小野寺和樹は子供時代、時間があればゲーム センターに通い、ゲームの攻略法を考えていました。そんなゲームへの情熱が、やがて NVIDIA の Kaggle Grandmaster (KGMoN) たちと肩を並べて競うことにつながるとは、当時は想像もしていませんでした。
Kaggleは機械学習の世界大会であり、データサイエンティストたちが競技を通じて知識や技術を共有する仮想の舞台です。コンペティションのほか、講座やディスカッション フォーラムを通じて学びを深めることができます。
現在、NVIDIAのシニア ディープラーニング サイエンティストである小野寺がKaggleを初めて知ったのは、2015年のことです。 当時、金融コンサルタントとして日本の銀行の予測モデルを構築しており、データモデリングの練習として気軽にコンペティションに参加しました。すると、Kaggleが創造的な問題解決のための絶好の場であることに気付き、その魅力に強く惹かれました。
4 年の間に 5 つの金メダルを獲得し、彼は Grandmaster になりました。この称号を持つのは、コミュニティに属する 1,900 万人の競技者のうち、わずか 300 人です。
東京を拠点とする小野寺は、2020 年の KGMoN チーム発足当初からのチーム メンバーです。フランスからブラジルまで、さまざまな出身国の 9 名のデータ サイエンティストとエンジニアが、GPUの最先端の計算技術の可能性を広げ、その性能を検証するためにコンペティションに挑戦しています。
「NVIDIA がこのチームを結成すると聞いたとき、自分の趣味で本当に影響を与えられるとは思わず、驚きました。チームに参加して以来、気候パターンをシミュレーションするモデル、RNA 分子構造を予測するモデル、脳の MRI 画像を解釈するモデルの開発に取り組んできました」と小野寺は語ります。
小野寺はコロナ禍に、COVID-19 mRNA ワクチンの分解速度を予測するモデルを構築しました。RNA 分子の温度感受性を計算する彼のソリューションは金メダルを獲得し、ワクチンの効果的な世界供給を支えました。
Amazon KDD Cup 2023 のコンペティションでは、小野寺は 4 大陸にまたがる KGMoN メンバーとチームを組んで多言語レコメンダー システムを構築し、この名高い競技会で全 3 トラックを制しました。チームはタイム ゾーンを越えてシームレスに連携し、グローバルな視点を交えて意見交換しました。翌年の Amazon KDD Cup 2024 でも、全 5 トラックを制しました。
「NVIDIAでは、世界中の才能ある同僚から学びながら、最先端のソリューションを開発する機会が常にあります」と小野寺は語ります。「知識を共有することへの情熱を活かして、技術の発展に貢献できるのはとてもやりがいがあります。」
KGMoN のメンバーは、コンペティションへの参加に加えて、オープンソース コードの公開、ディスカッションへの参加、開発者向けのチュートリアル制作といった活動を行っています。彼らの知見は、RAPIDS や NVIDIA NeMo などのエンジニアリング プロジェクトを支え、生成 AI やデータ サイエンスの発展に役立っています。
小野寺はこう語ります。「世界中のデータ サイエンティストを支援する価値あるフィードバックを提供してきたことが何よりの誇りです。機械学習のコンペティションへの参加は、かつてはただの趣味でしたが、今では NVIDIA でのライフ ワークの一部になっています」
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