西アフリカ、インド、米国にてがん患者を支援しているNPO(非営利組織)団体の4カ所が、NVIDIA社員が運営する企業基金、NVIDIA Foundationから、5万ドルの支援金を獲得しました。
NVIDIAでは、がんと闘う人々やその家族を支援するためCompute the Cureというプログラムを全社的に推進しています。支援金や社員による資金集めを通じて、がんとの闘いに投じてきた資金は、2011年以来の累計で160万ドル以上にのぼります。
世界保健機関の調べによると、がんは死因として世界的にトップクラスとなっています。
新たにがんを発症する人は、2012年には年間1400万人ほどでしたが、20年後には年間2200万人に増えると予想されています。これほど多くの人ががんになるということは、将来的に全ての人に関係する問題になりうると考えられます。だからこそ、NVIDIAもなにかできることはないか探すようになったのです。
Compute the Cure Cancer Careのグラント(支援金)・プログラムはこの春に始まった新しいもので、その目的は、NVIDIAが事業を展開しているコミュニティでがんの影響を受けた人々を支援すること、さらには、世界各地でがんの影響を受けた人々を支援することです。
このプログラムには、50以上の組織から応募がありました。提出されたプロポーザルを40人近い社員がチェックし、最終選考にかける候補を絞りました。最終選考では、社員の投票で「Employee Choice」1件を選び、残り3件を基金の取締役会(非執行役員により構成されている)が選定しました。
支援金を獲得した組織を紹介しましょう。
インドのIMPACT(Improving Access to Care and Treatment)――Employee Choiceを獲得。
がんと診断された子どもの生存率は世界平均で90%ですが、インドのテランガーナ州とアンドラプラデシュ州では10%にすぎません。集中治療室(ICU)が足りないため、化学療法などの強力な治療に伴う合併症に対応できない場合が多いのです。今回の支援は、適切な治療を提供して生存率が高められるように、がん治療を行う病院に8ベッドのICUと、院内で行える血液検査ラボを作る資金として活用されます。
トーゴのAlafia
Alafiaは、西アフリカの国トーゴで、予防や早期診断を通じて女性教師や女子学生の乳がん生存率を高めることを目指しています。今回の支援は、教師や学生に情報を提供するウェブサイトやトレーニング教材を準備し、学校における予防活動を推進します。同時に一般向けの予防キャンペーンを展開する費用としても活用され、何千人もの教師や学生、一般の人々の役に立つものと思われます。
米国、Jacob’s HeartのChildren’s Cancer Support Services
子どもががんと診断された家族にとって、カウンセリング、各種の情報、同じ境遇の人々との助け合いなどが頼みの綱となります。しかし、社会経済的な問題や言葉の壁、さらには文化的な問題から、このようなサービスをうまく受けられない場合があります。Jacob’s Heartでは、今回の支援を活用し、無償サービスを2文化に対応する形で提供し、がんにかかった子どもを持つ家族のなかでも特に大変な人々のニーズを満足したいとしています。
米国のStupid Cancer
15歳から39歳の若者の病死で死因の第1位となっているのはがんです。しかしながら、手段も支援も限られている若者が多く、孤独にさいなまれたり気持ちが沈んでしまったりする事が多くあります。Stupid CancerのInstapeerは、がん患者やがんを克服した人、介護関係者などと匿名でつながることのできる初めてのモバイル用アプリです。つながる相手は、がんの種類、人種、性別など、ユーザが重視するポイントに応じて選ぶことができます。今回の支援は、アプリの実用化と普及の資金として使われます。