クリエイティブ エージェンシーの Black Mixture、NVIDIA RTX で動く生成 AI で驚くようなビジュアルを制作

さらに、GeForce RTX 50 シリーズ GPU のパフォーマンスが向上した NVIDIA Broadcast のアップデート情報もお届けします。
投稿者: Michael Fukuyama

メディア企業の Black Mixture にとって、AI は単なるツールにとどまりません。AI はクリエイティブなビジョンを実現するためのパイプラインそのものです。

Nate Dwarika 氏と Chriselle Dwarika 氏が 2010 年に設立した Black Mixture は、クリエイティブ ワークフローでの AI の活用に革新的なアプローチを採用しています。伝統的な芸術的手法を用いてモーション デザインと制作の分野で高い評価を築き上げた後、AI ツールを自身のプロジェクトに取り入れたいアーティストへの教育、カスタム AI リソースの選定、YouTube チャンネルでのチュートリアルの共有など、活動の幅を広げてきました。

同社は最近では GPU アクセラレーション機能を活用し、アプリ内のクリエイティブ ワークフローを強化してきました。そして現在、同社のツールキットには新しい AI モデルと AI 機能が追加され、NVIDIA GeForce RTX 4090 を搭載したシステム上で最も複雑な AI タスクをローカルで実行できるようになっています。

Black Mixture は、生成 AI を活用してビデオや画像のアセットを作成、強化しています。今回の RTX AI Garage では、同社が使用するアプリやワークフロー、そして AI に関するヒントやコツをいくつかご紹介します。

さらにもう 1 つ。NVIDIA Broadcast のバージョン 2.0.2 がリリースされ、GeForce RTX 50 シリーズと NVIDIA RTX PRO Blackwell GPU のパフォーマンスが最大 15% 向上しています。

プレゼンテーションのための AI

イテレーションは生成 AI コンテンツ制作プロセスの重要な部分であり、一般的なプロジェクトでは最大数百枚の画像を生成する必要があります。

ChatGPT や Google Gemini などのモデルは 1 枚の画像を比較的高速に作成できますが、Nate Dwarika 氏と Chriselle Dwarika 氏などのアーティストが求めるのは、それよりもはるかに高速かつ高度なクリエイティブ コントロールです。RTX によって高速化されたオンデバイスの AI ツールを使用すれば、そのスピードとコントロールを実現できます。

ローカル駆動型生成 AI モデルのほぼすべてが、NVIDIA GeForce RTX によって高速化されています。

「ComfyUI で 1024×1024 の標準的な画像を 1 つ生成する場合、私の RTX 4090 でかかる時間は 2 秒か 3 秒です。数百のアセットを一括生成する場合は、1 時間、丸一日、あるいはそれ以上かかることもあります」— Nate Dwarika 氏

Black Mixture チームは生成 AI を使用することで、手作業よりもはるかに多様な高品質画像からインスピレーションを得ながら、クライアントの希望するビジョンに合わせて出力を洗練させることができます。

Nate Dwarika 氏はテキストから画像を生成するワークフローに、ノードベースのインターフェースである ComfyUI を使用しています。ComfyUI は、ノードの配置における柔軟性が高く、人気の生成 AI モデルのさまざまな特性を組み合わせることができます。これもすべて、GeForce RTX GPU によって高速化されています。

そのような前述の生成 AI モデルの 1 つが FLUX.1-dev で、これは Black Forest Labs の画像生成モデルです。このモデルを RTX AI PC 上の ComfyUI に展開すると、モデルは PyTorch の CUDA アクセラレーションを活用して、アーティストのワークフローを大幅に高速化します。下の画像は、Mac M3 Ultra では 1 枚あたりの生成時間に約 2 分かかるところ、GeForce RTX 4090 デスクトップ GPU では 12 秒かからずに生成できます。

RTX なら数分ではなく数秒で制作可能。

Black Forest Labs はさらに、FLUX.1 Kontext も提供しています。これは、参照画像やテキスト プロンプトから開始して、ファインチューニングや複数の ControlNet (画像の構造や構図などをより正確に制御できる拡張機能) を使った複雑なワークフローも必要とせずに、提案機能によって編集をガイドするモデル ファミリーです。

