NVIDIA とパートナー企業がソフトウェア デファインド AI-RAN を次世代の無線技術として紹介

実証実験、新たなパフォーマンス ベンチマーク、通信事業者の採用の増加、NVIDIA プラットフォーム上に構築されたパートナー企業の革新技術が、AI ネイティブの 5G および 6G ネットワークへの移行を強調
投稿者: Kanika Atri

AI-RAN はラボから実環境へと移行しつつあり、将来の AI ネイティブ無線ネットワークを構築するには、ソフトウェア デファインド アプローチが唯一の現実的な方法であることを示しています。

3 月 2 日から 5 日までバルセロナで開催される Mobile World Congress (MWC) に先立ち、NVIDIA と Nokia は、NVIDIA AI-RAN プラットフォームを活用した、欧州、アジア、北米の大手通信事業者との新たな AI-RAN コラボレーションを発表しました。業界のパイオニアである T-Mobile U.S.、Indosat Ooredoo Hutchison (IOH)、ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は実装マイルストーンを達成し、NVIDIA 搭載の AI-RAN を屋外および無線で利用できるようになりました。

SynaXG などのパートナーによる新たなベンチマーク結果では、NVIDIA プラットフォーム上で実行される AI-RANが、複数の 5G 周波数帯域において、高速でキャリアグレードのパフォーマンスで極めて高い信頼性を実現することが示されました。また、MWC では、NVIDIA プラットフォーム上に構築された 20 以上の AI-RAN Alliance デモが展示され、AI が 5G のパフォーマンスと効率性を向上させ、新しいエッジAIアプリケーションの可能性を広げる様子が紹介されます。

これらすべては、安全でオープンな AI ネイティブの 6G システム の基盤となる、共通のソフトウェア デファインド基盤に向けた勢いと収束を示しています。

AI-RAN、ラボから実運用へ

主要通信事業者とパートナー企業は、NVIDIA プラットフォームを活用して AI-RAN を商用展開しています。

T-Mobile U.S. は、Nokia の CUDA アクセラレーテッド RAN ソフトウェアを使用し、NVIDIA AI-RAN プラットフォーム上で AI と RAN の同時処理を実証しました。T-Mobile の無線フィールド環境では、Nokia の 3.7GHz 帯域における AirScale 大規模 MIMO (Multiple Input and Multiple Output) 無線が、5G と並行して、ビデオ配信、生成 AI、AI を活用したビデオキャプション作成などのアプリケーションを実行する商用デバイスをサポートしました。

ソフトバンクの AITRAS 実証実験では、NVIDIA AI-RAN プラットフォーム上で動作する完全ソフトウェア制御の 5G ネットワークを構築し、業界初の 16 レイヤーの大規模な MassiveMIMO を実現しました。これは AI-RAN の商用化に向けた、技術上の重要なマイルストーンとなりました。

IOH は、NVIDIA AI-RAN プラットフォーム上に Nokia の vRAN ソフトウェアを搭載したソフトウェア デファインド 5G を実装し、概念実証から商用化前のフィールド検証へと進展させました。このマイルストーンは、MWC で東南アジア初となる AI を活用した 5G 通話を通して実証されました。この通話では、AI とネットワークインテリジェンスがシームレスに連携し、ライブ 5G ネットワ​​ークを介したロボット犬の応答性の高い遠隔操作など、安全でリアルタイムな越境接続を実現しました。この成果は、IOH が AI ネイティブ ネットワーク機能を拡張し、インドネシア全土のコミュニティにインテリジェントな接続をもたらす準備が整っていることを示しています。

SynaXG は、NVIDIA AI Aerial(AI ネイティブ無線ネットワークの構築、トレーニング、シミュレーション、展開のためのアクセラレーテッド コンピューティング プラットフォーム、ソフトウェア ライブラリ、ツールのスイート)を用いて、完全なソフトウェア デファインド AI-RAN を実証しました。単一の NVIDIA GH200 サーバー上で、サブ 6GHz帯(FR1)とミリ波帯(FR2)の両方の周波数帯域で 4G と 5G を実行し、エージェントAI ワークロードも実行しました。これは、FR2 帯域における世界初の AI-RAN 実装となります。

SynaXG のセットアップは、1 つのプラットフォーム上で集中型ユニット(CU)と分散型ユニット(DU)の両方を備えた 20 のコンポーネントキャリアをアクティブ化し、ダウンリンク速度 36Gbps と 10 ミリ秒未満の遅延を実現しました。これらの画期的な結果は、AI-RAN ベースの 5G パフォーマンスと、AI と RAN ワークロード間のシームレスなオーケストレーションを際立たせています。

AI-RAN イノベーションのペースが3倍に加速

今年の MWC では、昨年の 3 倍の AI-RAN イノベーションが発表される見込みです。AI-RAN Alliance のデモ 33 件のうち 26 件は、NVIDIA AI Aerial とソフトウェア デファインド アーキテクチャを使用して構築されています。

