RED Digital Cinema と NVIDIA、8K 映画の編集を現実のものに

投稿者: Andrew Page

新しい NVIDIA RTX を活用した REDCODE RAW SDK によって、コンテンツ クリエイターはリアルタイムの 8K ビデオ編集が可能に。

先週、ハリウッドの歴史ある劇場、リンウッド ダン シアターで開催された業界イベントで、RED Digital Cinema と NVIDIA のコラボレーションの成果が発表され、8K ビデオの編集作業が、より簡単にわかりやすい方法で扱えるようになったことが明らかにされました。

Adobe、Colorfront、HP およびその他のリーダーたちを前にして、RED と NVIDIA は、NVIDIA CUDA を搭載した REDCODE RAW デコード SDK を発表しました。これにより、ソフトウェア開発者およびスタジオは、8K ビデオでの作業を新しい、パワフルな方法で行うことができるようになります。

RED Digital Cinema の社長であるジャレッド ランド (Jarred Land) 氏は、次のように話しています。「私たちのミッションは、あらゆる場所のコンテンツ クリエイターが映画並みの画像と性能を得られるようにすることです。RED、NVIDIA および私たちの業界パートナーは、不公平をなくそうとしており、誰もが高解像度の処理と画像品質のテクノロジを利用できるようにしています。」

数百万台の 4K テレビが毎月、消費者のもとに届いており、Netflix や Hulu、Amazon などが、それに合わせたフォーマットで圧倒的な本数のコンテンツをストリーミング配信しているほか、今年、10 万台の 8K テレビがマーケットに出荷されており、8K はビデオの新たなフロンティアとなりつつあります。

しかし、今日のビデオ エディターたちが 8K で本当に重要だと考えているのは、4K の編集作業をより柔軟にできるということです。「オーバーシュート」の解像度では、クリエイターは、ショットの最良のパートでのカメラの安定、パンニング、トリミング、ズームインといったビデオ編集作業でより多くのことができるようになります。また、コンポジターは、キーイングおよび画像トラッキングで、マスク処理をより精密にできるようになります。

8K から 4K にダウンサンプリングするだけで、ノイズのようなアーティファクトを減らすことができ、より高い品質のビジュアルを作り出すことができます。8K は 4K のちょうど 4 倍のサイズであるため、作業ははるかにシンプルになります。

ただし、8K の作品が増えると、莫大な処理能力のある CPU または RED ROCKET-X のような単一目的のハードウェアが必要となり、ほとんどのコンテンツ クリエイターにとって、それらは手の届かないものとなっています。今、それが変わりつつあります。

8K 編集の扉を開く

今年の 4 月、NVIDIA と RED は、これまでコンピューターに依存していた REDCODE RAW 映像のデコーディングとディベイヤ処理を単一の NVIDIA GPU にオフロードすることで、8K ビデオの処理を加速させるイニシアティブを発表していました。

昨夜のイベントでは、1 秒間あたり 24 フレーム以上をリアルタイムで処理する能力が実証され、NVIDIA Quadro RTX 6000 GPU を活用して、単一の CPU の HP Z4 ワークステーションを使ったシステムで、RAW 8K 画像の再生、編集および色調調整が行われました。これにより、6,750 ドルの RED ROCKET-X または 2 万ドルのデュアル プロセッサ ワークステーションを購入する必要がなくなります。

NVIDIA TITAN RTX または GeForce RTX 2080 Ti GPU でも、この 8K 性能を得ることができますので、エディターは、予算または撮影場所に応じて適切なツールを選ぶことができます。

NVIDIA GPU は、事前キャッシュまたはプロキシ生成なしで、RED MONSTRO の 8192×4320 のフレームを 24 FPS で再生することのできる、唯一のソリューションです。GPU は、あらゆるフレームを必要に応じて処理していますので、タイムラインをすばやく、機敏にスキップすることができ、スクラブの調整もなめらかに行うことができます。

さらに、アクセラレーションは 8K に限定されているわけではなく、新しい SDK は、レガシーの GeForce、TITAN、Quadro および Quadro を搭載した、多様なデスクトップ PC やノートブック PC の GPU にも対応しており、4K、5K および 6K のワークフローでも活用することができます。

8K ワークフローのパイオニアである Colorfront もイベントに参加し、リアルタイム以上の速さの RAW 処理と HDR での 8K 再生のデモが行われました。

Colorfront のマネージング ディレクターであるアロン ヤズベレニー (Aron Jaszberenyi) 氏は、次のようにコメントしています。「Colorfront は、これまで数年間にわたって 8K 対応のシステムを送り出しており、RED と NVIDIA ならびに他の業界リーダーたちとともに、8K 向けのより高速でより合理的な未来のテクノロジの誕生を祝うことができ、嬉しく思っています。NVIDIA GPU でウェーブレット展開を可能にする、新しい RED SDK の登場により、Colorfront では、GPU ですべての RAW 処理ができるようになり、AJA Kona5 ビデオ カードを使って 8K ビデオ (最大 60p) をアウトプットできるようになります。リアルタイム以上の速さでの 8K RAW 映像のディベイヤ処理と展開を可能にし、8K HDR モニターで 8K 画像を同時に表示できる最新の技術進歩により、Colorfront とパートナーは、ともに大きな飛躍を遂げることができました」

映画制作者やコンテンツ クリエイターも、今回の技術進歩に沸き立っています。

映画監督兼撮影監督のフィル ホーランド (Phil Holland) 氏は、次のように話しています。「数年前には、映像をエクスポートするときのリアルタイムの再生またはリアルタイムのエンコーディングは、あり得ないことでした。GPU がさらに進化した結果、コンテンツ クリエイターは、このような性能上の進歩を、より一般的なシステムで享受できるようになりました。ネイティブの RAW フォーマットでの作業によって実現する、リアルタイムのエフェクト、大幅に高速化されたエクスポート、ならびにさらに高速化されたアプリケーションの再生はすべて、デジタル シネマ カメラが 4K から 5K、6K、8K、それ以上へと進化しつつある現在において、大幅な時間節約効果をもたらします」

発売予定

リリースされた RED R3D SDK および REDCINE-X PRO ソフトウェアは、2019 年 第 1 四半期末に発売開始の予定となっています。SDK のベータ バージョンは、統合に対応している、主要なサードパーティーに提供されています。REDCINE-X PRO ベータ バージョンについての詳細は、後日お知らせいたします。

リンウッド ダン シアターでのプレゼンテーションをご覧ください。