NVIDIA Omniverse がデザイナーのグローバルなコラボレーションを変革する

投稿者: Andrew Rink

グラフィックスとシミュレーションのプラットフォームにより、フォトリアルなデジタルツイン上でリアルタイムの共同作業を可能にし、AEC (建築、エンジニアリング、建設) 企業の生産性を最大化

どちらの建築会社のデザイン チームに聞いても、厳しい納期の中でコンセプトのイテレーションをし、要求の厳しいクライアントに素晴らしい 3D モデルを納品していると話してくれるでしょう。急な入札提案のために、魅力的なレンダリング結果を急いで提出したというエピソードもあるかもしれません。

クリエイティブで革新的なアイデアを考え付くのはたやすいことではありません。加えて、共同作業をしている同僚が別のデザイン ソフトウェア ツールを使っている場合や、フォトリアリスティックなレンダリング結果を使って急いでデザインを伝えなければならない場合、作業はなおさら難しくなります。

NVIDIA Omniverse は、NVIDIA RTX GPU と Pixar の Universal Scene Description をベースにした、リアルタイムのグラフィックスおよびシミュレーション プラットフォームです。Omniverse の AEC Experience 機能セットは、企業がコンセプト デザインのプロセスを改善するためのツール群を提供します。

Omniverse が実現する主なブレイクスルーの 1 つは、Autodesk Revit、McNeel Rhino、Trimble SketchUp の間を 1 クリックで移動できることです。巨大なモデルを、データの準備や簡略化の必要なしに、対応しているフォトリアルなレンダリング ソフトウェアで見ることができます。これにより、コストのかかる変換による遅れや、ソフトウェア ツール間のエラーがなくなり、大幅に時間を節約できます。

Omniverse は、Omniverse Viewに新しいタイプのレンダリングを導入しています。このモジュールは複数の NVIDIA RTX GPU で高速化され、並外れたスケーラビリティを実現し、巨大な 3D モデルであっても高品質にリアルタイムで生成できます。Omniverse View は、様々なアプリケーションから集約した 3D コンテンツを Omniverse 内で表示するか、または使用中の 3D アプリケーションで直接表示します。商用のゲーム エンジンやオフライン レンダラーにも対応しています。

画像提供: Woods Bagot

また Omniverse では、社内の同僚やクライアントが忠実度の高いレイ トレーシングされたモデルを共有して 1 クリックでスマートフォン、タブレット、ブラウザーに表示できるため、デザイン レビューが容易になり、チームはデザインについてより効果的に伝達できるようになります。

まずは、Omniverse AEC Experience では、コンセプト デザインのワークフローを強化して、建造物のデザイン プロセスの序盤を改善し高速化することを目指しています。その機能は、地理的に分散したプロジェクト参加者同士が効果的にコラボレーションするのを妨げる多くの障害を、デザイン チームが克服できるよう支援するものでした。

たとえば、コンセプトのイテレーションを行っているチームでは、建築家が Revit を使って建造物モデルに変更を加えると同時に、別のオフィスにいるデザイナーが Rhino や Trimble SketchUp を使ってデザイン要素を追加、修正することがあるかもしれません。すべてのチーム メンバー、そしてクライアントまでもが、Omniverse 内でこれらの変更をリアルタイムに確認しながら、ともに作業しフィードバックを交換することができます。

Omniverse View を使えば、ビューポートでフォトリアリスティックなモデルをパン、ズーム、回転して、光がサーフェスからどのように反射するのか、また木や石などの物理的なマテリアルの外観が、様々な照明条件下でどう見えるのかについて、即座に判断できます。これはデザインに関する意思決定の迅速化に大きく貢献し、革新的なコンセプトを考える時間を増やし、入札の準備を迅速に進めることにつながります。

画像提供: Woods Bagot

RTX サーバーを使った NVIDIA Omniverse AEC Experience

Omniverse の体験を最大化するために、AEC 企業は NVIDIA RTX サーバーを展開することができます。RTX サーバーは世界の OEM メーカーから提供されている柔軟性の高いリファレンス デザインであり、多数のグラフィックスと演算のワークロードを処理し、デザイン プロフェッショナルのクリエイティブ プロセスを根本から変革します。

RTX サーバーは、NVIDIA RTX テクノロジのパワーと性能をデータセンターにもたらし、オフィス、外出先、自宅などで効率よく作業する必要のある建築家やデザイナー、エンジニアを支援します。業界をリードする Quadro RTX 6000 GPUQuadro RTX 8000 GPUNVIDIA Quadro 仮想データセンター ワークステーション (Quadro vDWS) ソフトウェアと組み合わせて活用することにより、仮想マシンを通じて Omniverse プラットフォームへのアクセスを提供し、遠隔コラボレーションや Omniverse AEC Experience の全機能を提供しています。

