に拍車をかけていました。また、フロア内改装やロケーション変更などの際には、端末の移設が必要になり、設置場所設計、移設準備・作業、設営など手間やコストがかかるうえに、機器破損や紛失のリスクを伴うため、その都度、個別の対応が必要でした。現在のZEV B&D Labのオフィスは2021年1月に完成し、このオフィスは最初からCAD VDI利用前提で設計され、席はフリーアドレスを採用したことで、CAD VDIの機動性を生かした構成になっています。

ZEV B&D Labの特徴について、CAD管理を担当している ZEV B&D Lab主幹 山田晃氏は次のように語りました。「この部は事業や車両の企画から、設計、生産まで一貫して一つの部の中にあることが特徴で、すなわち、様々な働き方が存在する事になります。これに対応できる『いつ、どこで、どうやって 働く』を自在に選ぶことが出来る働く場として、このオフィスを作りました。CAD VDIは、DX開発推進部から紹介が有り活用を進めてきましたが、まさにこの『いつでも、どこでも』を実現する為に、重要な役割を果たし、ZEV B&D Labでは不可欠なアイテムとして活用されています。」

トヨタ自動車株式会社 トヨタZEVファクトリー ZEV B&D Lab 主幹 山田 晃 氏

NVIDIA vGPUを使ったCAD VDIのパフォーマンスも十分満足できるものだと、実際の利用者であるZEV B&D Lab主任の清水 和貴氏は次のように話しました。「ストレスなく作業できていますし、なによりCADを持ち運べる点にメリットがあります。様々な部署とすり合わせ業務を行う際、これまでは会議設定や説明資料が必要でしたが、CAD VDIなら相手先に出向いてCADを見せながら会話ができます。コミュニケーションが気軽に多頻度に行われるようになり、正味の設計時間が増えリードタイムが短縮しました。」

また、CAD VDIによって在宅勤務が可能になったことで、ワークライフバランスやモチベーションの面でもメリットとなったと清水氏は語りました。「トヨタ自動車では在宅勤務等の制度は整っていましたが、CAD作業は出社しないとできず設計者はあまり活用できませんでした。CAD VDI導入によって出社の制約がなくなり、1日のスケジュールをより自由に組めるようになりました。例えば、静かで集中できる早朝にCAD作業を終わらせて、家族とゆっくり朝ごはんを食べ、その後必要に応じて出社といった働き方をしています。そのほか、平日夜に大学院講義を受けたり、家族の体調に合わせたりといった理由で、柔軟に勤務場所を変えることができています。在社中も作業場所を自分で選べるので気分転換できますし、CAD VDIによって公私が一層充実したと感じています。」

最後に、ZEV B&D Labの山田氏とDX開発推進部の孝久氏はCAD VDIへの期待とさらなる働き方改革への展望について語りました。「現状のCAD VDIのパフォーマンスは技術的な観点で満足いくレベルですが、さらなる性能向上を期待したいと考えています。社内でCAD VDIが浸透した一方で、一部のユーザーはCAD VDIで若干動作が緩慢だと感じることを理由に、今も物理ワークステーションを利用しています。将来的にCAD VDIの性能が、物理ワークステーション以上になれば、すべてのCAD端末を利便性の高いCAD VDIに変更できると期待しています。」(山田氏)「今後もトヨタ自動車はCAD VDIへの置き換えを推進して、さらに他のトヨタグループ企業にも同様の仕組みを紹介して行く予定です。さらなるCAD VDIの性能アップで、CADのハイスペック化、処理負荷が高いデザインやCAEなどもVDI 上に構築し、他部門のさらなる働き方改革の促進、業務のDXを目指していきます。」(孝久氏)

本事例の詳細はこちらからご覧いただけます。


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