これらのデモには、以下のようなものがあります。

  • DeepSig は、リンク(2 つのデバイスを接続する通信チャネル)の両端で AI がよりスマートな信号フォーマットを学習できるようにすることで、デバイスとネットワークの「対話」方法を革新しています。AI ネイティブのエア インターフェースは、デバイスと基地局でニューラル技術を用いて信号の最適なエンコードとデコード方法を共同で学習し、パイロットのオーバーヘッドを排除し、サイト固有のチャネルに適応します。NVIDIA プラットフォームでの初期結果では、同一スペクトルから最大約 2 倍のスループットと、より優れたスペクトル効率およびエネルギー効率が得られています。
  • SUTD、NVIDIA、そしてパートナー企業は、ロボットや自律走行車がデバイス、エッジ、クラウド全体に「思考」を分散させる方法を紹介します。これにより、分割推論をコンセプトから実装まで実現します。各 AI タスクの実行場所をリアルタイムに決定することで、デモでは AI-RAN が厳しいレイテンシ、プライバシー、カバレッジのサービスレベル契約を満たし、ネットワーク エッジを通じてフィジカルAIとビジョン言語モデルを拡張する方法を実証します。
  • zTouch Networks とパートナー企業は、通信業者が AI と RAN のワークロード間で GPU を安全に共有する方法を示す AI-RAN オーケストレーションのブループリントを構築しました。 NVIDIA Multi-Instance GPU テクノロジを活用することで、ブループリントはリソースをリアルタイムで制御し、GPU 利用率を最大化し、エネルギー管理を改善しながら RAN のサービス品質を確保します。これは、マルチテナント AI-RAN ソリューションを商用利用に備えるための重要なステップであり、通信事業者は GPU のキャパシティを収益につなげることができます。
  • ノースイースタン大学とソフトバンクは、NVIDIA AI Aerial 向けの AI スイッチング ソリューションのデモ行います。このソリューションは、チャネル推定において AI と従来のアルゴリズムをデータロス無しでシームレスに切り替えます。これにより、状況に応じて常に最適な処理手法がリアルタイムで選択され、安定性とスループットが向上するとともに、AI と従来のアプローチが共存できることが実証されます。

AI-RAN Alliance の議長である Alex Choi 氏は次のように述べています。「AI-RAN は、将来の無線ネットワークの統合アーキテクチャとして台頭しています。ソフトウェア デファインドで GPU アクセラレーテッド アーキテクチャを中心に、事業者、ベンダー、研究者を連携させることで、イノベーションを促進し、新しいコンセプトを迅速に検証し、AI ネイティブ 6G の基盤を今まさに構築しているのです」

インテリジェンスが現実世界に進出するにつれ、ロボットや自動車などの自律システムは、AI-RAN ネットワークを活用して、視覚、感知、リーズニング、行動といった機能を実現しています。

Capgemini は、Horizo​​n Europe が資金提供するプロジェクト ULTIMO に参画し、AI-RAN がヨーロッパの都市で大規模な自律型モビリティ サービスをどのようにサポートできるかを実証しています。NVIDIA Jetson Orin モジュールを搭載した自律型シャトルは、センサー データをローカルで処理し、選択されたビデオ配信とテレメトリストリームは 5G 経由で NVIDIA AI-RAN サーバー上のエージェントAIアプリケーションに送信されます。これらのワークロードは、シーン理解、インシデント検知、安全性検知、アクセシビリティに関する洞察を大規模に処理する一方で、ミッション クリティカルな 5G はGPU リソ​​ースへの優先アクセスを得ます。

拡大するエコシステム

NVIDIA 搭載 AI-RAN プラットフォームを軸に、パートナーによるエコシステムが拡大しており、通信事業者は幅広い導入ソリューションから選択が可能です。NVIDIA Aerial RAN Computer (ARC) プラットフォームは、NVIDIA Grace CPU と各種 GPU を活用し、AI ネイティブ RAN インフラ向けに高性能かつエネルギー効率の高いコンピューティング基盤を提供します。

  • Quanta Cloud Technology (QCT) は、NVIDIA ARC プラットフォームと Nokia ソフトウェアをサポートする市販の AI-RAN 製品を発表し、通信事業者に AI-RAN の標準化された構成要素を提供します。
  • Supermicro は、NVIDIA ARC-Pro および NVIDIA RTX 6000 ベースの構成、Nokia ソフトウェアを搭載した ARC-Compact システムなど、NVIDIA AI-RAN ポートフォリオ全体にわたるサポートを拡大しています。
  • WNC は、NVIDIA AI Aerial Testbed と NVIDIA ARC プラットフォームを統合し、5G および 6G のユースケースをサポートする、AI に最適化された新しい屋内および屋外オープン無線ユニットを発表しました。
  • Eridan は、NVIDIA AI Aerial と統合された 2T2R O-RU に加え、4T4R O-RU を発表しました。NVIDIA DGX Spark デスクトップ スーパーコンピューター上で動作する DU と組み合わせ、スペクトル効率の高い無線と GPU ベースのベースバンド処理を組み合わせることで、強力でポータブルな屋外基地局を実現します。
  • LITEON は、サブ 6GHz およびミリ波無線ユニットを NVIDIA AI Aerial に統合し、Supermicro や SynaXG などのエコシステム パートナーとの連携を拡大することで、AI-RAN の商用化を加速させています。

オープンでセキュアな AI ネイティブ 6G の基盤構築

NVIDIA の最新の「State of AI in Telecom(通信業界におけるAIの現状)」レポートによると、業界は AI ネイティブ RAN と 6G への投資を強化しており、従来の 6G 導入サイクルに先駆けた大きな転換点となっています。回答者の 77% が、この新しい AI ネイティブ無線ネットワークアーキテクチャの導入期間が大幅に短縮されると予想しています。

ソフトウェア デファインド AI-RAN の最新の進歩は、安全でオープン、そして AI ネイティブな 6G システムへの基盤を整えています。

NVIDIA はすでに NVIDIA Aerial CUDA アクセラレーテッド RAN ライブラリをオープンソース化 しており、AI-RAN イノベーションを加速させています。また、NVIDIA は Linux Foundation が主催する OCUDU (Open CU DU) Ecosystem Foundation にも参加し、オープンソース RAN ソフトウェア開発に貢献することで、次世代ワイヤレスネットワークの研究と商用化も加速させています。

詳細は NVIDIA とパートナー企業が参加する Mobile World Congress でご確認ください。「State of AI in Telecom」サーベイから得られた重要な知見もご覧ください。