また、RTX サーバーは NVIDIA 仮想GPUソフトウェアを使うことにより、グラフィックスと演算のワークロード用の多数のハイエンド仮想ワークステーションをサポートするマルチワークロード アプライアンスとしても機能します。AEC 企業は、日中に CAD やレンダリングのワークロードを実行し、夜間には風のシミュレーションのための計算流体力学といった演算ワークロードを処理することができます。

RTX サーバーと NVIDIA 仮想コンピューティング サーバー ソフトウェアを使えば、データ サイエンス、ディープラーニング、機械学習など、さらに計算負荷の高いワークロードを仮想化することも可能です。RTX サーバーは、優れたコラボレーションおよびシミュレーション ワークフローを Omniverse で推進するだけでなく、レンダリングの拠点であり、エッジにて拡張現実や仮想現実の体験をストリーミングするための土台でもあります。

画像提供: NVIDIA RTX サーバー

Quadro vDWS ソフトウェアを使って RTX サーバーを分割して手軽に管理できる複数の仮想ワークステーションを実現したり、仮想ワークステーションと専用のレンダリング サーバー インスタンスを組み合わせて提供したりすることも可能です。AEC 企業の IT 部門は、新しい仮想ワークステーションを素早く立ち上げ、必要がなくなったら停止して新しいレンダー ノードを立ち上げることができます。

NVIDIA 仮想GPUソフトウェアによって、IT マネージャーはリソースの使用率を最大化し、ライブ マイグレーション対応などのオーケストレーション機能で管理を効率化できるようになります。このような機能とパワーのすべてが、CPU ベースのデータセンターを立ち上げるのに必要な費用、スペース、消費電力の数分の一かで手に入ります。

ユーザーは、シンクライアントやタブレットなどほぼあらゆるデバイスで Omniverse に接続でき、プラットフォームのコラボレーション機能を活用できます。しかし、Quadro RTX GPU を搭載したデスクトップまたはモバイル ワークステーションがあれば、建築家、デザイナー、エンジニアは Omniverse View を最大限に活用して、共有されているシーンを高精度でインタラクティブなビューポートで閲覧することができます。

建築デザインとシミュレーションの新世界を発見する

過去数か月にわたり、世界的な大手建築会社数社が NVIDIA Omniverse の評価を行ってきました。

Woods Bagot のデザイン テクノロジ マネージャーであるロバート サーベリオン (Robert Cervellione) 氏は次のように述べています。「私たちが知るかぎり、NVIDIA Omniverse は、最新のGPU パワーを活用して構築環境を可視化するために、一から作られた初めてのデザイン コラボレーション プラットフォームです。Omniverse は没入感の高い完全に接続された新しいエコシステムを可能にし、多数のソフトウェアを使う複雑なプロジェクトのモデル フェデレーションやビジュアライゼーションを実現できるでしょう」

Kohn Pedersen Fox Associates の応用研究担当ディレクターのコブス ボスマ (Cobus Bothma) 氏は次のように述べています。「NVIDIA Omniverse のリアルタイム ビジュアライゼーションによって、リアルタイム レイ トレーシングを使う当社の様々なデザイン アプリケーションが同時にリンクされ、最高の忠実度で物理的に正確なビジュアライゼーションが可能になります。この新技術により、AEC 業界は最良のワークフローをいくつか採用し、デザインとプロジェクト全体の生産性を加速するのに役立つでしょう」

NVIDIA Omniverse の進化とともに、新しい仕様や機能によって、デザインとシミュレーションのワークフローはさらに広がるでしょう。今日では、たとえばロンドンにいる建築家、サンフランシスコにいる照明専門家、ニューヨークにいる音響コンサルタントのチームが、上海にいるクライアントのために共同で建造物のデザインに取り組むことは珍しくありません。

Omniverse を利用することで、離れた場所にいる建築家、デザイナー、エンジニアは、オンプレミスのソフトウェア アプリケーション全体またはクラウド経由で世界のどこにいても、シームレスにリアルタイムで作業できるようになり、建設に先立って、建造物をどうデザインし、完成像が予想できるようビジュアライズし、正確にシミュレートするべきかを変革できるでしょう。

様々な NVIDIA RTX GPU ソリューションが、NVIDIA のサーバーとワークステーションの OEM パートナーから提供されています。

NVIDIA Omniverse AEC Experience について詳細をご覧ください。