GTC 2025 – NVIDIA が今年最大のイベントで、新しいサービスとハードウェア、テクノロジ デモ、AI の今後の展開など、さまざまなニュースを発表

投稿者: NVIDIA Japan

※本ブログは、米国時間3月19日に発表された英語のブログを編集したものです。

GTC 2025 では、参加者は AI の次なる展開を目撃しました。テクノロジだけでなく、新たな機会、斬新なソリューション、まったく新しい思考方法を生み出して AI を推進する人々やアイデアまで、そのすべてが、サンノゼに結集しました。

NVIDIA へようこそ

フアンは、NVIDIA の本社に観客を招き入れる演出で基調講演をスタートさせました。あたかも参加者がそこにいるような、圧倒的な没入感のあるロビーの映像を披露し、25 年前の NVIDIA の起業当初について、GPU を手に話し始めました。また、問題の解決方法、計画、行動の実施方法をリーズ二ングすることができるエージェント型 AI の登場など、過去 10 年間の AI の成長について説明しました。

転換期を迎えた AI

フアンは次に、「ステップごとに段階的に」リーズ二ングをすることができる AI の開発について概説し、推論と強化学習の需要が、AI コンピューティングの需要をどのように牽引しているかを説明しました。AI が「転換期」を迎えているため、クラウド サービス プロバイダーの上位 4 社による GPU の需要は急増しています。フアンは、データセンター構築の価値は 1 兆ドルに達すると予測しています。

NVIDIA CUDA エコシステム

NVIDIA CUDA-X GPU で高速化されたライブラリとマイクロサービスが現在あらゆる業界で利用されていると、フアンは説明しました。将来的には、すべての企業が自社の製造用と AI 用という 2 つの工場を持つようになるとフアンは述べます。さまざまな取り組みにおける NVIDIA の役割の例を紹介したあとで、フアンは NVIDIA が、意思決定最適化プラットフォームである cuOpt をオープンソース化することを発表しました。CUDA のインストール ベースは現在「至るところ」に広がっているとフアンは述べます。「私たちは、アクセラレーテッド コンピューティングの転換期を迎えました — CUDA がそれを可能にしたのです。」

General Motors と NVIDIA が AI で連携

フアンは、AI にはインフラが必要だと説明します。AI は現在、ロボティクス、自動運転車、工場、ワイヤレス ネットワークなど、「世界中の至るところ」へと広がっています。AI を最初に導入した業界のひとつが自動運転車だったと、フアンは振り返りました。データセンターであれ、車であれ、「NVIDIA の構築したテクノロジは、ほぼすべての自動運転車メーカーが使用しています。」フアン は この分野におけるAI の旅路の次なるステップとして、米国最大の自動車メーカー、GM が、NVIDIA AI、シミュレーション、アクセラレーテッド コンピューティングを採用し、次世代の車両、工場、ロボットを開発していることを発表しました。また、同時にNVIDIA Halos も発表しました。これは、NVIDIA の車載用ハードウェアとソフトウェアの安全性ソリューションのラインナップと、自動運転車 (AV) の安全性の最先端となる AI 研究を組み合わせた包括的な安全システムです。

データセンターと推論

次に、フアンはデータセンターについて話しました。NVIDIA Blackwell プラットフォームが量産中であることを報告し、業界の幅広いパートナーのシステムを「美しい」と表現しながら、スライドで披露しました。

Blackwell がいかに極端なスケールアップを支援するのかも説明しました。「これは極端な問題を解決するためです。それは推論と呼ばれるものです」とフアンは言います。

推論は、トークンの生成であり、ビジネスにとって極めて重要になります。こういったトークンを生成する AI ファクトリーは、極めて高い効率性とパフォーマンスで構築される必要があります。さらに、最新世代のリーズニング モデルは、ますます複雑になる問題を熟考して解決するため、トークンの需要は増大する一方です。

推論を大規模にさらに高速化するために、フアンは NVIDIA Dynamo を発表しました。これは、AI ファクトリーにおける AI リーズニング モデルを高速化およびスケーリングするためのオープンソース ソフトウェアです。「本質的には、AI ファクトリーのオペレーティング システムです」とフアンは補足します。

