新しいスーパーコンピューターが現在構築されています。このスーパーコンピューターは膨大な量の環境データを高速処理することで、この星において最大の難問であるライフサイエンス上の諸課題に対処するように設計されています。
国立研究開発法人海洋研究開発機構 (JAMSTEC) は、第 4 世代地球シミュレータの構築をNEC に委託しています。3 月に稼働が予定されている、この新しいシステムは、NEC の SX-Aurora TSUBASA ベクトルプロセッサと NVIDIA A100 Tensor コア GPU を中心とした構成となり、これらすべてが NVIDIA Mellanox HDR 200Gb/s InfiniBand ネットワーキングで接続されます。
その結果、この新しい地球シミュレータは、理論上は 19.5 PFLOPS の最高性能を発揮し、TOP500 スーパーコンピューター ランキングでの最高レベルに匹敵する能力を持つようになります。
この新しいシステムは、マルチアーキテクチャ設計により、地球科学のさまざまな研究および開発のプロジェクトに対応することができます。とりわけ、効率的な数値解析と情報創生を行うための実行プラットフォームの役割を担い、地球環境に関係するデータを連携させます。
その対応範囲は、海洋資源、地震および火山活動にまで及びます。科学者は、地殻変動や地震といった分野での因果関係について、より深い洞察を得られるようになるでしょう。
この地球シミュレータは、自然災害の減災の研究に利用され、2011 年に日本を襲った地震や津波のような自然災害がまた発生した場合には、人命の喪失や損害を最小限に抑制できる可能性があります。
新しい地球シミュレータは、過去世代の地球シミュレータを大幅に超える、高速で大規模なシミュレーションを実行することで、このようなことを可能にします。政府による持続可能な社会経済システムの構築を後押しする、重要な役割を果たすことも、その目的の 1 つとなっています。
新しい地球シミュレータには、膨大な量の環境情報を提供することが期待されています。それにより、エコロジカル フットプリントでの飛躍的な進歩も可能になります。
2015 年に登場した、第 3 世代の地球シミュレータは、1.3 PFLOPS の性能を発揮しました。これは当時の世界ではトップクラスであり、2002 年と 2009 年にそれぞれデビューした、第 1 世代と第 2 世代のシミュレータを凌駕していました。
第 4 世代のモデルは、前のモデルと比較して 15 倍以上の性能を持ちながら、電力消費は同じレベルに維持され、必要な設置面積はおよそ半分となっています。このような成果を可能にしたのは、NVIDIA と NEC による、大規模な研究開発活動でした。
この地球シミュレータにはデータ処理についての最新の成果が組み込まれるため、増え続けるデータ量への対応も可能です。
地球および気候のモデリングで使用される科学アプリケーションが生成するデータは絶えず増加しており、研究者が私たちの世界をシミュレートし、予知するためには、最先端のコンピューティングとネットワーク アクセラレーションが必要となっています。ネットワーク内に演算のためのアクセラレーションエンジンを備えたNVIDIA Mellanox HDR 200Gb/s InfiniBand ネットワーキングと、NVIDIA A100 Tensor コア GPU と NEC SX-Aurora TSUBASA を組み合わせることにより、JAMSTEC は、地球・気候科学の発展、ならびに発見の加速に不可欠な、世界トップクラスの海洋研究プラットフォームを持つようになります。