GPU テクノロジ カンファレンスは、自動車関連イノベーションの話題で終始もちきりでした。
サンノゼ コンベンション センターの玄関口では、ぱっと目を引く何台もの車両が来場者を出迎え、展示会場内にも未来のユーザー候補を待つ自律走行車が勢ぞろいしました。会場裏手の路上では、自律走行車が歩行者や障害物をスムーズに避けて通る様子が見られました。
NVIDIA は GTC の基調講演で、Toyota Research Institute-Advanced Development が自動運転車の開発、トレーニング、検証に NVIDIA DRIVE プラットフォームを採用することを発表しました。これには、DRIVE Constellation シミュレーション ソフトウェア、DRIVE AGX Xavier スーパーコンピューターが含まれます。
展示会場の裏では、世界的サプライヤーの Clarion が、NVIDIA DRIVE AGX Xavier で実行される同社独自の自動遠隔出庫 (長距離呼び寄せ) 技術のデモを実施し、来場者が駐車中の無人自動車をスマートフォンでピックアップ場所まで呼び寄せる機能を体験しました。呼び寄せられた車両は、走行経路上の歩行者や他の車両、障害物を避けて通りながら、ユーザーの待つ場所へとスムーズに到着していました。
ただし、これはほんの手始めに過ぎません。ほかにもさまざまな NVIDIA DRIVE パートナーが車両のドアを開放し、独自の AI 運転技術を GTC 来場者が見て体験できるようにしていました。これらのデモは、自動車メーカーやサプライヤー、スタートアップが NVIDIA DRIVE プラットフォーム上で開発を進めている多彩な自動車技術の代表例です。
インテリア デザインにも AI を利用
ますます進化する自動車の自動運転機能に合わせて安全性と利便性を向上させる上で重要なのは、その中身です。
Mercedes-Benz ユーザー エクスペリエンス (MBUX) のインテリジェント コックピットは、AI を日常の運転体験に取り入れるために量産車に搭載された初のシステムです。Mercedes-Benz CLA のディスプレイでは、このシステムによって自然言語処理とスマート検索が実行され、鮮明なグラフィックスが映し出されました。これらはすべて NVIDIA DRIVE によって実現されたものです。
次世代の安全性については、Guardian Optical Technologies が搭乗者を検知する車内センサーのデモを披露しました。車内の生き物を検知できるこのシステムには、後部座席に子どもやペットが置き去りにされている場合にアラートを発信する機能が搭載されています。
Guardian のCEO、ギル・ドータン (Gil Dotan) 氏は、次のように述べています。「まさに今、AI が自動車業界に変革をもたらしています。そして、AI はより一層インテリジェントで直感的なものへと進化するでしょう。」
破壊的イノベーションを推進
NVIDIA のパートナーは、モビリティ、配達、輸送といった業界の発展に向けた自律走行技術の開発にも取り組んでいます。
中国のスタートアップ、WeRide と AutoX は GTC で、NVIDIA DRIVE AGX Pegasus を利用して、レベル 4 の自律走行タクシー サービスや配送サービスの実用化を目指すことを発表しました。
AutoX の創業者であるジアンシャオ・シャオ (Jianxiong Xiao) 氏は、次のように話します。「NVIDIA の製品がもたらすコンピューティング能力は、当社のニーズを完全に満たすものです。互いに連携して、可能性とアクセシビリティのまったく新しい世界を開きます。」
自動運転ソフトウェアを手掛ける Torc Robotics は、近いうちに無人技術を商用化して、道路利用者全員の安全性を向上させることを目標とする現在の取り組みを紹介しました。
また、自律走行トラック運送会社 TuSimple は、配送の効率化を目指し、マスマーケット向け車両への自動運転技術の展開に向かって大きな一歩を踏み出しました。同社が GTC で発表したのは、夜間や暗い場所でも確実に視界を確保できる自動車グレードのカメラです。NVIDIA DRIVE のハイパフォーマンス コンピューティングを利用したセンサーは、安全な、量産レベルの自律走行トラックにとって重要な要素となります。
TuSimple の創業者であり最高技術責任者のシャオディ・ホウ (Xiaodi Hou) 氏は、次のように指摘します。「目標を達成するには、より多くの情報量を処理する必要があります。NVIDIA の高性能 GPU なくして、この課題を解決することはできません。」