NVIDIA Blackwell Ultra

フアンは、次に Blackwell が推論パフォーマンスの「飛躍的進歩」をいかに実現するのかを説明しました。「誰もが、可能な限り最もエネルギー効率の高いアーキテクチャを確保したいと考えています。」Blackwell が前世代よりも少ない消費電力で、より多くの処理を可能にする仕組みを示しました。「購入すればするほど、節約できる金額も増えます (the more you buy, the more you save)」と フアンは述べ、聴衆の笑いを誘いました。「それどころか、購入すればするほど、収益が増えることになるでしょう」

次に、新しい NVIDIA Omniverse Blueprint が、1 ギガワット規模の AI ファクトリーの計画をどのように支援するのかを紹介するビデオを公開しました。これにより、エンジニアがデジタル ツインを活用した新世代のインテリジェンスを製造するデータセンターの設計、テスト、最適化を行えるようになります。

そのうえで、NVIDIA Blackwell AI ファクトリー プラットフォームの次なる進化である NVIDIA Blackwell Ultra が今年後半に登場することを発表しました。NVIDIA Blackwell Ultra は、トレーニングとテストタイム のスケーリング推論 (推論中にさらなる計算を適用して精度を向上させる技術) を強化し、世界中の組織が AI リーズニング、エージェント型 AI、フィジカル AI などのアプリケーションを高速化することを可能にします。

NVIDIA Vera Rubin

天文学者の Vera Rubin 博士に敬意を示して、フアンは今後何年にもわたってデータセンターのパフォーマンスを向上させるロードマップの概要を説明しました。また、革新的な技術を満載した次世代 NVIDIA Rubin Ultra GPU と NVIDIA Vera CPU アーキテクチャに関する新たな情報も発表しました。「基本的に筐体を除くすべてが刷新されています。」Vera Rubin NVL144 など、Rubin Ultra を搭載したシステムは、来年下半期に登場する予定です。2027 年後半には、Rubin Ultra を搭載したシステムが登場します。「Rubin はコストを大幅に削減することがわかりますよね」と フアンは語りました。

NVIDIA Photonics

フアンは、どんどん大規模化する顧客システムのスケールアウトを NVIDIA がどのように支援するのか、という話題に移りました。その鍵となるのは、フォトニクス (電気信号ではなく光を利用してデータを送信するネットワーキング テクノロジ) を、アクセラレーテッド コンピューティング インフラに緊密に統合することです。AI ファクトリーのサイト全体の何百万もの GPU を接続する一方で、エネルギー消費量と運用コストを削減することを可能にする、NVIDIA Spectrum-X と NVIDIA Quantum-X シリコン フォトニクス ネットワーキング スイッチが、電子回路と光通信を融合します。「これは本当にクレイジーなテクノロジです」とフアンは言います。NVIDIA フォトニクス スイッチは、レーザー数を 4 分の 1 に減らした光学技術のイノベーションを統合したもので、従来の方法と比較して 3.5 倍の電力効率、63 倍の信号整合性、10 倍のスケールにおけるネットワークの耐障害性、1.3 倍の展開速度を実現します。

DGX Spark と DGX Station

AI 開発者、研究者、データ サイエンティスト、学生がデスクトップで大規模なモデルのプロトタイプ作成、ファインチューン、推論を行えるようにするために、NVIDIA は、NVIDIA Grace Blackwell プラットフォームを搭載した DGX パーソナル AI スーパーコンピューターを発表しました。「クリスマス プレゼントに最適」と表現するフアン は、DGX Spark (旧称 Project DIGITS) と、NVIDIA Blackwell Ultra プラットフォームを搭載した新しい高性能な NVIDIA Grace Blackwell デスクトップ スーパーコンピューターである DGX Station を発表しました。これらは Grace Blackwell アーキテクチャのパワーをデスクトップにもたらします。ユーザーはこれらのモデルをローカルで実行したり、NVIDIA DGX Cloud やその他のアクセラレーテッド クラウドまたはデータセンター インフラに展開したりすることができます。「これは AI 時代のコンピューターです」とフアンは言います。

