編集者の楽園: NVIDIA RTX 搭載のビデオ ソフトウェア CyberLink PowerDirector が High-Efficiency Video Coding にアップグレード

投稿者: Gerardo Delgado

他にも、Adobe、Houdini、Topaz AI のクリエイティブ アプリの最新アップデートの活用方法や、8 月の Studio ドライバのインストール、さらには NVIDIA Omniverse でギリシャ建築のフォトリアルな 3D レプリカを構築するクリエイターの Stavros Liaskos 氏の作品などを紹介します。

編集者注記 : 本ブログは、注目のアーティストを称え、クリエイティブ活動のヒントやコツを説明し、NVIDIA Studio テクノロジがクリエイティブ ワークフローを加速する様子を毎週紹介する「In the NVIDIA Studio」シリーズの最新号です。今回は、新しい GeForce RTX GPU の機能、テクノロジ、リソースを紹介し、これらがどのようにコンテンツ制作を劇的に高速化するのかについても深掘りします。

毎月、NVIDIA Studio プラットフォームによるクリエイティブ アプリの新たなアップデートと最適化が行われ、NVIDIA RTX と AI を使用したクリエイティブ プロセスが強化されています。

RTX 搭載のビデオ編集アプリ CyberLink PowerDirector に、High-Efficiency Video Coding (HEVC) の設定が追加されました。3D アーティストは、Adobe Substance 3D Modeler と SideFX: Houdini で新機能を利用でき、ワークフローの高速化が実現します。また、Topaz Video AI Pro を使っているコンテンツ クリエイターは、NVIDIA TensorRT アクセラレーションで、写真やビデオの修正をより高速にスケーリングできます。

8 月の Studio ドライバが、クリエイターやゲーマーにとって必要不可欠なツールであるベータ版 NVIDIA アプリ からインストールできるようになりました。最新の NVIDIA ドライバとテクノロジを GeForce RTX PC に搭載して最新の状態に保ちましょう。

今週の「In the NVIDIA Studio」では、Stavros Liaskos 氏を特集します。同氏は Universal Scene Description (OpenUSD) アプリの構築と接続に NVIDIA Omniverse プラットフォームを使用し、ギリシャ正教会の教会や神殿、修道院などの建物の物理的に正確な 3D デジタル レプリカを制作しています。

NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) が SIGGRAPH で行った、WIRED のシニア ライターである Lauren Goode 氏との談話、Meta の創業者/CEO である Mark Zuckerberg 氏と対談をご視聴いただき、グラフィックスと生成 AI の最新のブレイクスルーをご確認ください。

そのためのクリエイティブ アプリがある

NVIDIA NVENC ビデオ エンコーダーはすべての RTX グラフィックス カードに組み込まれており、ビデオ エンコードのコンピューティング負荷の高いタスクを CPU から GPU の専用部分にオフロードします。

人気の高いビデオ編集プログラムである CyberLink PowerDirector は、最近 RTX Video HDR のサポートを追加しており、NVIDIA NVENC HEVC Ultra-High-Qualityモードによる HEVC の設定が追加されました。

新しい機能ではビット レートが削減され、エンコード効率が 10% 向上するため、ビデオ品質が大幅に向上します。カスタム設定を使用すると、コンテンツ クリエイターは視聴者に優れた視聴体験を提供できます。

数回クリックするだけで、エンコード効率が 55% 向上します。

アルファ エクスポート機能を使うと、アルファ チャネル付きの HEVC ビデオをエクスポートでき、ビデオにオーバーレイ効果を追加できます。この手法を使用すると、透明な背景の作成や、アニメーション オーバーレイの高速処理が可能になるため、ソーシャル メディア コンテンツの制作に最適です。

アルファ チャネルを使用すると、他のプロセッサでサポートされているランレングス エンコードと比較して最大 8 倍高速に HEVC ビデオをエクスポートでき、ファイル サイズは 100 分の 1 に縮小されます。

アーティスト、バーチャル エフェクト スペシャリスト、デザイナー向けのマルチサーフェス 3D スカルプティング ツールである Adobe Substance 3D Modeler は Block to Stock をリリースしました。ジオメトリベースのこの機能には AI が搭載され、複雑な形状のプロトタイプ作成を高速化します。

この機能により、大まかな 3D 形状を、より細かい既存の類似した形状の 3D モデルにすばやく置き換えることができます。そのため、非常に詳細な形状があっという間に作成されます。

