NVIDIA と SAP、AI ビジネス アプリケーションの新たな動きを創造

投稿者: Jim McHugh

企業は日々、山のようなデータを収集しています。ついにそのデータを利用し、目覚ましい成果をあげる時が来ました。

NVIDIA の CEO 兼創設者のジェンスン フアン (Jensen Huang) は、GPU テクノロジ カンファレンスにおいて、SAP と NVIDIA が連携し、ビジネス アプリケーションの世界観を変えるような方法で企業の AI 利用を支援することを発表しました。

私たちは協力し、NVIDIA の AI コンピューティング プラットフォームの強みと、SAP の企業向けソフトウェアにおけるリーダーシップを融合します。

SAP のチーフ イノベーション オフィサーであるユルゲン ミュラー (Juergen Mueller) 氏は、5 月 10 日に公表されたブログ投稿に次のように記しています。「NVIDIA のような強力なパートナーがそばにいれば、可能性は無限です。新しいアプリケーション、既存のアプリケーションに内在するこれまでにない価値、機械学習サービスへの容易なアクセスにより、お客様は、自身の企業をインテリジェントにすることができます。」

SAP は、GPU からシステム、ソフトウェアに至るまで、NVIDIA が生み出してきた先進技術を活用しています。NVIDIA の Tesla GPU コンピューティング プラットフォームは、20 億ドルの投資に相当します。ほんの 1 年余り前に発表され、8 基の GPU を内蔵する NVIDIA DGX-1 は、ハードウェアとソフトウェアを統合したスーパーコンピューターであり、十数組を超えるエンジニアリング チームによる取り組みの成果です。

今度は DGX-1 が、NVIDIA ディープラーニング SDK により最適化されたディープラーニングの主要なフレームワークなど、統合された一連のソフトウェアをまとめます。

以下に説明するのは、SAP と当社のコラボレーションによる 3 つの事例であり、GTC においてデモを紹介しました。

ブランド インパクトの ROI を測定

ブランドの多くは、テレビで放映されるイベントのスポンサーになることに依存していますが、イベント広告がどう影響したかを追跡するのはたいへん困難です。現在の手作業のプロセスでは、業界は、ブランド インパクトの費用対効果をレポートするのに最大 6 週間、ブランドのマーケティング費用を調整するのに 3 か月を要します。

SAP Brand Impact は、NVIDIA のディープラーニングを活用し、ロゴなど、ブランドの属性をほぼリアルタイムかつ人間には不可能な精度で測定します。AI は、人間が持つ制約にまったく制限されないからです。この測定は、NVIDIA DGX-1 においてトレーニングされたディープ ニューラル ネットワークと、ビデオ推論分析を提供する TensorRT の利用により実現されています。

結果は即時、正確、精査可能で、その日のうちに提供されます。

長年にわたり SAP をご利用いただいている Audi では、NVIDIA ディープラーニングを活用した最新の SAP ソリューションを早期に利用できるようになったと、Audi のスポーツ マーケティング担当グローバル責任者のトーマス グラス (Thomas Glas) 氏は説明します。

「Audi のスポンサーシップ チームは、SAP Brand Impact ソリューションがたいへん有用なツールであることを理解しました。このソリューションは、Audi がスポンサーシップの露出を評価するのを、高いレベルの操作性と透明性により支援することができます。私たちは、Audi FIS アルペン スキー ワールド カップのビデオ映像に基づいた概念実証を初めて実施した際、その能力と成果に感銘を受けました。現在、SAP Brand Impact と当社のメディア分析ワークフローを融合させることができるかどうか、次の Audi Cup と Audi FC バイエルン サマー ツアーに向けて積極的に検討しています」とグラス氏は言います。

ブランド ロゴの配置をほぼリアルタイムでキャプチャしている SAP Brand Impact の画面
SAP Brand Impact —ブランド ロゴの配置をほぼリアルタイムでキャプチャします。(提供: SAP)

Accounts Payable の将来

ペーパー トレイルについて話しましょう。一般的な製造業の大手企業は、年間 800 万もの請求書を処理します。世界中の企業は、依然として紙の請求書を受け取っており、手作業で処理する必要があります。このような手作業の処理は、コストと時間を要し、反復作業が多いため誤りが発生しがちです。

SAP は、Accounts Payable アプリケーションをトレーニングするのにディープラーニングを利用しました。このアプリケーションは、人間が介入することなく、適切な情報を請求書から自動的に抽出し、分類します。再帰型ニューラル ネットワークが NVIDIA GPU 上でトレーニングされ、このようなカスタマイズされたソリューションを生み出しました。

記録は 1 秒もかかることなく処理され、キャッシュ フローを加速し、誤りを削減します。

買掛金のあるベンダーの詳細を自動的にローディングしている SAP Accounts Payable の画面
Accounts Payable — 買掛金のあるベンダーの詳細を自動的にローディング。(提供: SAP)

顧客満足へのチケット

企業の 81% が、顧客体験を競争の差別化要因として認識していますが、それならばなぜ 13% の企業しか自社のカスタマー サービスを 10 点中 9 点以上と評価しないのでしょう。企業は、顧客の苦情に対応するのに精一杯で、限られたリソースで問題に対応しています。

NVIDIA GPU プラットフォーム上で自然言語処理とディープラーニング テクノロジを利用する SAP Service Ticketing アプリケーションは、企業が非構造化データを分析し、自動化ルールを作成して適切な人物へのサービス チケットを分類し、発送するのに役立ちます。

その結果は、より迅速な対応と顧客体験の向上となって表れています。

サービス チケットを適切なカテゴリ内で自動的にタグ付けしている SAP Service Ticketing の画面
SAP Service Ticketing — サービス チケットを適切なカテゴリ内で自動的にタグ付け。(提供: SAP)

さらに多くの事例を GTC、SAPPHIRE、Web でご覧ください

GTC において実施された SAP のデモは、6 月 14 日午前 9 時(太平洋時間)に開催されるライブ ウェビナーでオンラインでご紹介します。NVIDIA がいかにして AI を企業にもたらすかをご覧いただけます。