エージェント型 AI

エージェント型 AI の未来についての解説に移り、フアンはリーズニング機能を搭載したオープンな Llama Nemotron モデル ファミリーを発表しました。これは、複雑なタスクを解決するために単独で、または連携したチームとして機能する高度な AI エージェントを構築するためのビジネス対応の基盤を開発者と企業に提供するよう設計されました。Llama モデルをベースに構築された NVIDIA Llama Nemotron リーズニング ファミリーは、オンデマンドの AI リーズ二ング機能を提供します。NVIDIA は、事後トレーニングにおける多段階の計算、コーディング、リーズ二ング、複雑な意思決定を向上させるために、新しいリーズ二ング モデル ファミリーを強化しました。

フィジカル AI とロボティクス

ロボティクスを次の 10 兆ドル規模の産業だと説明するフアンは、2010 年末までに世界では少なくとも 5,000 万人の労働者が不足するだろうと語りました。NVIDIA は、次世代ロボティクスのトレーニング、展開、シミュレーション、テストを可能にする、完全なテクノロジ スイートを提供しています。

ビデオの中で、フアンは NVIDIA Isaac GR00T N1 の公開を発表しました。これは、汎用的なヒューマノイドのリーズ二ングとスキル向けに設計された世界初のオープンで完全にカスタマイズ可能な基盤モデルです。

NVIDIA はまた、新しい NVIDIA Cosmos 世界基盤モデルのメジャー リリースを発表しました。これは、フィジカル AI 開発向けのオープンで完全にカスタマイズ可能なリーズ二ング モデルを導入し、開発者に世界を生成するための前例のないコントロール能力を与えるものです。

「Omniverse を使用して Cosmos を設定し、Cosmos で無限に多くの環境を生成することで、現実的でありながら、同時に無限のデータを体系的に創造することができます」とフアン は言います。

また、Google DeepMind と Disney Research との共同開発を進めているロボティクス シミュレーション用オープンソース物理エンジンである Newton についても紹介しました。その後、ステージの床のハッチから小型ロボット「Blue」がビープ音を鳴らしながら登場し、観客を魅了しました。

講演のまとめ

フアンはいくつかの主要なテーマを強調して、講演を締めくくりました。

  • 私たちは 1 兆ドル規模のコンピューティングの転換期にあります。リーズ二ング AI とエージェント型 AI の台頭により、AI コンピューティングの需要は急速に加速しています。AI ワークロードの規模と複雑性は、世界中のデータセンターへの投資を変化させています。
  • NVIDIA Blackwell はすでに量産中であり、Hopper の 40 倍のパフォーマンスを発揮しています。Blackwell アーキテクチャは、AI モデルのトレーニングと推論を大幅に強化し、より効率的でスケーラブルな AI アプリケーションを可能にします。そして NVIDIA Blackwell AI ファクトリー プラットフォームの次なる進化である Blackwell Ultra は、今年下半期にシステムへと導入される予定です。
  • NVIDIA は年 1 回のペースでAI インフラの構築を行う予定です。毎年、新しい GPU、CPU、アクセラレーテッド コンピューティングの進歩が実現します。その中には、AI データセンターのパフォーマンスと効率の向上を推進するために設計された、次なるNVIDIA Vera Rubin アーキテクチャなども含まれます。NVIDIA は、クラウド用、エンタープライズ用、ロボット用という 3 つの AI インフラを構築しています。
  • フォトニクスと AI に最適化されたストレージなど、AI インフラが業界に革命をもたらします。高度なネットワーキングとストレージ ソリューションは、大規模データセンターにおける AI の拡張性、効率、エネルギー消費量を改善します。
  • 産業用およびロボット向けのフィジカル AI は、50 兆ドル規模のビジネス チャンスになります。AI 搭載のロボティクスとオートメーションは、NVIDIA Isaac と Cosmos プラットフォームを先駆けとして、製造、物流、ヘルスケア、その他の産業を変革しようとしています。

詳細については、NVIDIA GTC の基調講演のリプレイをご覧ください。