NIO がインテリジェントな電気自動車に NVIDIA のテクノロジを採用

投稿者: Danny Shapiro

中国の自動車メーカーが、NVIDIA DRIVE Orin をベースに、新たなスーパーコンピューター 「Adam」 を構築し、自動運転と AI 機能を強化

中国の電気自動車メーカーである NIO が、NVIDIA DRIVE を活用して、未来の車両に先進的な自動運転テクノロジを実装し、真にインテリジェントで、パーソナライズされた車両を生み出そうとしています。

世界に向けての発表の場で、中国の EV メーカーである NIO が、Adam と呼ばれる、NVIDIA テクノロジを活用したスーパーコンピューターが搭載される、同社の最新の ET7 セダンの全貌を明らかにしました。この車両は 2022 年より出荷が開始される予定で、スーパーコンピューターの Adam には、先進の自動運転テクノロジを実現する NVIDIA DRIVE Orin が搭載されます。

NIO の創業者にして、会長/CEO であるウィリアム リー (William Li) 氏は、次のように話しています。「NIO と NVIDIA が協力することにより、スマート自動車の自律走行についての開発が加速するでしょう。NIO が自社開発した自律走行アルゴリズムが、業界をリードする、4 基の NVIDIA Orin プロセッサで実行されることで、ET7 セダンには、量産車では類を見ない1 秒間に 1,000 兆回を越える処理能力が備わるようになります」

今回の発表は、インテリジェントな高性能電動自動車の普及に向けた、大きな1歩となるものであり、これによって、環境および道路利用者の両方への対応が向上されるようになります。

NIO は、中国のプレミアム スマート電気自動車マーケットのパイオニアです。2014 年より、同社は NVIDIA のテクノロジを活用して、シームレスなインフォテインメント体験を実現させてきました。そして今、NIO は、未来の自動車に NVIDIA DRIVE を活用した自動運転機能を搭載し、継続的な改善とパーソナライゼーションによって移動というものの概念を再定義しようとしています。

NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) は、以下のように述べています。「自律走行と電動化は、自動車業界を変容させる、大きな原動力となっています。NVIDIA は、新エネルギーを活用する自動車革命のリーダーである NIO との提携を喜ばしく思っており、AI を活用した、ソフトウェア デファインドの、未来の EV 車両を生み出すのを楽しみにしています」

インテリジェントな車両の開発

ソフトウェア デファインドのインテリジェントな車両には、AI を活用し、Over the Air (OTA)でのアップグレードを継続的に受けるための、集約的で高性能な演算アーキテクチャが欠かせません。

新しい NIO Adam スーパーコンピューターは、車両に搭載される、もっともパワフルなプラットフォームの 1 つです。4 基の NVIDIA DRIVE Orin プロセッサにより、Adam は 1,000 TOPS を越える処理能力を発揮します。

Orin は、世界で最も高い性能を持つ、もっとも先進的な 自律走行車(AV) および ロボティクスのためのプロセッサです。この、スーパーコンピューター オン チップは、最大 254 TOPS の処理能力を持ち、自律走行車やロボットで同時に実行される、多数のアプリケーションとディープ ニューラル ネットワークを処理することができ、ISO 26262 ASIL-D のような体系的な安全基準も満たしています。

複数の SoC を使っているため、Adam には、安全な自律走行に欠かせない冗長性と多様性が備わるようになります。最初の 2 つの SoC は、車両のセンサーセットが 1 秒ごとに生成する、8 ギガバイトのデータを処理します。3 つめの Orin は、どのような状況でもシステムが安全に作動できるようにするためのバックアップとして使用され、4 つめはローカルでのトレーニングを可能にし、フリート ラーニングで車両を改善し、さらに個々のユーザーの好みに応じてドライビング体験をパーソナライズします。

高性能な演算能力を核とした Adam は、オートモーティブ インテリジェンスと自律走行の実現に向けての、大きなマイルストーンとなります。

ET7 に注目

NIO は、高い期待を集めている ET7 セダンの全貌を明らかにしました。ET7 セダンは、2017 年に初めて示された、同社独自の EVE コンセプトの最初の量産バージョンとなるものです。

このフラッグシップ車両は、現行の車両に比べて性能が大幅に向上しており、600マイル以上のバッテリ航続距離と先進の自律走行を実現しています。Adam が搭載された最初の車両となる ET7 は、2 点間の自律走行が可能で、33 のセンサーと高性能な演算を活用することで、走行エリアを継続的に拡大でき、都市からバッテリ交換ステーションまでの高速走行も可能になります。

このインテリジェントなセダンは、ドライバーが車に近づいた瞬間から、シームレスな体験をもたらします。きわめて精巧なデジタルキーやソフトクロージング ドアにより、ユーザーは優しく触れるだけでドアを開くことができます。ドライバー モニタリングと音声認識の向上により、車両とのインタラクションも簡単に行えます。また、ET7 の下部に搭載されているセンサーが路面の状態を検知し、車両がサスペンションを自動調整し、滑らかな乗り心地を維持します。

AI が NIO のドライビング体験の中心となった今、ET7 および今後登場する、NVIDIA テクノロジを活用したモデルは、インテリジェントな輸送の新世代を告げるものとなります。