病気の早期予測/予防における AI 変革を加速するデータセット、トレーニング ツール、モデルの構築を目指す
NVIDIA と Scripps Research Translational Institute はこのたび、ゲノミクス データとデジタル ヘルス センサー データに基づく AI の応用を加速すべく、AI とディープラーニングに関するベスト プラクティス、ツール、インフラストラクチャの開発で提携することになりました。
Scripps は NVIDIA との協力の下、ゲノミクスとデジタル センサーにおける人工知能開発の中核拠点 (センター オブ エクセレンス)を設立します。
Scripps の創設者でディレクターでもあるエリック トポル (Eric Topol) 氏は、次のように述べています。「医療分野における AI の可能性は計り知れません。ゆくゆくは AI によって医療の精度、効率、ワークフローが著しく向上するでしょう。それに伴い、コスト削減効果も期待できます。ただしその実現は、AI アルゴリズムの実証と臨床上の有効性の証明に大きくかかっています。特にセンサーから得られるデータと配列解析が重要な役割を果たすでしょう。」
トポル博士は、母体である Scripps Research Institute の個人化医療を専門とするチームを率いています。同研究所は昨年、Nature 誌によってイノベーションにおける世界でもっとも影響力のある研究機関の 1 つにランク付けされました。
Scripps と NVIDIA は連携して、急増する医療データの活用を目的とした機械学習とディープラーニングの利用を推進します。そのデータは、より高速かつ低コストのゲノム配列決定装置と、スマートウォッチ、血圧測定カフ、グルコース モニターなどのデジタル ヘルス センサーによって生成されます。
NVIDIA の AI エキスパートと Scripps の研究者や臨床医から成るチームは、ディープラーニングと、さらに広義の機械学習を利用して、大量のゲノミクス データとセンサー データに取り組みます。
ゲノミクス データは、7 か月ごとに倍増しています。チームはそのデータに対応すべく、変異の検出精度を向上させるとともに、ゲノム配列の解析コストを低減して利用しやすくするためのディープラーニング アプローチの開発を目指します。
ゲノミクス データの驚異的な増加によって、大量のデータを必要とするディープラーニングのアプローチをゲノム研究論文で採用する事例が、この 4 年間で 40 倍に増加しました。
出典: Gökcen Eraslan/Medium
ディープラーニングでは、変異検出からゲノムの表現型情報を予測できます。その予測とデジタル センサーからのデータを組み合わせることで、病気の予防と治療介入の新たな世界が開かれるでしょう。
AI を、画像を超えてデジタル センサーとゲノミクスにまで拡大
これらの取り組みはどれもデータへのアクセスなくしては成り立ちません。その点、Scripps は世界最高レベルのデータを保有しており、最近では米国立衛生研究所が主導する「All of Us Research Program」の主要参加者に選ばれています。
この先駆的プロジェクトには、米国の 100 万人以上の参加者から成る研究集団が含まれ、生物学、遺伝学、環境、データ サイエンス、コンピューティングの共通項の研究で最大のものとなります。
求められる質と量のデータを処理するには、世界最先端の AI コンピューティング プラットフォームが必要です。センター オブ エクセレンスの使命は、私たちがより長く健康でいられるよう、ゲノミクス データとセンサー データを活かして AI の応用を加速させることにあります。