下にある息をのむようなドラゴンのビジュアルに注目してください。これを制作したアーティストは FLUX.1 Kontext を使うことで、最初のビジュアルを迅速にイテレーションし、同じプロンプト ウィンドウ内でポーズ、エッジ、深度マップなどの追加入力を AI モデルに指示することができました。

怖いの? 僕は怖くないよ。

FLUX.1 Kontext は、VRAM の使用量を削減した量子化バージョンも提供されており、これによってさらに多くのユーザーがローカルで実行できるようになります。これも、NVIDIA GeForce RTX Ada 世代および Blackwell GPU のハードウェア アクセラレーションを活用しています。

量子化バージョンは NVIDIA TensorRT の最適化と組み合わせることで、2 倍以上のパフォーマンスを実現します。量子化には FP8 と FP4 の 2 つのレベルがあります。FP8 は GeForce RTX 40 シリーズと 50 シリーズの両方の GPU で高速化されますが、FP4 は 50 シリーズでのみ高速化されます。

Dwarika 氏は GeForce RTX 40 シリーズの FP8 量子化をサポートする Stable Diffusion 3.5 も使用していますが、これにより、VRAM 使用量が 40% 削減され、画像生成速度がほぼ 2 倍になります。

これらのビジュアル AI ツールを活用することで、Black Mixture は時間効率とコスト効率に優れた方法で、クライアント向けにフォトリアルで独創的なビジュアルを作成できます。

Nate Dwarika 氏と Chriselle Dwarika 氏は、RTX によって高速化された従来型のコンテンツ制作ツールも数多く使用しています。ビデオ コンテンツの場合、Nate Dwarika 氏は GeForce RTX 4090 GPU に内蔵された NVIDIA エンコーダー (NVENC) を使用して、OBS Studio で映像をキャプチャしています。

NVENC は独立したエンコーダーであるため、GPU の残りの部分でパフォーマンスが低下することなく、リソースを大量に消費する ComfyUI のワークフローにパフォーマンスを集中させることができるため、最高のエンコード品質が維持されます。

Dwarika 夫妻は、メディア インテリジェンス、スピーチを強調、アンシャープ マスクなど、RTX アクセラレーションを活用したさまざまな AI 機能が搭載された Adobe Premiere Pro で最終編集と修正を行っています。NVENC を活用した GPU アクセラレーテッド エンコードを使用することで、最終ファイルの書き出し速度が大幅に向上しています。

Black Mixture は今後、ワークフローで AI の活用を始めたいクリエイターを対象とした講座「Advanced Generative AI Course (生成 AI 上級コース)」の開設を計画しています。このコースでは、生成 AI の機能、NVIDIA RTX AI テクノロジ、そして最適化について学ぶライブ トレーニング シリーズを受講できます。参加者は、6 週間から 8 週間のライブ セッション、30 時間以上の自習型課題、ゲスト エキスパートによる講演、学生によるショーケース、限定 AI ツールキットの利用など、多くの特典が期待できます。

次世代のストリーミング

NVIDIA Broadcast バージョン 2.0.2 は、NVIDIA GeForce RTX 50 シリーズおよび NVIDIA RTX PRO Blackwell GPU のパフォーマンスを 15% 向上させます。

このパフォーマンス向上により、Studio Voice や Virtual Key Light などの AI 機能が GeForce RTX 5070 以上の GPU で使用できるようになります。Studio Voice は、ユーザーのマイクの音質を高品質なマイクに匹敵するレベルに高める機能で、Virtual Key Light は被写体の顔に照明を追加してまるで 2 つのライトで明るく照らしているかのように見せる機能です。

Eye Contact 機能 (AI を活用して、ユーザーが横を見たりメモを取ったりしているときでも、カメラをまっすぐ見ているように見せる機能) では、目の色の安定性が向上しました。他にも、ユーザー インターフェース要素のアップデートによる操作性の向上や、ハイ コントラスト テーマのサポート強化などの機能強化が実現しています。

NVIDIA Broadcast をぜひダウンロードしてください。

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