モデリング、アニメーション、ライティング用の 3D プロシージャル ソフトウェアである SideFX: Houdini でリリースされたばかりのバージョン 20.5 では、NVIDIA OptiX 8 と NVIDIA の Shader Execution Reordering 機能が Karma XPU レンダラーに導入されました。この機能は NVIDIA RTX GPU 専用です。

これらの機能が追加されたことで、コンピューティング負荷の高いタスクを RTX GPU で最大 4 倍高速に実行できるようになりました。

ノイズ低減、シャープ化、アップスケーリングが可能な写真とビデオの強化ソフトウェアである Topaz Video AI Pro には、マルチ GPU 構成用の TensorRT アクセラレーションが追加されました。これにより、複数の GPU 間での並列化が可能になりレンダリング速度が大幅に向上します。2 基の GPU を使用すると、単一の GPU システムよりも最大 2 倍高速になり、システムに GPU が追加されるとさらに高速化されます。

ギリシャのバーチャルな文化遺産

ビジュアル コミュニケーション会社 Reyelise のマネージング ディレクター、Stavros Liaskos 氏が作る没入感のある作品のおかげで、バーチャル リアリティの世界で誰でも 30 を超えるギリシャの文化遺産を巡ることができるようになりました。

同氏は次のように述べています。「多くの歴史的および宗教的遺産は、環境条件、放置、社会政治的問題により危険にさらされています。詳細な 3D レプリカを作成することで、私たちはそれらの建築の素晴らしさをデジタルで保存し、将来の世代に残すことに貢献しています」

Liaskos 氏はこのプロジェクトを、昨年亡くなった父親に捧げるものとして取り組んでいます。

「父は私に忍耐の大切さを教え、達成できないものは何もないという信念を植え付けてくれました。父の知恵と導きは、今でも毎日私を励まし続けてくれています」

教会は建築的に複雑な構造物です。教会の物理的に正確な 3D モデルを作成するために、Liaskos 氏は Omniverse の高度なリアルタイム レンダリング機能を、多数のコンテンツ制作アプリと連携させて使用しました。

OpenUSD フレームワークにより、Liaskos 氏が使用するさまざまなアプリ間でシームレスなワークフローが実現しました。たとえば、構造物の高精度 3D スキャンに Trimble X7 を使用した後、Autodesk 3ds Max と Blender への移行を簡単に行いモデリングとアニメーションの作業をしました。

次に、ZBrush を使用してモデルに複雑な建築ディテールを彫刻し、Adobe Photoshop と Substance 3D でテクスチャを洗練させました。これらすべてが Omniverse に統合され、リアルタイムのライティングとレンダリングが行われました。

ギリシャのアテネにあるパナギア クリソポリティッサ教会の内部レンダリング

視覚効果の追加やレンダリングされたシーンのコンパイルといったポストプロダクション作業では、Liaskos 氏は OpenUSD を使用してプロジェクトを Adobe After Effects に転送し、そこでビデオ出力を仕上げました。同氏のクリエイティブ ワークフローのほぼすべての要素は、NVIDIA RTX A4500 GPU により高速化されました。

アテネのメツォヴォ通りにある聖ワシリイ大聖堂の内部風景

Liaskos 氏はまた、ユーザーがバーチャル リアリティ (VR) でリアルタイムに 3D プロジェクトを操作できるエクステンデッド リアリティ (XR) アプリケーションの開発にも乗りだしました。

まず、レーザー スキャンとフォトグラメトリを使用して、教会の詳細な形状とテクスチャをキャプチャしました。

次に、Autodesk 3ds Max と Maxon ZBrush を使用してリトポロジを行い、ディテールを損なうことなくモデルがリアルタイム レンダリング用に最適化されるようにしました。

Liaskos 氏は OpenUSD を使用して NVIDIA Omniverse にインポートした後、XR シーンをパッケージ化して、NVIDIA Omniverse Create XR 空間コンピューティング アプリや Unity エンジンを使用し VR ヘッドセットにストリーミングできるようにして、没入感のある視聴体験を実現しました。

Liaskos 氏は次のように述べています。「このアプローチにより、これらの遺跡の建築美と文化的重要性がさらに際立って見えるようになるでしょう。深い精神性を持つ空間を訪れた際に感じる圧倒的で衝撃的な静けさと平穏無事な心情をあらわす安心感を再現するには、シミュレーションを可能な限り優れたものにしなければなりません」

クリエイターの Stavros Liaskos 氏。

このプロジェクトは、ギリシャのアテネ聖大司教区で 2021 年から 2027 年にかけて施行されているデジタル トランスフォーメーション計画の一環として、欧州連合 (EU) が共同出資しています。

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