ファンタスティックな世界――Quadro M6000、「トゥルー・アンド・ザ・レインボー・キングダム」のアニメーション・ワークフローに採用

投稿者: Gail Laguna

発明、創意工夫、思いやりのメッセージが、Netflixの最新オリジナル・シリーズ、『トゥルー・アンド・ザ・レインボー・キングダム(True & the Rainbow Kingdom)』には詰まっていたかもしれません。しかし、シーンの裏側では、この子ども向けアニメーション・シリーズの視聴者が画面で目にする1つ1つのピクセルを、NVIDIA Quadro GPUが支えています。

Netflixは、未就学児向けのまったく新しい冒険コメディ・シリーズの製作の依頼を考えた時、Guru Studioに目を向けました。このアニメーションに特化したエンターテインメント企業は、国際的に賞賛される優れた作品を制作してきた実績があります。Home Plate Entertainmentとi am OTHERと共同で、Guruは『トゥルー・アンド・ザ・レインボー・キングダム』を制作し、2017年夏にNetflixのオリジナル作品として全世界で初公開する運びとなりました。

このシリーズは、芸術活動のコラボレーション・チームであるFriends With Youのアートワークと、彼らのモットーである魔法、幸運、友情のメッセージを基にしています。そして、GPUレンダリング用に新たに構築されたエンジンである、Redshiftを使用した完全GPUベースのワークフローで制作されています。このワークフローでは、NVIDIAのGPUのみを使用しています。

Quadro M6000 24GBがデータ処理の懸念を払拭

Guru Studioのコンピュータ・グラフィックス・スーパーバイザーであるユーリー・ローシャ(Yurie Rocha)氏は、次のように述べています。「CPUレンダリングは、CGの初期から行われてきたレンダリング方法です。GPUレンダラーもしばらく前から市場に存在してはいましたが、これらのカードはある程度の量のデータしか処理できなかったため、妥協せざるを得ない点が常にありました。しかし、24GBのメモリを備えたNVIDIA Quadro M6000がリリースされたので、妥協したり懸念したりする必要はもはやなくなりました。」

ローシャ氏は、Quadro M6000がCPU対GPU論争の転換点になったと言い、次のように語っています。

「アーティストは、パフォーマンスの大幅な低下を恐れたり、技術的な問題が原因で創造性が妨げられたりすることなく、限界までシーンのレンダリングを行えるようになりました。」

GPUを使用してRedshiftでシーンをレンダリングした場合、Guruのチームでは、CPUの場合と比べ速度が10倍速くなりました。そして、最新のQuadro 24GBを、250GB HP Z TurboドライブG2搭載のHP Z840ワークステーションに追加したところ、複雑なシーンのレンダリング時にスピードがさらに20%上がりました。これにより、チームでは自信を持って制作に没頭できるようになり、スピードを保つために品質を犠牲にする必要がなくなりました。

アニメーション業界の流れを大きく変える

ローシャ氏は言います。「これは、このGuru Studioでの作業方法を変える非常に大きなパラダイム・シフトであり、さらに多くの企業が追従するのは確かです。まだ、M6000で処理できないシーンにはお目にかかっていません。締切のタイトな制作スケジュールを維持するには、この安心感がきわめて重要となります。」

Redshift Renderingの創立者兼CTOであるパナヨティス・ゾンポラス(Panagiotis Zompolas)氏は、次のように付け加えました。「新しいNVIDIA Quadro M6000 24GBにより、Redshiftのユーザは、ハリウッド・レベルのディテールを持つ見事なシーンを、市場のどの製品よりも数倍速くレンダリングできます。このGPUを使用して、Redshiftのユーザが作り出す作品を目にすることを思うと、本当にワクワクします。」

今回のプロジェクトと、ますます増加する他のプロジェクトに対応するため、Guruでは自社のレンダー・ファームの容量を拡大しました。Guruでは、クラウド・レンダリング、コロケーション、GPUレンダリングなど、あらゆる選択肢を視野に入れていましたが、最終的には、コストがCPUファームの半分で、サーバ室の占有スペースも半分になり、展開が容易な、新しいGPUファームを選びました。また、これにより、Guruが所有する素材を自社環境で安全に保管できるというメリットも加わりました。

ローシャ氏は言います。「NVIDIA Quadro M6000を使えば、オンサイトでレンダー・ファームを確実に構築できるとは知っていましたが、実際作ってみてわかったのは、このファームは今までのやり方で作っていたらコストが倍はかかっていたはずだということです。GPUに切り替えることで、競争面でも優位になりました。」

『トゥルー・アンド・ザ・レインボー・キングダム』制作の詳細については、7月26日午後2時25分(米国太平洋標準時)、NVIDIAシアターで開催される、シーグラフ2016のユーリー・ローシャ氏の講演「NVIDIAのGPUとRedshiftだけを使って、オリジナル・コンテンツの次の波を起こす(Exclusively using NVIDIA GPUs and Redshift to deliver the next wave of original content)」をご覧ください。